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ロマンの木曜日
 
 踊る植物

音に反応して踊るように動く植物があるという。舞萩(マイハギ)という中国などの温帯地域に生息するマメ科の多年草である。気温25℃程度になるとよく動き、特に高い音に強く反応するらしい。

今回は、その舞萩に日本を代表するディーバたちの歌声を聞かせてみたい。
果たして舞萩は本当に踊るのだろうか? そして、一体誰の歌声に一番強く反応するのだろうか?
ご覧ください。


(text by 住 正徳



舞萩を手に入れる

舞萩に色々な歌声を聴かせる為に、まずは舞萩を手に入れないといけない。しかし、音に反応して踊るような葉っぱなのだ。そこら辺に生えている訳ではない。ディズニーアニメの世界ならばそこら辺で葉っぱが踊っていても不思議ではないが、ここは現実の世界。そこら辺の葉っぱは音に反応して踊ったりしない。せめて風にそよぐ程度である。

そんな珍しい葉っぱを手に入れる事が出来るのか?
ネットで検索すると、都内に1軒だけ舞萩を取り扱っているお店を見つける事が出来た。練馬区石神井のオザキフラワーパークというガーデンセンターである。早速電話で問い合わせて取り置きをお願いした。


オザキフラワーパーク
https://www.ozaki-flowerpark.co.jp/

翌日の夜、西武新宿線に乗ってオザキフラワーパークに向かった。武蔵関駅から徒歩で15分程度、ふりしきる雨の中、舞萩の苗を求めて歩いた。

店に着くとレジ横に舞萩と思われる鉢植えが2つ置いてある。「スミ様」という売約済みの札がささっているので間違いない。これが舞萩ですか、と感慨深く鉢植えを眺める。葉の近くでパチンパチンと手を叩いてみた。……。舞萩は無反応である。

「踊りませんね」
と僕が言うと、店員さんは舞萩の方を見て「夜は葉を閉じて眠るんですよ」と言った。

どこまでも不思議な葉っぱである。

「天気が良くて、気温が25℃以上。そういう環境だったらピクピク踊ると思います」
「ピクピク?」
「ええ、ピクピク」

踊ると言っても、おもちゃのフラワーロックみたいにグネングネンと踊るのではないらしい。割と小さな動きですから、と念を押された。

帰りの電車で派手に踊られたらどうしよう。オザキフラワーパークに向かっている時はそんな心配をしていた。電車の中で踊る葉っぱを持っている36才。ちょっとまずい感じだ。

でも、舞萩は夜眠ると言うし、そんなに派手に動く訳ではないと言うから大丈夫だろう。


葉が閉じている。寝ているのだ。

事務所に持ち帰り、この日は暗い所で寝かせておいた。
しかし、本当に寝ているのだろうか?

翌日、いよいよ歌声を聴かせる

夜が明けて翌日、気温が十分上がる午後の2時過ぎから歌声を聴かせる事にした。確かに昨晩の状態と違って舞萩の葉っぱは開いている。


踊る植物「舞萩」1鉢500円

舞萩 マメ科ヌスビトハギ属 
学名:Desmodium motorium
英名:telegraph plant
原産地:中国雲南省などの温帯〜熱帯
花期:夏


室温26.8℃

実験を行う部屋の温度は26.8℃だった。
25℃程度という条件は十分に満たしている。

舞萩の近くにCDラジカセとスピーカーをセットした。


実験準備完了

それではいよいよ、舞萩に音楽を聴かせてみよう。
舞萩は本当に踊るのか?

次ページでその全貌が明らかになる。





 

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