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ひらめきの月曜日
 
コンビニは夜より昼のほうが明るいらしい

夜中のコンビニはどうかしちゃったんじゃないかと思うほど明るい


夜中、街を歩いているとひときわ明るいお店がある。コンビニだ。

目がおかしくなりそうなほど明るいコンビニを見て、ああ、現実には存在しないといわれるホワイトホールとはひょっとしてこれのことかなーと思ったりもする。(夜中のコンビニはそれだけ明るいと言いたい)

しかし、現実的には夜中より昼間のコンビニのほうが明るいそうです。理屈は「昼のほうが外が明るいから明るさが売りのコンビニはさらに明るくするから夜より明るくなる」というもの。

本当か? 照度計を手に、調べてみました。

(text by 梅田カズヒコ



ばーん! これが照度計だ。すごいだろう!(webマスターから借りた)

試しに光を感知する部分を指でふさいだら値が急に下がった。照度計すげー

目の高さに照度計の光を感知する部分を合わせる

照度計を入手しました

明るさを測るために照度計を入手した。折りたたみ式の電卓のような形状の機械にしっぽのようなものとテレビのチャンネルを変えるようなダイヤルがついた機械だ。

明るさの単位をルクスと呼ぶらしい。難しいことに興味がある人は別のサイトを見てもらうとして、ざっくり説明するとルクスの値が大きいほど明るくなり、小さいほど暗くなるということらしい。

1cmがどれぐらいの長さかたやすく想像がつくけど1ルクスがどのくらいの明るさなのか想像が付かない。そこでどこにでもある普通のオフィス(僕がいつも座ってる席)で明るさを測ってみた。599ルクスだった。そのほかにもネットに落ちていた情報を参考にすると

〔明るさの目安〕

10000ルクス=快晴の日の屋外
1000ルクス=テレビ放送のスタジオ
750ルクス=勉強机に適した明るさ
599ルクス=僕の事務所の机
500ルクス=スーパーマーケット
50ルクス=商店街のアーケード
1ルクス=月の明るさ

この目安を参考にコンビニのルクスを調べていきたい。

 

公平を期すため量りかたを統一しました

コンビニは通常立ってお買い物をする。そこで立ったまま自分の目と同じ高さに照度計をセットして測ることにした。

ちなみに僕の身長は170cm。目の高さはおよそ160cmぐらいといったところか。

照度計は上向きにセットし、
1.コンビニの店に入る前(店の外にもれる明るさ)
2.店内の入り口付近の明るさ
3.店内の真ん中の明るさ
4.店内のもっとも奥の明るさ

以上4つのポイントで昼と夜、測ってみた。

測ってみた実感としては昼のほうが明るいと言われてもそうは思いません。むしろ夜のほうが明るい印象でした。さて、数値のほうはどうなるのか。

 

これがコンビニの明るさだ!

まずは数値だけをご覧ください。


A.店前 B.入り口 C.真ん中 D.店の奥 B,C,D3点の平均値
セブンイレブン 609 791 927 786 835
117 738 955 787 827
am/pm 810 690 941 726 786
182 561 935 684 727
サンクス 427 1271 1681 1770 1,574
194 1332 1572 1619 1,508
ファミマ 533 1142 1492 904 1,179
218 1056 1161 689 969
ローソン 416 1180 2011 941 1,377
130 435 1963 1060 1,153

これだけ見ると何のことかさっぱりである。夜の項目で青字は「夜のほうが暗い」という結果が出たもの、赤字は「夜のほうが明るい」という結果が出たもの。黒字は「ほとんど数値が変わらなかったもの」だ。確かに全体的に青字が多い→おおむね夜のほうが暗いという結果が出たものの、なぜか夜のほうが明るい、という結果がでてしまったものもある。
これだけ数字が多いとさっぱり分からないので、「B,C,Dの3点の数値の平均値」を出し、それを店の中の明るさと仮定し、グラフに起こしてみた。
(今、説明するのでいっぱいいっぱいです)

 

どうだろう?夜になると軒並み明るさが落ちているのが分かってもらえただろうか? 特にファミマ、ローソンがかなりハイペースで明るさが落ちている。

それにしてもサンクス、昼も夜も明るすぎである。先ほどのルクスの目安に合わせると……

快晴の日の屋外(10000ルクス)
昼のサンクス(1574ルクス)
夜のサンクス(1508ルクス)

