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ロマンの木曜日
 
ジンギスカンのシメはチャーハン

すっかり寒くなって、まさに鍋の季節だ。
鍋といえば、最後のシメの雑炊がおいしい。
たらふく鍋を食べたあとなのに、なぜかあのシメの雑炊はいくらでも食べられてしまう。

ところで、最近流行のジンギスカンも、「ジンギスカン鍋」と言われるように、鍋料理の一種である。
そのジンギスカンのシメに、雑炊ならぬチャーハンを作った。

工藤 考浩



北海道ではジンギスカンのシメはチャーハンという嘘


僕の郷里は北海道である。
北海道の鍋といえば石狩鍋も有名だが、なんといっても我ら道産子のソウルフード、ジンギスカンである。
いまや、そのおいしさと栄養的価値からか、東京でもたくさんのジンギスカン店がオープンしている。

ところで僕は以前からいろんな人に、
「北海道の家庭では、ジンギスカンを食べ終わったあと、シメにチャーハンを作って食べるんだよ。」
という話をしている。
でもこの話しは、ウソだ。
いかにもありそうな話しだが、これはまったくのウソだ。
つまり、でまかせである。


北海道の家庭的ジンギスカンといえばこのタレが欠かせない

 

ウソはホントにウソなのか

では、なぜ、でまかせなのか。
それは、普通の鍋料理では具材のダシがたっぷりと出たスープと、とろとろに煮込まれた白菜や大根などの野菜が食べ終えた鍋に残り、それが雑炊の味の決め手となるが、ジンギスカンの場合、鍋に残っているのは茶色く焦げたもやしやタマネギと、固くなったラム肉の切れ端と脂だけである。
そこでチャーハンを作っても 、きっと脂っこくて焦げ臭くて、おいしいわけがない。

日常的にジンギスカンを食べている北海道の人なら、こんなウソにはすぐに気がつくのだが、そうではない人にこの話をすると、ほとんどの人から、「へえー、おいしそう!」という返事がかえってくる。
ところが、いつもそこで「ウソだよ。」と説明するのだが、それでもみんな「いや、おいしそうだよ、それ。」と言うのだ。
うーん。
自分ででまかせを言っておいてなんだが、だんだん、もしかするとおいしいんじゃないかって気がしてきた、シメのチャーハン。
そういえば確かに、一度も試したことがない。
ここはひとつ、作ってみるか。


タマネギとピーマンを切り、もやしを洗い、

 

まずはジンギスカンを作らなきゃ

シメのチャーハンを作るには、まずジンギスカンを食べ終えた状況を作りださなければならない。
状況を作りだすというと大げさだか、要するに、ジンギスカンを作って食うのである。
北海道で一人暮らしをしていたころは、頻繁にジンギスカンを作って食べていた。
簡単でお金がかからないからだ。
当時北海道では、ラム肉は100g78円くらいで売られていた(今現在でも北海道では100円/100gくらい、東京では128円/100g)。
豚肉より安い。
それにもやしやタマネギを入れるだけで、立派なジンギスカンになり、栄養も取れるので、いつもジンギスカンを食べていた気がする。


準備出来上がり

 

ブームに感謝

北海道から東京に引っ越してきて、一番悲しかったのはラム肉がスーパーで売られていないことだった。
散々探し、デパートの地下で売っているのを見つけたが100g350円もして、大変ショックを受けた。
ところが、最近のジンギスカンブームで、いまやどこのスーパーでも普通にラム肉が買える。
さらに、北海道に帰省するたびに購入していた、北海道では定番の、ベル食品という会社が作っている「成吉思汗たれ」(通称ベルのジンタレ)も、簡単に手に入る。
まさにブームさまさまだ。
僕は今、ジンギスカンブームにとても感謝している。
ありがとう、健康好きな人。


ちなみに普通の家では、あの真ん中が盛り上がった鍋はあまり使わない

ピーマン、タマネギ
もやしをのせて、焼く

 

ジンギスカンできたよ

と、飲み屋での会話みたいなことを書いているうちに、ジンギスカンができ上がった。
ラム肉の芳醇なチチ臭さが部屋全体をおおっている。


完成です

 

ジンギスカンはうまい

久しぶりに食べたジンギスカンだが、やっぱりジンギスカンはおいしい。
僕にとって、肉とは牛でも豚でも鶏でもなくて、羊だ。
羊肉はすばらしい。
みんなももっと羊を食え。


ジンギスカンのタマネギこそが、タマネギの中のタマネギだと僕は思う

 

チャーハンの具の仕込みが終わった

ジンギスカンを食べ終え、ようやく今日の本題である「シメのチャーハン」の調理に入る。

…のだが、下の写真をご覧いただければわかるように、全体的に茶色である。
やっぱり、これでチャーハンを作ってもおいしそうではない。


宴の後、といった感じだ

 

ごはんを入れて炒めよう

ここで止めにして、「ジンギスカンはおいしいね」という企画にしたいのはやまやまではあるが、初志貫徹、シメのチャーハンを作るのだ。
茶色くなった野菜くずとラム肉のかけらに、炊きたての白いごはんを入れて、ごはんがパラリとなるまで炒めよう。


