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ちしきの金曜日
 
ツインコリダーを見よ


こんなにすてきなのにおかしいな

ご存知の方もいらっしゃるかと思うが、ぼくは団地マニアとしてそこそこ名を知られた人間だ。日々団地造形の魅力を訴求すべく啓蒙活動を行っている。

 

しかし、ぼくの力不足ということもあり、残念ながらまだまだ団地鑑賞はメジャーな趣味として世間から認知されるに至っていない。申し訳ない。

そこで、さらなる活動強化・テコ入れ策の一環として、勝手ながら今回はこの場を借りて団地の分かりやすい魅力をプレゼンテーションさせていただきたい。

タイトルはずばり「ツインコリダーを見よ」だ。なにが「ずばり」だ。

編集部より:団地を見学される際は、お住まいのかたの共用部分に立ち入らないようご注意ください。

(text by 大山 顕



■ツインコリダーとは

ツインコリダーとは何か。てっとりばやく、下記の写真を見ていただこう。これがツインコリダーの眺めだ。


ああ、なんというすばらしい眺望

エレベータータワーに向かって伸びゆく両サイドの廊下、それはあたかも人が持つ未来への希望の象徴のようだ。

すまん、全体的に言い過ぎたが、上の写真を見ていただいてどうだろうか。ぐっとこないだろうか。

万が一こない場合は今回のぼくの記事は最後までずっとこんな調子なので、他の記事をお楽しみいただけたらと思います。申し訳ない。

そのダイナミックな空間づくりで、団地マニアに根強い人気を誇るこの「ツインコリダー」の眺望。ベテランの間では「あざとい」とこれを毛嫌いする向きもあるが、団地鑑賞入門としては最適と言えるだろう。

ということで、今回はこのツインコリダーの写真を収集しに出かけたしだいです。

 

■ツインコリダーの構造はこんな風になっています


長手方向に少しずらしたプランが心憎いツインコリダー団地

ツインコリダーとは、簡単に言うと「普通の団地を廊下側を向き合わせにして2つ並べ、間を吹き抜けにしたもの」と言えるだろう。航空写真や地図で見ると細長い「ロ」の字や「日」の字型になっているのが、それだ。

ここで言う「普通の団地」とは棟の片側が廊下で反対の面がベランダといったもので正式には「片廊下」と呼ばれるものだ。

この片廊下は廊下に面した部屋のプライバシーに問題があるとされ、その解決策として「中廊下」というプランがある。文字通り、棟の外側両面はベランダで、廊下は棟の内部を貫くかたちのものだ。

しかしこの中廊下は廊下が内部なので当然廊下側の採光や通風に難がある。そこで編み出されたソリューションが「ツインコリダー」なのだ。廊下側を上の平面図 にあるように吹き抜けにすることで中廊下の問題を解決したのだ。しかもダイナミックな空間造形をも生み出した。ブラボー。

ちなみにツインコリダーでも解決されないのは棟のどちらの面の家かで日当たりが不平等になる点。それが理由で最近ではこの形式の集合住宅は建てられることがほとんどない。残念。

 

■ツインコリダー収集の旅へ


向こうに見えるのは、まごうことなきツインコリダー!

ぼくも団地歴は長いが、これまでツインコリダーに特に注目してはいなかった。しかし伊達に団地マニアをやってはいない。ツインコリダーといえばどこへ行けばよいかの見当ぐらいすぐつく。どんなもんだい。

と意気込んで出かけたは良いが、思わぬ困難が待ち受けていたのだ。


 

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