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はっけんの水曜日
 
うちの母はどこまで知ってるのか?

以前、当サイトにて、
「ネット上で検索されたキーワードについて、母はどれくらい知っているのか、ウェブマスターの林氏が実母に電話をかけて聞いてみる」という、「検索VS母」なる記事が掲載されていましたが……。
私もウチの母が、世間の流行りを、どこまで何を知ってるのか、大変興味があったのです。
そこで先日、「冬のソナタ・ザ・ミュージカル@新宿コマ劇場」に一緒に行った際、新大久保で韓国料理を食べながら、インタビューを敢行してみました。
2006年秋、母、69歳。浮き草稼業で独身の娘を心配してる、ちょっぴり微妙なお年頃……。

(text by 大塚 幸代



母イン、コリアンレストラン。アルコールは飲まないので、オレンジジュース。

---どうですか、最近。あいかわらず韓国ドラマ、観てますか? 
「観てるわねえ」
---さっき韓国DVD店で、「あっコレも観た、コレもコレも」とか言ってたもんねえ。「コレ、スーパーの店長の話なの、死にそうなのよね、でもなんか背が低そうだから、私の好みじゃないの」って指差してたドラマ……その概要では、出演者及びストーリーが、一切分からないのですが……タイトル、何? 何てドラマ?
「忘れちゃったわー、何だっけ?」
---そう……(あとで検索したところ、オ・デギュという俳優さん主演のドラマのようでした)。ところで、そのドラマは面白かったの?


ハングルあふれる店内。ネットで『美味しい店』で検索したとこだったんだけど……。

「いまひとつねー、背が低そうだったし」
---私は俳優の身長に、こだわりないけどなあ……なぜにそんな身長を気にするのか。ハリウッド映画で青春おくってきた中高年の価値観て、基準が違うよなあ……。
で、いま面白い韓国ドラマ、何?
「ソ・ジソプの出てるやつ!」
---お、その人、名前だけ知ってる。暗い表情でワイルド系の俳優だっけ。目が印象的な。
「そうそう。こんな顔(顔まね)→(参考:ソ・ジソプのイメージ検索)」
---そんな顔だったかも。っていうか、顔まねしなくていいから……。で、内容って、どんなやつ? なにげに国境を超えて、中国に流れ流れる話だっけ?
「それは違うドラマ、『北京マイラブ』だったかな? それも観たけど。
ソ・ジソプの出てるやつは、『ごめん、愛してる』ってタイトルで、頭に銃弾が入ってる男、という役。」

---そんな設定なんだ。
「クールでワイルドで、本当に、かっこいいのよね〜」
---うすうす思ってたけど、お母さん、ダメそうな男性が好きよね……。KAT-TUNだったら赤西くん、とか言ってるしなあ。
日本のドラマは全然観ないの?
「観ないわねえ……あ、NHKでやってた『魂萌え!』(公式サイト)がちょっと面白かった」
---月9とか、全然観ないの?
「見ないの! 全然観ない」

