旅のフィナーレだけ美味しいところ取り
そこは既に「もうすぐ旅が終わり」といわんばかりの雰囲気が漂っていた。上陸した友人に対して手を振る人々、それなりに売り尽くした自動販売機、閉店した商店、ゴミ箱いっぱいのゴミ、伊豆七島から乗った自分以外の乗客の「もうすぐ着くぞ」というオーラ。横浜から参加した自分はまるで、「吉田VS小川のレフェリーストップ寸前」か、はたまた「WBC決勝戦の9回裏」からTVを見始めたような感じだ。ただひとつ違うのは自分は蚊帳の外ではなく、参加者であること。客として間違ったことはしていないのだけれど、なんだか申し訳ない気がする。
それはさておき、夜景だが沿岸を横浜から東京に進むだけあって景色はなかなか。出港直後の横浜はロマンティックだし、羽田に近くなるとひっきりなしに離陸、着陸する飛行機を見ることができる。さらに東京の竹芝桟橋に近づくと、レインボーブリッジの下をくぐり、お台場もすぐそばで拝められる。
船内の探検も1時間半の時間なら、限られた時間だからだらだらできず、飽きない。食堂を見て、雑魚寝部屋を見て、並べられた自販機を見て、年季の入った船の様々な場所を見てると、なんだか旅行に行った気になってしまう。
終点の東京・竹芝桟橋へ
そんなことをいろいろやっているうちに、あっという間に1時間半。お台場が見えたと思ったら、もう竹芝桟橋だ。
乗客が次々と下船し「(この旅行は)楽しかったねぇ〜」などと語り合う。最初は乗船時の熱視線を感じ、申し訳ない感が強かったけれど、下船したときには「この船旅オイシイじゃん!」と思ったし、またいつのまにか自分も伊豆七島を旅行した気になっていて、コンサートのときのように乗客と一体化した感じで気持ちがよかったです。 |