私が6年間、通っていた小学校の真ん前に、でかい変電所があった。
最初からあったので、とくに疑問もなく小学生ライフを過ごしていたのだが、でかすぎるような気はしてた。小学校の敷地の3、4倍は、軽くあったはずだ。
マラソン大会のとき、変電所のまわりを、ぐるり一周した記憶がある。私は体力が無かったので、息ゼーゼー、横っ腹激痛、全身バクバク。死にそうになりながら走っていた。
変電所のまわりにはりめぐらされた、金網にからまるカラスウリなんか眺めながら、「なぜこんな苦しいことをやんなきゃいかんのか…」と気が狂いそうだった。
順位はいつも、暫定ビリ。最下位グループの肥満ぎみのコたちは、途中で棄権しちゃうからだ。大人しくて真面目で、マイルドにイジメられていた私は、棄権する勇気もなかった。
今でもテレビなんかで、「うちの小学校は、6年生全員で、100キロマラソンに挑戦していまーす!」なんて、ほのぼのニュースを見ると、「ああ、学校行きたくない、学校なんか燃えてなくなっちゃえ、って思ってる生徒も、絶対いるだろうに……」と胸が痛む。胸を傷めながら、あの変電所付近の風景を思い出す。
で、連休中の帰省時に、「あそこ、今、どんなんなってるのかなあ、散歩でも行ってみるかー」と思い立ち、行く前にネットでちょこっと検索したところ……。
「日本有数の変電所」「鉄塔マニアに絶大な人気を誇る」「映画『鉄塔・武蔵野線』のモデルになった場所」「一度、行ってみたい!」など、誉め誉めな言葉がずらり。
え、ええー。
そうなの?
(text by 大塚 幸代) |