前ページの素直にすごい折り紙とは別の角度からアプローチした折り紙本を紹介したい。
「ちょっとかわった」というエクスキューズにグッと来る
この部門で参考にしたのは、『ちょっとかわったおりがみ』(たきがわたかし・著 草土文化)という本。
「たのしい」とか「やさしい」とかではなく、「ちょっとかわった」。普通の折り紙はもう卒業したいという子供たちのハートをつかみそう。
なにしろこの本、「はじめに」の次が…
かまめしセット、なのだ。敷居が高いのかなんなのか、いや、高い低いというとらえ方がむなしく思えてくるくらいの自由な発想に驚かされる。
この作品については上に載せた表紙の写真でも確認できるのでは、ここでは別の作品を作ってみたい。
割とすぐに完成したこの作品。一体なんだかおわかりいただけるだろうか。
確かに言われてみればキヌサヤだ。個人的にキヌサヤは結構好きな野菜だが、折り紙で作ってみたいとは思わなかった。そういう意外な需要を掘り起こしてくるのがこの本だ。
それにしてもこのキヌサヤ、一般的な大きさの折り紙で折ってみたのだが、かなり大きい。
それが折り紙だということだけでなく、縮尺のおかしさでも迫ってくるキヌサヤ。軽く頭が混乱してくるが、もう少し難しいのにも挑戦してみよう。
キヌサヤよりさらに難解な折り紙かもしれない。まだ作っている途中だったり、さらに別の折り紙と組み合わせたりする必要があるように見えるかもしれないが、これ単体で完成だ。
正解は、私も大好きなあの料理、
これをハンバーグだと思うには、ちょっと練習が必要かもしれない。喜びと哀しみとが交錯する作品とでも言えばよいか。人生において真に深い情緒とは、こういう交錯にこそ宿るのだろう。
微妙なディテールをうまく表現した作品もある。例えばこのタコウインナー、確かに海の生き物のタコというより、タコウインナーの方によく似ている。
ただそれも、意外な方向に展開されていくのがこの本の特徴だ。
茶色の折り紙で作ったハンバーグだが、それを白にして息を思い切り吹き込んで形を整える。トウフだ。
折り紙というのは見立て遊びという要素もあるので、これはこれでいいと思う。ただ、この本はその上にタコウインナーを乗せてみようと呼びかけてくるから不思議なのだ。
期せずして垣間見えた、人間の想像力の幅広さ。
いつしかトウフは酢飯となって、タコウインナーと合体することで次のステージへと駆け上がる。その自由さに、言ってることも適当になってくる。
以上、微妙にローテンションな癒し折り紙、ハードなビジネスマンにも、常識のブレイクスルーというヒントをくれたと思う。
●すごかったり微妙だったり自由自在
ちなみに甥っ子(幼稚園児)にこれらの折り紙を見せたところ、一番興味を示したのは、キヌサヤ。
渋いチョイス。なぜだかこちらもうれしくなる。
知的な興奮をくれるハイテンション編、心の機微を突いてくるローテンション編、どちらも質こそ違えども楽しい作品たちばかりでした。