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はっけんの水曜日
 
思い出の、でかい変電所

私が6年間、通っていた小学校の真ん前に、でかい変電所があった。
最初からあったので、とくに疑問もなく小学生ライフを過ごしていたのだが、でかすぎるような気はしてた。小学校の敷地の3、4倍は、軽くあったはずだ。

マラソン大会のとき、変電所のまわりを、ぐるり一周した記憶がある。私は体力が無かったので、息ゼーゼー、横っ腹激痛、全身バクバク。死にそうになりながら走っていた。
変電所のまわりにはりめぐらされた、金網にからまるカラスウリなんか眺めながら、「なぜこんな苦しいことをやんなきゃいかんのか…」と気が狂いそうだった。
順位はいつも、暫定ビリ。最下位グループの肥満ぎみのコたちは、途中で棄権しちゃうからだ。大人しくて真面目で、マイルドにイジメられていた私は、棄権する勇気もなかった。

今でもテレビなんかで、「うちの小学校は、6年生全員で、100キロマラソンに挑戦していまーす!」なんて、ほのぼのニュースを見ると、「ああ、学校行きたくない、学校なんか燃えてなくなっちゃえ、って思ってる生徒も、絶対いるだろうに……」と胸が痛む。胸を傷めながら、あの変電所付近の風景を思い出す。

で、連休中の帰省時に、「あそこ、今、どんなんなってるのかなあ、散歩でも行ってみるかー」と思い立ち、行く前にネットでちょこっと検索したところ……。
「日本有数の変電所」「鉄塔マニアに絶大な人気を誇る」「映画『鉄塔・武蔵野線』のモデルになった場所」「一度、行ってみたい!」など、誉め誉めな言葉がずらり。

え、ええー。
そうなの?

(text by 大塚 幸代



実家より、チャリで現地に向かう。

こーんな、郊外の風景の中を走る。
私の実家周辺は「都内にお勤めする人が、土地付き一戸建てを買って、遠距離通勤しながら、子育てをする」ような郊外だ。
だから見かけるのは、子供ばかり。しかも「キミら、21世紀生まれだろ!」っていうような、ヒトケタな子供ばかり。

少し走ると、「土地付き一戸建て」群の向こうに、

鉄塔群が見えてくる。

新しい家の合間に、

ネコ型(正式には「えぼし型」というそうなのだが、私にはネコに見える)の鉄塔が。

 

変電所はの名前は「新所沢変電所」。所沢からは遠く離れた場所なのに、よくわからないネーミング。

当然、高い、高い塀に囲まれている。



いや、入りませんよ。入りたくないし。

小学生当時の私は、おもに下ばかり向いて歩いている子供だったので、

えん石とか、

空き地の雑草とか、

そういうのは記憶にあるのだが、変電所の鉄塔を、じっと見上げたことはなかった。

で、いいかげん大人になった今ごろになって、見上げてみた。


 

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