余談だが、100円ショップの土鍋でメシを炊くとうまいよ

このまま食べたいごはんを、残飯の中へ投入する

ごはんがパラリとなるまで炒めたいのだが、肉の脂が多すぎるのか、いつまでたってもネトネトしている。
せっかくごはんを硬めに炊いたのに、台無しっぽい。
そういえば、チャーハンは冷やごはんで作るんだっけ。


ねちょっとしてきた、やはりおいしくなさそう

 

タマゴを入れよう

鍋のシメの雑炊には、タマゴが欠かせない。
一般的なチャーハンにもタマゴが入っているので、意外な共通項だ。
数少ない共通項を見つけ、なんとなく、心強い。


困った時のタマゴ頼み

タマゴを割り入れ、
混ぜる、混ぜる

 

味の決め手は

タマゴに火が通ったところで、味付けをしよう。
ジンギスカンの味の決め手は「タレ」にある。
北海道ではどこの家庭にもある(きっと、感覚的にキューピーマヨネーズやカゴメケチャップと同じくらいの普及率だと思う)「ベルのジンタレ」で味付けした。
酸っぱくて甘い、フルーティーな味がラム肉と良くあうのだ。 たぶん。


ジンタレを入れ

ジューッと炒める

 

ちょっとおいしそうな香り

熱いホットプレートにジンギスカンのタレを注いだ時に、はじめて「おいしそう」という感覚をおぼえた。
タレの焦げる香りがたまらないのである。
焦げた肉と野菜に焦げたタレと、良く考えるとおぞましいが、おいしそうな匂いがしたのは事実として受け止めなければなるまい。
なんとか食べ物っぽくなったところで、完成である。


「シメのチャーハン」完成!

 

どうしよう、普通に「ふつう」だ

いただきますと食べてみたが、それがなんともふつうの味だ。
ものすごくマズくはないが、けっしてウマくもない。
なんというか、ものすごく記事にしづらい味である。
思ったほど焦げ臭くはないし、脂っぽくもない。
確かにラム肉の匂いはするけれど、それほどひどくはない。
これはこれで、アリといえばアリだ。
けれど、どうもパンチがないというか、どうせならもったマズいほうがいい。
とても中途半端だ。
何かが足りない、という感じなのだ。


うん、ふつうだ

 

もう1回作る

どうしても、このままでは終われない。
おいしくもマズくもないとなると、ちょっと面白味に欠けるので、飲み屋で他人にも話せない。
なのでリベンジすることにした。
翌日の部屋はまだラム肉くさいのだが、二日続けてジンギスカンだ。


二日目は盛りつけ省略

ジャーッと作って

食べた

 

昨日のチャーハンの反省点

昨日のチャーハンのどこがイマイチだったのかを踏まえ、もう一度挑む。
まず、味にキメが無かった。
たしかにジンギスカンのタレはおいしいのだが、全体的に甘くマイルドで、平たんな味だった。口に含んで噛んだ時に広がるヤマ場が欲しい。
そして、意外にも焦げ臭さに関しては気にならなかったのだが、野菜がすべてクタクタに火が通っていて、食感に張りがない。
このあたりの問題を解決したい。


そこで用意したキムチと
全部は焼かずにとっておいたピーマンを

残飯といっしょに、

炒めた

キムチのピリ辛と、ピーマンの歯ざわりに期待したい。
これに、今日は炊いてから冷ましておいたごはんを入れて、炒める。


今度こそパラリとしたいものだ

 

味付けにもひと工夫

昨日はジンギスカンのタレのみで味付けしてしまったが、今日は塩コショウで味をつけてから、隠し味的にジンタレを使ってみた。


塩と
コショウとで下味をつけ

おっとタマゴは欠かせない

最後にベルのジンタレで味を決めて

 

今日のは見た目もうまそうだ

キムチの赤とピーマンの緑がアクセントとなり、今日のはおいしそうに見える。
これは期待が持てそうだ。
ごはんもパラリとしているし、いけるんじゃないだろうか。


「ジンギスカンのシメのチャーハン進化版」完成

こりゃ、うまいぞ

ひへへ、うまい!

嘘から出た誠というか、瓢箪からコマというべきか、いやいやこの際、われ鍋に閉じ蓋でも、馬の耳に念仏でも、痛くなったらすぐセデスでも何でもいい。
とにかくうまいのだ。
すごいぞ、俺。
大成功しちゃった、へへ。
「ジンギスカンのシメはチャーハン」はおすすめだ。
「ジンギスカンのシメはチャーハン」ムーブメントの始まりだ。
「ジンギスカンのシメはチャーハン」コミュでも作りたいくらいだ。
自分でついたウソながら、なかなかおいしいウソであった。
何でもウソだからと片づけてはいけないというのが今回の教訓だ。
信じる前に疑え、疑う前に確かめろ、である。

ところで、ひょっとすると僕とおんなじ様なを考えて、すでにシメのチャハーンを日常的に食べているよという方もおられるかもしれない。
だとしたらすごい。
あんな残飯を食べようと思うなんて。


 

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