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ひらめきの月曜日
 
中華丼を巡る一考察
これはマーボナス丼。中華丼ではない。これを見て『あ、中華丼だ』と思った人。どうか中華丼をもっと深く鑑賞してみてください。

先日、とても悲しいことがあった。

近所の中華料理屋で食べた中華丼がしょぼかったのだ。

とても悲しい。

慰めてもらおうと思ってこの悲しみをみんなに説明したら慰められるどころか笑われた。

僕が顔を真っ赤にして必死で『だって、中華丼なのにエビもタケノコも入ってないんですよ!! 考えられますか??』

と話すが力説すればするほど周りの人はニヤニヤするばかりだ。何がそんなにおかしいのか。大人はいつもそうだ。

腹が立つので当初のネタを変更して、この場を借りて中華丼とは何かを広く読者に訴えかける企画を行いたいと思う。緊急特番、中華丼を巡る一考察。

(text by 梅田カズヒコ

想像してください

ちょっと想像してほしい。次の事例の中で、もっとも腹の立つ事例を教えて欲しい。

A.うどん屋でうどんを頼んだらしょぼいうどんが出てきた。
B.カレー屋でカレーを頼んだらしょぼいカレーが出てきた。
C.中華料理屋で中華丼を頼んだらしょぼい中華丼が出てきた。

どうだろう? Cが一番むかつかないだろうか? カレーがしょぼかったり、うどんがしょぼかったりしても『ま、そんなこともあるさ。ケセラセラ』と笑えるが中華丼の場合はかなり残念な感じがする。(あるいは、Cがむかつくのは僕だけかもしれないけど)

なぜだろう?

ではひとまず今回のネタの発端となった『しょぼい中華丼』を再現してみるのはどうか。ちょっとの間『しょぼい中華丼』について思考をめぐらせてみたい。

しょぼい中華丼の一考察


怒りに任せて作ったらこんなふうになりました

ちょっとオーバーぎみかもしれないがこんな感じのものを『はい、中華丼です』と言いながら持ってきた。違う、しょぼすぎる、こんなものは中華丼でもなんでもない。これは中華丼ではなく『あまりもの野菜を片栗粉でとろみをつけててきとうにご飯にのっけたもの』だ。

しかしこのことを友達に話すと

中華丼ってそもそも野菜を片栗粉でとろみをつけてご飯にのっけたものじゃない? と言われた。

しかし僕はそれを中華丼だと認めたくない。

中華丼を注文するとき、人はこんなものを期待しているのではないか。


僕らが中華丼にもとめているもの(2006年、梅田カズヒコ調べ。参考資料:妄想)

・あんの中にひっそり隠れたうずらのたまご
・ぷりぷりのエビ
・海鮮類が入ってる(イカやあさりなど)
・こりこりしたうまいキクラゲとかタケノコとか。
・etc・・・。


上記のようなもののいくつかの要素が加わってはじめて中華丼と呼べるのではないか。しかし書き上げてみて思ったが、例えばうずらのたまごが入ってなくてもおいしい中華丼はあるし、海鮮類が入ってなくたっておいしい中華丼もある。

つまり、

『中華丼の定義は牛丼や天丼に比べあいまいである』

ということが言えそうだ。例えば牛丼に牛肉が入っていなければクレームをつけることができる。しかし、中華丼にエビやうずらのたまごが入っていなくても「これがうちの中華丼です」と言われて出されてしまえば文句は言えない。

つまり中華丼とは中華料理屋の主人の采配にある程度任せないといけない料理だと言える。店との信頼関係が必要なのだ。そして件の“しょぼい中華丼の親父”はその信頼関係を裏切ったのだ。

だから、しょぼい中華丼はしょぼいカレーやうどんより腹が立つわけだ。

ちょっとオーバーぎみな表現が続いてますが……

と、言うわけで中華丼の件について僕が何をすればいいのか分かった。


今回、『中華丼がしょぼかった』という悲劇を生んでしまった原因は?
    ↓
中華丼の定義が非常にあいまいである。

解決策は?
    ↓
中華丼の定義を明確にする。


こうして中華丼の定義を明確にするための旅がはじまった。(次ページへ続く)


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