ボロボロやんけ・・・
「本当にあったのか。」
かすかにあった「もしなかったらどうしよう」という不安は一気に吹っ飛び、自転車を降りて、誰もいない境内に駆け下りた。
境内は竹林で囲まれているので、日中でも薄暗い。
「誰もいないけど、借り物だし、念のために・・・」
と自転車の鍵をかけに戻ったことは忘れよう。
(忘れるつもりなんだったら書くなよ)
もちろん、真っ先に車両のもとに向かう。
窓ガラスは当然ナッシング。ボディーはかなり汚れているし、微妙に破壊されたようにも見える。甚だしくボロボロだ。
長年放置され続け、風雨にさらされてきたことがよく分かる。
普通なら「引退後、公園で静態保存された車両」と表現されるところだが、これは「保存」ではなく「放置」だと見て取れる。
そういえば、事前にネットで調べたときに、「心霊スポット」だと書かれていたのを思い出した。
確かに不気味だ。
ただでさえ暗いのに、この長年放置されボロボロの車両がそれを独特の不気味さに変えている。
しかし、幸か不幸か判断はしかねるが、僕には霊感というものはない。
風で揺れる竹の音だけが聞こえる静けさの中でひとりぼっちの状況でも、へっちゃらだ。
むしろ、「こんな狭いところにどうやって車両を置いたんだろ」なんて技術的なことを考えていたりする。 |