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ひらめきの月曜日
 
カップ焼きそばに革命が!? 本当に焼いたカップ焼きそば試食

これが件の、本当に焼いたと言われる焼きそば。今日(2006.9.18)全国発売です。


「今のカップ焼きそばって、めんにお湯を入れただけで、本当に焼いたわけじゃないですか? 本当に焼いたカップ焼きそばを食べたかったんです」

上の言葉はエースコックの商品開発担当の山田さんの言葉である。僕はこれを聞いたとき、何十回も「なるほど!」と手を打ちたくなった。盲点をつかれた気分だ。

確かに今のカップ焼きそばは、あげた麺をお湯で戻しているだけで、それはそれでおいしいんだけど縁日の日に食べる鉄板で焼いたあの香ばしい焼きそばとは、ちょっと違う性格のものだ。

「ホントに焼いた本焼そば」は縁日の味を目指して4年間商品開発に費やしたという。ならば、これは取材せねば。

カップ焼きそば誕生から約30年。今、カップ焼きそばに革命が起こる! のか!?

(text by 梅田カズヒコ



エースコックさんに相談

本当に焼いた焼きそばが発売されると知ったのは2週間ほど前。偶然、プレスリリースを発見したのである。

これを見た僕はその場で発売元のエースコックに電話をかけた。広報のかたとお話をさせていただいた。

 

梅田「9月18日に、『ホントに焼いた本焼きそば』という商品が発売されますよね? あれについて伺いたいのですが」

エースコック「はいはい。あれはですねー、当社が4年間開発した商品で。弊社一押しの商品になっております」

梅田「あつかましいんですが御社に伺って食べちゃダメですか?」

エースコック「いいですよ。でも本社は大阪なんですよ。東京にも支店はありますが広報部や商品開発部の機能は本社に集中しておりまして、東京では対応できるものがいないんです」

現在の僕の住居は東京。焼きそば一杯のために大阪まで500キロ移動はちょっと厳しい。実現しやすい方法を選んで、現物を送ってもらうことになり、電話にて本社の開発担当者に話しを伺うことになった。

梅田「じゃあさっそく電話で簡単にお話を…」

エースコック「いや、まずは食べていただいてからお話ししましょう。食べてみて、本当においしいと思ったら記事にしてください」

梅田「そうですよね!!」

親切だが自社製品に自信を持つ広報のかたのご厚意で、発売前に商品送っていただくことになった。

後日……

 

届いた!!

しかも大量に!!

なんと12食分もいただきました。ありがとうございました。うれしいです。

 

何はともあれ食べてみます

エースコックのかたの言うとおり、まずは食べてみないと始まらない。わざわざ大阪から届いた商品をいきなりバクバク食べ出すのはちょっともったいないような気もしたがさっそく調理に取りかかることに。


はじめて買った新商品を試すときの興奮を思い浮かべながらご覧ください。

1.さっそく中身を取り出す。なにやらいろいろ説明書きが。
2.フタを開ける。茶色いめんが。ざっくり言えばベビースターラーメンみたいな形状です。
3.かやくを入れお湯を入れる。お湯が茶色くなったよ!! この時点で従来のカップ焼きそばにはない香ばしい香りが漂ってきた。
4.お湯を入れて3分。せっかくなのでぴったり測らせていただきました。
5.お湯を捨てる。この瞬間、シンクに一段と香ばしい香りが漂う。ワクワク。
6.従来のカップ焼きそばと比べ型くずれが少ない。ここにソースとふりかけをかけると……

 

完成!

できあがりのみために関して言えば、従来のカップ焼きそばとそれほど変わらない。さて、味はどうだろうか? にわかに興奮しながら食べる。

 

うま。 

これ、けっこううまいかも。

どんなに頑張ったところで所詮はカップ焼きそばである。おいしいといっても限られている。そう思うだろう?

一口食べたときはいつものカップ焼きそばとそれほど変わらない気がした。しかし、従来のカップ焼きそばは一口目が一番おいしくて、食べ続けるごとに飽きてくる、というものならば、このホントに焼いた本焼きそばは一口目こそそれほど変わらないが、その後も持続するおいしさだ。

一言でまとめたくないのでいろいろ書いたが、要するに飽きの来ない味ってことです。うま。

 

開発担当者のかたに伺ってみました。

カップ焼きそばの味で興奮するとは! カップ焼きそばの底意地を感じ、さっそくこの『ホントに焼いた本焼そば』を開発した山田さんにお礼を言い、話しを聞くことにした。

梅田「おいしいですねー、これ」

山田「そう言っていただけるとうれしいです。開発に4年かかりましたからね。お客様に喜んでいただけると本当に嬉しいです」

○斜陽のカップ焼きそば業界に一石を投じたかった

梅田「まずはこの商品を開発した経緯について伺おうかと」

山田「僕は29歳で、生まれたころからカップ焼きそばを食べて育ったんですよ。で、自分もカップ焼きそばが大好きなんですが、最近カップ焼きそばの売り上げは実は落ちています。今、カップ麺業界は“春雨”や“フォー”なんかが売り上げを伸ばしていて、焼きそばはずいぶん肩身が狭くなってしまった。もちろん時代の流れもありますが、他のラーメンや春雨と比べここ30年間商品に大きな動きがないことも原因かと思いまして」

○なぜ、4年もかかったの?

梅田「開発に4年かかったと言われてますが、何に時間がかかりましたか?」

山田「まず、屋台で食べるあの焼きそばの味をどうにかしてカップ焼きそばで再現できないかと悩むところから始まりました。結論として、もうこれは本当に焼くしかないだろう、と。で、実際にどういう方法を使って焼くのか、そこにすごく時間がかかりました。最初はオーブンなんかで焼いたりもしたんですけど真っ黒焦げにんなったり(笑)。結果、遠赤外線で焼くという方法を見つけました。もちろん、どういった方法で焼くのかは企業秘密ですが、いろいろと手間はかかっております」

○コワザが効いてます。

梅田「本当に麺を焼く以外のところで、実はこんなところもアイディアが生きている、というところはありますか? 小技と言いますか。」

山田「麺以外にも、かやく(キャベツ等)も焼いたんですよ。キャベツも従来の焼きそばに比べ香ばしくなっているはずです」


キャベツも焼いてます。

○期待と不安

梅田「今日が発売日らしいですが、今の心境を」

山田「ワクワクしますが、反面かなりドキドキです。僕にとっては自分の分身のようなものですから。会社に入社してほとんどの期間をこのホントに焼いた本焼きそばの開発に当てましたから」

梅田「ありがとうございました。移り変わりの激しいカップ麺業界で、ロングヒットを生むことは優しいことじゃないかもしれませんが、長く愛される商品になるといいですね」

山田「そうですね。それをいちばんに望んでおります」

 

山田さんの話を聞いていると他人事ながらこちらまでそわそわしてしまった。

と、言うわけでいかがだったでしょうか? 今週のワールドビジネスサテライト。いかした新商品の登場でした。コンビニで買いましょう。

記事を見返すとずいぶん商品を好意的に書きすぎているかも、と思ったが、本心のままに書いています。

商品開発担当者の言葉を借りれば

『いや、まあ一回食べてみてくださいよ、話しはそれからです』ってことですよ。

=====

たくさん送ってくれたので、今、僕は毎日本焼そばを食べている。こうして僕はまた口内炎になるのかもしれない。

カップ焼きそばを食べるときはついでにサラダも買うといいかもしれませんね。


 

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