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ロマンの木曜日
 
下戸がつくる、酒酔い疑似体験メガネ
ノンアルコール酔い実践中


飲酒運転がらみの事故があとをたたない。
私などは酒が飲めないのに、警官に
「飲んでるだろう」
と問われたことがある。むかついた。

「飲んでる人より酔っぱらってる」
と言われることもたしかにあるが、一滴も飲めない私が酔うわけないだろう。
ウイスキーボンボンで卒倒しますと言ってようやく解放されたほどだ。これは緊急事態だ。
各地のNPO団体や警察などで、飲酒運転撲滅運動が盛んなのもうなずける。

じっさいにアルコールを飲んでの運転体験もあるが、気になったのは特殊なゴーグルをつけて飲酒疑似体験をする試みだ。平衡感覚と距離感がにぶり、酒酔いの状態をシュミレートするそうだ。

なんだこれ、面白そう。

自分で作ってみようじゃないか、その酔いゴーグル。

(text by 土屋 遊



酒酔い疑似体験メガネのできるまで

酒酔いの疑似体験ができる特殊なゴーグルの作り方を調べていたおり(ついにわからなかった)、母のやるせない光景を思い出した。

家での母は、度数の高い典型的な老眼鏡を使っている。外出するときは度数の低いシャレこいたメガネをしているのだが、レストランのメニューや商品の値札を見るときにはバッグの中から老眼鏡を取りだす。メガネの上にまたメガネ、二重にしてかけるのだ。

最近ではさらに老眼は悪化、その上にもう一つ重ねて"三重がけ"をする。よく見えるのだそうだ。そして、うっかりトリプル面のまま、買物を続けているありさまだ。

かっこつけたためにさらにブザマになる仕組み。それでも母は、シャレメガネをやめない。

一度母のメガネを借りてやってみたことがあるが、目の前がふらついて、脳がグラリとした。

あれだ。

ゴーグルを作ることはできなくても、メガネを何重にもかければ疑似体験ができるのではないか。しかもカンタンだ。


使用するメガネはぜんぶで七本。メガネセブンと名付けます。もちろん全部"度付きレンズ"です。

 

酔いメガネセブンで化け物展へ

酔いメガネセブン(以下酔いメガネ7)でどう過ごすべきか考えていたのだが、ちょうど友人らと化け物の文化誌展へ行く約束をしていた。

夏休み自由研究で「日本の妖怪調べ」をやったこともあるし、2年前に開催された「日本の幻獣展」も観に行った。詳しいわけではないが、ようするに私は、化け物経験者だ。

初体験の友人と差をつけるために、そして私の身の安全のためにも、私はこの日を酔いメガネ7実施日と決めた。

これでで化け物を、より化け物らしく見ることもできそうじゃないか。

 

スタートは待ち合わせの上野駅から

待ち合わせは上野駅前。
そこまで一人で来るのは命がけだ。
識別することはできるが、主に周囲がぼやけている。平衡感覚というよりも距離感がまったくつかめない。いくら疑似体験とはいえ「酔ってホームに転落」するほど私はがんばりたくない。

とっととスケジュールを変更し、集合場所からスタートをすることにした。


やあ。驚いて携帯カメラをかまえた友人

初歩き。
友人の腕にしがみつきながら、おそるおそる確かめるように横断歩道を渡ったが、渡り切ったところで腕を振り払われた。
恥ずかしいのだそうだ。
わかる。酔っぱらいにしがみつかれながら歩くなんてそりゃいやだろう。

納得し気合いを入れた。しがみついている時よりもずっと歩きやすい。
歩ける。ずんずん行ける。


チョコバナナにミッキーマウスの顔がついているそうなのだが……見えない。

 

思わぬ誤算

あまりにもいいアイデアを思いついたと陶酔していたために、なにも考えずに酔いメガネ7をかけて歩いた。
七つのメガネをかけただけのブツだ。これはもう自作とか自家製とかいえるグッズではない。
誤算だった。どんどんずれていくのだ。
途中でずり落ちそうになる7本のただのメガネ。つらい。

落ちるのもつらいが、今さらながら、なんでも自作してしまうライターのみなさんに申しわけなくてつらい。(注:1)

ちょうど友人が髪を束ねていたゴムと、私の腕にかけていたゴムがあった。
この2本のゴムパーツを使用して固定させてみた。そうだよ、これで正々堂々と自作の酔いメガネと言うことができるじゃないか。恥じることなどないじゃないか。

しかも落ちない。たぶん。


自家製酒酔い疑似体験マシン7の完成だ

 

自家製マシンで性格も変わる!

↑雑誌の裏表紙、広告風にお読みください。

思えばショボい七つメガネの時代の私は、「落ちないように落ちないように」と気づかいながら背筋を正して少しアゴをあげて歩いていた。うしろ首の筋力をかなり使っていたらしい。

一変してニュータイプのメガネ7を装備した私は水を得た魚だ。

ちょっとぐらいズレたっていい。
自由に動きまわり、いつもの猫背で鼻をかむことだってできる。


ご満悦

泥酔度がアップした気が……?

マフラーで鼻をかんでいたらしい


こんな女々しいポーズをしていたとは……酔いがまわってきたのか。「つぎは化け物文化誌展へご案内しまーす」

 

注:1 そんなのウソです。

 

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