■午前４時（外気温マイナス２度）

先頭の人たちが並んでいる立体駐車場の出入口は、店舗の西側にある。

午前３時半に並び始めた時は、出入口から人があふれ始めた頃だった。

それから３０分がたって、午前４時になると、１００メートルほど列が伸びていた。

最後尾にいる店員さんに聞いたところ、この段階で４００人ほど並んでいるという。

■午前５時（外気温マイナス２度）

列はさらに伸びて、われわれが並んでいた西側から、北側の壁面にまで達していた。

推測だが、この段階で５００人強になっていたと思う。

店舗の北側は一部ロードヒーティングではなく、雪が積もって氷になっている場所があり、ここで立っていると非常につらい。

空がわずかに明るくなってきた。
北海道の朝は冬でも早い。

■午前６時（外気温マイナス３度）

６時を回ると、急に状況が変わり始めた。

まず、夜が明ける。
そして並ぶ人が急激に増えた。

５時の段階で、店舗の北側まで達した行列は、６時になると東側にまで伸び、さらに隣の建物の前、そして南側まで行列が続いた。

店舗とその隣の建物を、行列がぐるりと囲むくらいに人が増えていた。

最後尾の店員さんに聞いたところ、この段階で７００人くらいとのこと。

今回、Wii本体は１０００台入荷なので、この時間から並んだ人はじゅうぶん買える範囲にいるが、ゲームソフトは本体ほど入荷していないので、ゲームソフトが品切れになる可能性がある。

やはり品切れが気になるのか、並んでいる人がしきりに、店員さんにゲームフトの入荷数を確認していた。

また店員さんに聞いたところ、深夜からここまで大人数の行列ができたのは、この店舗では初めてとのこと。

１１月１１日のプレイステーション３発売時も前日から並ぶ人がいたが、出荷数が少なかったので夜のうちに定数に達してしまい、行列にはならなかったのだとか。

■午前６時３０分（外気温マイナス１度）

さらに３０分たち、午前６時半になると、列はさらに伸びて８００人強に。

Wii販売は７時なので、みんなが「まだかまだか」とソワソワし始める。

ハッピを着た店員さんが忙しそうに歩き始めたり、取材の報道陣があらわれたりと、いよいよ動き出す予感。

６時半すぎ、先頭の人から移動が始まった。
西側にいた人たちが、東側の出入口に移動するが、全員が入れるわけではないので、移動しては止まり、移動しては止まりの繰り返し。

■午前７時（外気温０度）

明るくなったが、まだ寒い。
座っている時はシートなどで風を避けられたが、移動中はシートが使えないので、意外と寒く感じる。

それでも、少しずつ列が進むとうれしい。

店舗内にあるファーストフード店が営業を始めた。
店員さんが行列のところまでメニューを聞きに来たり、商品を持って来てくれたりするのだ。

本来の目的であるWiiより、目先のホットコーヒーの湯気に目を奪われる。

■午前７時１５分（室温２２度）

やっと店内に入れる。
この瞬間だけは、Wiiより何より、暖かい室内に入れたことがうれしい。

無人の店内を抜けて、３階のゲームソフト売り場を目指す。
エスカレーターは動いていないので、自力で上っていく。
エスカレーターの一段って、普通の階段より高いのか…と、小さな発見。

他に客のいない店内を、進んでは待ち、の繰り返し。
家電と家電のあいまを縫うように、行列が進んでいく。
なかなか見られない光景だ。

待っている間にも、店員さんが拡声器で、商品情報を教えてくれる。まず、ヌンチャク型コントローラが早々に完売した。

■午前８時３０分（室温２２度）

店内に入ってから１時間１５分が経過して、やっとレジに到着。Wiiとゲームソフト１本を購入！

ってあれ？
私は行列を見に来ただけのはずなのに、なぜ買っている！？

いやもう、並んでいる人々の連帯感というか、ソワソワしながら行列に混ざっているうちに、「Wiiが欲しい！！」という気持ちが伝染してきたのだ。

店内に入り、Wiiロゴのついた箱を見た瞬間、本気で「やった、Wiiだ〜！」と思ったのだから不思議。

苦労が多いほど、喜びが多いというのは本当だ。