突き出しは4皿。カクテキだけ美味しかった。

---なんで? 亀梨くんとかの、身長が低そうだから?
「それも、ある。」
---……日本の俳優で好きな人いないの? 最近の若い女性には、オダギリジョーとか人気がありますが。
「あの子! なかなかクセがあるわよね!」
---あ、ありますね。
「人斬り以蔵の役、良かったわ! NHKの『新選組!』のやつね」
---NHK強いなあ。わたし、『新選組!』観てないや。
「オダギリジョーって、いま、どんなドラマに出てるの?」
---そういやテレビドラマにはあんま出てないね……。お母さん世代って、映画館にも行かないし、DVDレンタルにも行かないし、そうすると、テレビ観るのがメインになるんだね……。
「普通の地上波ドラマがやってる時間は、BSで韓国ドラマ観てるわよ」
---だよねえ。
「オダギリジョーは、何でそんなに人気なの?」
---去年、いちばん人気のあった映画に出てたのよ。『メゾン・ド・ヒミコ』っていうやつ。
「マンガ原作? どんな話?」
---いや、マンガじゃないんだけど。うーんと、えーと、ゲイのための老人ホームの話で、オダギリさんは同性愛者の役で(以下略)
……という映画に、20代以上の女性が萌え萌えになって感動して泣いたんですけど……あれ、女性がゲイを好きになる映画が一番人気って、すごいことなのかも……ううーん、説明不可!
クドカンドラマとかはどう? っていうか、『クドカン』自体は知ってる?
「知ってるけど。」
---何の人か知ってる?
「キサラズなんとかの人でしょ?」
---『木更津キャッツアイ』の木更津までは知ってるのかあ。でも、観てない?
「ない。あのひと、音楽家なの?」
---音楽もやってるけど……えーと、『大人計画』は知ってる?
「知らない」
---知らないよねえ、松尾スズキとか。
「松尾スズキ……? きいたことはある。」
---ええと、大人計画は、松尾スズキさんという人が率いる劇団で、クドカンこと宮藤官九郎さんは、そこの劇団員で役者なんだけど、人気脚本家で、音楽もやってて……ほら、去年の紅白歌合戦に出てたの、覚えてない? 琴欧洲にからんでたやつ。
「ああ、ああ! ひょっとして阿部サダヲとかのいるグループ?」
---そうそう、っていうか阿部サダヲは知ってるの?
「知ってる! NHKの朝のドラマにずっと出てたから。すごく個性的な役だったわ、光ってたわ。」
---NHK強いなあ。
そういや、音楽番組も見ない?
「あなたが実家を出てから、全然観ないわねえ。演歌とかも好きじゃないから観ないし。……あ、『渋谷らいぶ館』っていう、NHKのBSの番組、それは見てる。」
---またNHKかあ。誰が出てるの、それ。
「この間みたときは、宝塚の、愛華みれ、かな?」
---ワンマンショー?
「2人づつくらい、コラボで出るんだけど。……あの、あれよ、昔、ロックバンドやってた、女の子グループやってた人。」
---プリンセス・プリンセスあたりかなあ。
「そうそう。……いや、違うかも。」
---えー……誰だろ。SHOW-YAとか? 最近、復活ライブしてたし。
「そうそう、ショウヤショウヤ。あれ、良かった。」
---良かったのか! しかし、そんなことが行われていたのか、私の知らないこと多いなあ……。