テレビ放送のスタジオ(1000ルクス)
勉強机に適した明るさ(750ルクス)

となり、なんとサンクスはテレビ放送のスタジオより明るいという計算になるのだ。テレビ放送のスタジオがどれだけ明るいのか簡単にはイメージできないが、勉強机の2倍以上の明るさと考えるとかなり明るいことがイメージできる。

ちょっとサンクスの店内の雰囲気を振り返ってみよう。


夜のサンクスの前、194ルクス。
どうやらほかのコンビニより明るい原因は天井のほかに横から照らす蛍光灯が冷蔵庫に取り付けてあるからのようです。

サンクスは明るい!

夜にサンクスの店の前で照度計を照らすと194ルクスという数字がでた。月明かりが1ルクスだからサンクスは194個分の月の光を放出していることになる。

サンクス、明るい。

実は調査中は特にサンクスが明るいとは思わなかった。どれもこれも一緒の明るさにしか思えなかったのである。

もうあと3倍ぐらい明るかったらここに勉強机を持ってきて事務所の照明として活用したいぐらいである。

では店内の明るさはどうか?

 

サンクスの明るさの原因は横からの光にあり

サンクスの天井の蛍光灯の配置はほかの店舗と比べ特に明るいわけではない。ではこの突出した明るさは何か。

実はサンクスはジュース売り場を筆頭に横にもいくつか蛍光灯を取り付けてあって、それらが明るさを増長させているようだ。

しかし全国のサンクスに共通していることかどうかは分かりません。もしよければあなたの近所のサンクスでも照度計を使って明るさを測ってみてください。

 

通常のコンビニの蛍光灯の配置

ローソンの蛍光灯の配置。縦と横に敷き詰めている分明るい。

ローソンの蛍光灯は縦横無尽

そして、サンクスに負けず劣らず明るいのがローソン。特に店の真ん中の明るさは昼で2011ルクスと唯一2000ルクス超えを果たした。なぜローソンは店の真ん中が明るいのか。検証してみよう。

通常のコンビニは左の写真のように一列に蛍光灯が並んでいる。ところがローソンはというと(下の写真)縦と横に蛍光灯が配置されている。このため、ちょうど縦と横の蛍光灯の重なる交点は4本分の蛍光灯の明かりが集まり明るくなるのだ。

しかし、これも全国のローソンに言えることではなく、たまたま近所のローソンがこのようになっていたのかもしれない。

 

身長で世界の明るさが決まる?

とても不思議な気分になったことが一点あったので最後に報告させていただく。

明るさは蛍光灯からの距離によって大きく違う。蛍光灯に近ければルクスの値は上がるし、遠ければ下がる。当然だ。

蛍光灯はたいていの場合に置いて天井に点いている。つまり身長の高い人はつねに低い人より明るい世界に住んでいることになる。コンビニでも、オフィスでも、お店でも、常に身長の高い人は低い人より少し明るい世界を体験している。
「このコンビニまぶしー」と言い合ったところで2人が感じている明るさは微妙に違うのだ。
同じ場所にいるはずなのに、見ている世界が違う2人。

心のすれ違いってこういうことなのかと思った(てきとう)。

この日最高の2011ルクスを記録した瞬間

「明るさの違い」という確かにそこに差異があるんだけどうまく表せないものを数値化して比較するという作業はとても楽しかったです。

明るさを測る単位が「ルクス」というあまり使い慣れない単位であることも原因かもしれない。

かくして「コンビニは昼のほうが明るい」という噂は証明されたわけだが、噂を聞いたときはなんだかすごい発見のように感じたが、実は意外と当たり前なのかもしれないと今原稿を書きながら思っている。

ただサンクスはテレビのスタジオより明るい、という事実はコンビニにたむろするぼくにとっては鼻が高い事実だ。
皆さまもサンクスにお寄りの際は「今、僕はテレビの収録スタジオのタレントより明るい光を浴びている」と思ってください。きっと苦笑いすることうけあい。

今度はコンビニのバックヤードに忍び込んで蛍光灯の明るさを調整する機械を拝見してこようかと思います。


 

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