この岩群青は、アズライトという石を砕いて絵具としているという。天然の石からこの色が出るのだ。信じられない。まさに、カンバスの上の宝石たちといえよう。感動したので巧い事言おうとしてみた。
年賀状にはこの「岩群青」だけを使う事にした。鮮やかな青が一面に広がる年賀状である。しかもそれには1万円の価値があるのだ。そんなオリジナル年賀状は見た事がない。が然、やる気が出てくる。
早速、「岩群青」を1万円分譲っていただこうと思ったのだが、この絵具をそのまま年賀状の裏に塗るのではうまくいかないと言われた。一万円分の岩群青だと、紙に対してかなりのボリュームとなるため、紙が反ってしまうらしい。
「どうしたらいいでしょうか?」
「ベニアを使うのがいいんじゃないかな」
薄いベニアをカンバスとして、そこに岩群青を塗るというのだ。しかも、ただベニアに塗ればいいという訳ではなく、ベニアの上にまず下地を塗り、その上に白い顔料を塗り、そこまで準備してようやく岩群青の出番なのだという。
お店に足を運んで本当に良かった。絵具屋三吉さんはネット通販もやっているので、適当な絵具を1万円分見繕っていただき、送ってもらおうかとも考えていた。もしそうしていたら、年賀状が反ってしまって途方にくれていた事だろう。1万円分の絵具をおめおめと無駄にするところであった。 |