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フェティッシュの火曜日
 
あのオバケは和菓子でできているか


「Qちゃんの手触りはどんなものか」というのが、私の長年の課題である。

以前、「Qちゃんの手」(Qちゃんとは有名女子マラソン選手のほうではなく、有名オバケのほう)をシリコンで制作した。感触はまあまあ再現できたが、他にも似た感触の素材があることを思い出した。

求肥だ。和菓子の材料、あの「ぎゅうひ」である。Qちゃんはきっと求肥でできてもいるに、違いない。

そう思い立ってから数ヶ月。この真夏のただ中、もう一度Qちゃんの感触を再現してみたいと思う。今回は、最終的に食べられる素材なので、きっと楽しいだろう。なんでこんなに執拗にQちゃんを再現したいのか、自分でもよくわからない。

乙幡 啓子

生まれて初めて作る和菓子がこれか

「求肥だろう」と簡単に思いついたが、そもそも求肥ってどうやって作るんだ。

ネットでざっと調べたところ、材料は「もち粉、砂糖」と、案外シンプルなものらしいということがわかった。工程はやはりちょっと複雑そうだが、なんとかなるだろう。

ただ、問題は、「上皮は求肥、さて本体は?」ということである。Qちゃんの外側は確か服のように脱ぎ着ができるのだが、その中身は得体の知れないもの、ブラックボックスであったはずだ。真っ黒なその本体はなかなか全貌を現さないため、かえって不気味な様相を呈していた。

真っ黒。ということは、あずき餡でいいのではないか。


というわけで買ってきました、もち粉とゆであずき。

できることなら、実物大のQちゃんを作りたい。が、どれだけのあずきともち粉が必要か、考えただけで自分の体中が甘くなっていく心持ちがする。

なので今回はプロトタイプ制作にとどめたい。とはいうものの、どれだけの量がいったい必要なのか。


ゆであずきは、熱を加えて水分を飛ばし、固くします。
もち粉に水を加え、練ります。
耳たぶよりやわらかい程度に練ったら、小分けにして円盤状に伸ばし、ゆでます。
浮いてきたところをすくいとって鍋に移し、砂糖を加えながら練ります。

想像していたのより大変だ。すくいとったタネを練りこむのにすごく力が要る。

女の子がなりたい職業として、よく菓子職人が挙げられるが、実際はものすごい重労働だということが実感としてわかる。汗がどんどん流れてくる。


砂糖を入れて練ると、いい匂いがしてきた。もちと砂糖の混ざった、やさしい匂いがする。
型がなかったので皿に片栗粉をまぶして(くっつかないよう)、流し込む。

さらっとここまで書いたが、実際は生地が粒状になってしまい、きれいなペースト状にするにはかなりの時間を要した。というかきれいなペースト状にはならなかった。

時刻は真夜中の3時。今回はいつにも増して「オレ何やってんだこんな時刻に」の想いが強い。

さて、冷やして固めたあと、どうにも楽しい成形の時間である。


 

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