勝手に選別10ジャンル
検討員二人で10ジャンルに分けたサイン。該当サインの多かった順にみていこう。
なお、すべてのジャンルの枠内のサイン見本はわたくし古賀の名前でサンプルを作った。古賀・こが・コガとうっとおしいようで恐縮だが、ご了承ください。
岸川検討員(以下、岸川)「意外にも、一番多かったのはイラストメインのサインでした。どれも上手い。書きなれている感じがしますね」 古賀検討員(以下、古賀)「学生時代からノートのすみとか、手紙に書いてきたかんじ」 岸川「そういった意味では実用的ですが、マンガっぽいところにサインのロマンも感じます。アイドルとか」 古賀「のりピー的な」
岸川「イラストのタッチからなんとなく年代が見えてくるのも面白いですね」 古賀「流行のテイストってありますよね」 岸川「個人的に、タレントショップ世代のイラストってすぐ分かります」
古賀「実は、私もこのタイプです」 岸川「持ち物に名前を書くみたいな、直立不動のサインですね」 古賀「実際、おととしのBBフェスタで産まれて初めて「サインください!」って言ってもらったんですが、いざとなると普通に名前書いてるんですよね。子供の頃からあんだけ練習してるのに」 岸川「実際は照れくさいもんなんでしょうね、サインって」
古賀「こう、この手のサインはふざけてる感じがしなくて逆にサインとしてリアルですよね」 岸川「なるほど。人に差し上げるサインとしてリアルなんですね」 古賀「なので、ロマン度はそれほど下げないでおきました」 岸川「深いですね。意義ありません」
岸川「そこへ行くと、この画家風サインはロマンないですよ」 古賀「え? 画家っぽいのに」 岸川「こういうサインって、人にあげるサインではなく、クレジットカードとかホテルのチェックインとか使ってそうじゃないですか」 古賀「なるほど。色紙っぽいロマンはない、ということですね」
岸川「大人としてこのサインは持ってたいですね」 古賀「人にあげたいサイン、というよりは自分が書くように持っていたいサインです」
岸川「じつは私のサインはこのタイプです。文字と文字を必死につなげ、いかにも小学生のとき頑張って開発した系」 古賀「確か私もこの手の一生懸命考えました」
岸川「案外、大人になるにつれてこの手のサインを「ザ・サイン」として書く人って少なくなるんですよね」 古賀「今回は13枚のサンプルが該当しました」 岸川「うれしいことです」
岸川「他のジャンルにも混ざっているとは思いますが、明らかにハンドルネーム、というサインがたくさんありまして、ジャンルとして立ち上げておきました」 古賀「ハンドルってサイン的観点からみると“芸名”なわけですね」 岸川「芸能人に違いといえば近いですね」
岸川「まるで読めない、いかにもなサインになる途中の、やや読めるサインを“練習中風”となずけてみました」 古賀「完全に形を失う手前、ということですね」 岸川「この手のサインをする方は字がうまいですね(サインの下のアンケート部分を読んで)」 古賀「いい意味で素人っぽさがあって、共感むんむんですね」
岸川「サインというより記号? というのもありました」 古賀「これは……なんて読むのか謎が残るサインが多いですね」
岸川「かしこまった感じはなく、自分のマークとして使っているんでそうですよね。カジュアルです」 古賀「この手のマーク、自分の名前でうまいのが見つかるといいですよね」
古賀「わたしこれ、日常的に使ってます」 岸川「私もです!」 古賀「サインというより、はんこ代わりという感じで使いますよね。会社でも見かけます」 岸川「そんな業務連絡用ツールのはんこサインをこうしてサインとして使う方もいると」
古賀「あ、でももし、“丸谷”さんとか“丸井”さんとかだったら、記号としての意味もでてきますね」 岸川「本当だ、そうなってくると話も違ってきますよ」 古賀「ううむ。興味深いです」
岸川「さきほど、“小学生風”というのがありましたが、こちらは“中学生風”です」 古賀「筆記体ですね」 岸川「中学に入って習う筆記体。あのとき感じた「筆記体、かっけー! 」って思いあまって作ったサインがそのまま大人になってます」 古賀 「うまいですよね、みなさん」 岸川「そういえば中学生のころ欧米人の子と文通とかして、全然筆記体かいてないのに驚きました」 古賀「あー」
岸川「最後、10ジャンル目ですね」 古賀「意外です。もう全力で意外です。これが一番少ないとは」 岸川「ザ、サイン風サイン。少なかったですね」 古賀「みんな大人になったってことでしょうか」 岸川「でもこのジャンルのた6枚は少数精鋭といったサインばかりでした」
古賀「この上の3枚には共通点がありまして」 岸川「ほほう」 古賀「使っている筆記具が他の方々と違うんですよ。この日は普通のサインペンを配って書いていただいたんですが、持参でしょうか、太いマッキーとか、万年筆使ってる」 岸川「ラーメン屋サインといえばマッキーの太いほうですもんね」 古賀「職人の域に達してますよ」 岸川「いいものを見ました」
古賀「以上、108サンプルみていきました」 岸川「おつかれさまでした」 古賀「岸川検討員はサイン1枚1枚をプロファイルしてましたね。何歳ぐらいだ、とか、主婦じゃないか、とか」 岸川「筆跡とか文字の感じを見てると、人となりが結構浮かんできますよ」 古賀「ほー!」 岸川「ひととなりが浮かんでくるという意味では、「サインをねだられると、人はどんなサインを書くのか」というQには「割と地の感じで書く」というAがついたんじゃないでしょうか」 古賀「まとめた!」 岸川「まとまった!」 古賀「そういったわけで、ご協力くださったみなさま、ありがとうございました」 岸川「楽しかったです! ありがとうございましたー!」
人生がみえる、それがサインだ
一番多かったのはイラスト付きサインで、いかにもサイン、といったものはなんと最も少ないという結果だった。
全体的に書きなれて、垢抜けているものが多く「サインってはしゃぐものじゃないのか」と当たり前のことに気がついた両検討員でありました。
長い人生いやというほど書く自分の名前。書きなれた1枚1枚に人生が宿っているのを見た今回です。言い過ぎかもしれませんが、割と嘘でもないとおもうんだぜ!