チヂミ。母が食べたいと言ったから頼んだのに、『こんなの家で作れるじゃない』と文句言う母。あー、私とか家族だけだと言うんだよねえ、そういうこと。

しかし歌番組観ないのに、赤西くんファンってのがよく分かんないなあ。どこで知ったの?
「だってテレビ出てるじゃない。歌は聴いたこと、ない。いっかいも、ない。」
---えー! いっぱい歌ってたのに!
「確かね、最初は亀梨くんが変な名前だなあと思って、グループがあるってことを知って、他の子の紹介が出て、その中では、赤西くんの顔がいちばんいいなあって思って……。」
---それで名前を把握した、と。……で、今回の脱退の件は、どうお感じになられておりますでしょうか?
「スマップの森くんみたいなもんでしょ?」
---まあ……そうなんですかね?
「やっと名前が知れ渡ったくらいなのに、もったいないわねえ。でもきっと、皆で一緒に行動するのが、嫌なタイプなんだと思うわ」
---なぜか断言口調ですが。どうなんすかねえ〜。
週刊誌見たら、元ジャニーズジュニアのハーフの男の子とか、インターナショナルスクールに行ってる友達が多くて、みたいなことが書いてあって……だったら留学したいって思うのもアリかなあって私は思いましたが。……ってまあ、普通に噂話してますね、私たち、親子で。
他にジャニーズで、好きな子います? 
「うーん、いないわね」
---キムタクの「アンアン抱かれたい男ランキング、前人未到の13連覇」については、どう思います?
「どうしてそんなに、支持されるのか分からない。背、小さいし! なんで!?」
---身長はともかく……。
あのー、一説としてあるのが、スマップって、団塊ジュニアなんですよ。人口の山でいちばん大きいのが、ことし34歳の人。スマップの年長組がそうで、私もモロ同世代なんすけど……。
「ああー、そうかー。」
---だからみんな、スマップと一緒に年をとっているので、若い気でいるというか。スマップを認めるのが自己肯定にもなるというか。そんな気がしてならんのです。でも気のせいかもしれません。
「ほんと、みんな、なかなか結婚しないしねえ。でも気がつかなかったわあ」
---当時の平均からしたら、私を生んだのって高齢出産だったから、他のお母さんと年代違うんだよね。お母さんは団塊の世代より、10は上だよね。
「……キムタク、背とか小さくない?」
---背にこだわるなあ。韓国のモデル出身の俳優と比べたら、悪いよー。あのヒトたち、ガタイ良すぎ。
んー、私はキムタクさん、いい人だと思いますよ、抱かれたいかどうかは別ですが。ゴハンとかおごってくれそうだし。
「……成宮寛貴と玉木宏、顔、そっくりじゃない!?」
---んんー!? 話が飛ぶなあ。若い俳優、知ってるじゃん!
「知ってるわ。なぜかしら。」
---ナルミヤくんのほうが、線が細い感じするけどなあ。同系統のお顔ではあるなあ。
槇原敬之の盗作騒動については、どう思う?
「そんなこと言ったらねえ、始まらないっていうか。言葉っていろんな表現あるじゃない?」
---マッキーがね、『そもそもスリーナインは、宮沢賢治の銀河鉄道の夜に影響されてますよね?』と言ってました。
「そうよねえ。そうよ!」
---あと、何聞こうかなあ……『池袋乙女ロード』は知ってる?
「『ご主人様』っていうやつでしょ?」
---あ、それは秋葉原だけど。
「ううん、それの女の子用の……『お嬢様おかえりなさい』とか言うんだっけ?」
---そうそう、男装女性のホストクラブとかね。私も行ったことないんですが。
「どこがいいの、あれ。」
おや、批判的。でもお母さん、むかし若い頃、宝塚にキャーキャー言ってたわけでしょ。……人のことは、言えないのでは?
「……うっ。そうかも。」
---『メガネ男子』は分かる?
「メガネをかけた子がステキ、っていうアレでしょ?」
---そうそう。それは理解できる?
「うーん、わからない。別にい〜。」
---エアギターはみたことある?
「ダイノジのオオチでしょ。……あんなの、誰でも出来そうね。」
---そう見えちゃうよねえ。本当はそうじゃないと思うけど。
『R25』とか知ってる?
「バンド名?」
---いや、違うけど。まあ知らなくてもいいです。
しかしなあ。中高年って、テレビと新聞でしか、情報収集しないわけだよなあ。雑誌買わないよね?
「買わない。」
---ネットもしないよね?
「しないしない。」
---私が書いてる『デイリーポータルZ』ってサイト、見たことないでしょ。
「ない!」
---(実家にはネット環境があり、実兄は当サイト読者なのですが)兄が画面を母に見せたこともない?
「ない!」
---やっぱりな。
「ところで、ねえねえ、リュ・シオンの店って、まだやってるの?」
---知らにゃい!!

サムゲタン。『中が冷たい!!』と母がつぶやいた、どうも解凍が失敗してるっぽかった。とにかくこの店、ハズレでした。ああ、ネットで調べてもやっぱりダメなことってあるよね……孝行失敗。くやぴー。

 

知ってること、知らないこと。知識の守備範囲の違う、わたくしたちの会話。
母じゃなくて「69歳の女の人」と喋ってるんだよな、というモードで話をきくと、いらつくこともありません。
この後、彼女は韓国食品店で「これ、電車に乗って持って帰ってもくさくないかな?」とキムチを買い、「女学生のとき、韓国人のお友達が食べさせてくれたお菓子がある!」と言って、モチっぽいものを購入。
『冬ソナミュージカル』は、予想よりずっと良いステージでした。内容はテレビの超ダイジェスト(10年前に交通事故で死んだ想い人にそっくりな人が現われ…というアレ)で、「みんな、テレビで見た、こことここのくだりと、この曲は覚えてるでしょ?」っていうサービスの凝縮で。
「私が寂しいと感じるときに、クドカンドラマやらオダギリジョーやらを求めるのと同じで、彼女も韓国のドラマに、ものすごく救われているんだろうなあー」と想像したり、しました。
時間に関係なく、好きなものを好きなように知って把握して楽しんでいれば、いいっつーことなんでしょうか。
いいのか、こんなまとめで。いいか!

 

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