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ひらめきの月曜日
 
仲間を食べる

肉編

よく友達と「肉のなかで何が一番好きか」という話をして盛り上がるが、私は豚が一番好きだ。順位で言えば1位・豚、2位・鳥、3位・牛といったところか。きっと食卓への登場回数も、この順番通りだと思う。

だが、大雑把に言ってしまえば、どれも肉だ。ライオンが「俺、インパラ好きじゃないから、今日は狩るのやーめた」などと言うだろうか。言わない。いや、言えない。

私も「どの肉が一番好きか」など、そんな贅沢なことを言ってはイカンのではないか。「肉は全部好きだ!」と胸を張って言えるような、そんなものを作ってみたい。


まずは、鳥の挽き肉を卵の白身でよーく練り、
それを、脂身の少ないオージービーフの上に乗せ、
豚のバラ肉を用意して、
全体を巻きます。

野菜炒めやピーマンの肉詰めなど、普段私たちは肉と野菜を一緒に摂取する。そうすることで栄養のバランスを取ろうと必死になっている。

しかし今回は違う。本能の赴くがまま、欲求の向かうがままに、肉だけを食べてみたい。

考えてみたら、この3種類の肉たちを一度に口に入れた経験がないことに気付いた。焼肉屋などで豚と牛を別々に頼むことはあっても、それを一緒に食べたりはしない。家でも「豚肉と牛肉があるから、一緒に炒めちゃえ」などとは考えず、それぞれを、それぞれに調理する。

つまりこれから向かうのは、まったくの未知の世界だ。


ずっしりと重い肉(ほぼ1キロ)を、フライパンで焼いて焼き目をつけ、
オーブンで中まで火を通します

たとえ名の知れたステーキハウスに行ってもメニューに載ってないであろうこの巨大肉料理は、塩と胡椒でシンプルに食べることにした。どういう味付けにすればいいのかさっぱり分からなかったせいもあるが、肉の味をダイレクトに味わいたいという思いもある。

オーブンからは、凶悪なまでに肉の匂いが発せられている。ああ、なんてイイ匂いなんだろう。この匂いは豚か…? それとも牛? ああ、嗅ぎ分けが出来ない!


名もなき肉料理、完成。

匂いも物凄いが、特筆すべきは肉汁の量だ。なにやらいろんな汁が「出すぎだろ」ってほどに溢れ出ている。

豚パラ肉の上にナイフを入れただけで、ピュッ!と肉汁が飛び出した。

いや、もう…食べる前からたまりません。


あふれ出る肉汁!
すべてが1つに。

3つの肉を同時に口に入れる。ああ。

もしも私が食べ物レポーターならば、開口一番「これは、お肉のサイクルヒットやー!」と叫ぶところだ。もう、どれがどの肉かなんて、考えられない。ただウマイ。塩と胡椒だけの味付けも功を奏している。肉の味が、する。

豚バラの脂の甘みが鳥の挽き肉に染み渡り、全体を牛肉がまとている。三位一体とは、このことを指すのではないか、と思えるほどだ。

肉好きの皆さん、一度、全部の肉を一緒に食べてみてはいかがでしょうか。「肉ってウマイんだなぁ」と、改めて思うキッカケになりますよ。

本当にうまい

「親子丼」や「鮭といくら丼」など、親子と呼ばれる料理がおいしいことは、もう誰もが知っている。今回、私が食べた料理は、考えてみれば親子じゃない。ごはん料理以外は他人も他人だ。他人だけど、仲間。

そう、もしも名前を付けるとすれば「仲間料理」とでも呼ぶべき料理たちは、どれもとっても美味しかった。

冷蔵庫に三種類の肉が少しずつ残っている時など、ちょっとそこの奥さん、試してみてはいかがでしょうか。

仲間って、ホンマにうまいんやー!

 

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