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ちしきの金曜日
 
肩たたき券をプレゼントする
これは商品券


「肩たたき券」と言えば、お金を持ってない子供が、お父さんに何かプレゼントしたい時に使う代表例のようなものだ。
これをプレゼントしたい。

と大人が言うと、なんだかプレゼント代をケチってるように聞えてしまうが、心外だ。大人が真心込めて作った肩たたき券をプレゼントしたいと思う。

(text by T・斎藤



ことのいきさつ

いきなり私事で始まるが、かみさんの誕生日兼クリスマスが近づいている。何かプレゼントをあげないといけないので、何がいいか聞いてみたところ
「肩たたき券がほしい」
とのこと。

肩たたき券と言えば、お金を持ってない子供が、お父さんに何かプレゼントしたい時に使う代表例のようなものじゃないか。

ちなみにどのくらいの量を希望してるのか聞いてみたところ、
「15分×20枚。」
と言っていた。つまり5時間分。

うへ〜面倒くさい。普通に「○○がほしい」と言ってくれれば、お店に行ってちょっと買ってくるだけで済んで、しかもなんとなく体裁が保てる。正直、お金で解決する方が楽、と感じる今日この頃。

が、物欲の低いかみさんは欲しいものが特にない。
本当に必要なものは必要な時に買ってるし、時計とかバッグとかその手の(プレゼントとしてよくあるタイプのもの)は既にあげ尽くしている。

それでも何かないものかと聞けば、
「じゃ、家。」
という返事。さすがにそれは簡単には買えんしなぁ。

 

肩たたき券を作る

というわけで、肩たたき券を作ることにした。
肩たたき券だって、ちゃんと作ってラッピングしたらそれなりにプレゼントっぽくなるんじゃないか。

別の言い方をすれば、「欲しいものをすべて手に入れ尽くしたものが最後にほしがるもの、それが肩たたき券だ」と自分に言い聞かせて作業にとりかかる。

 

フォントに悩む

まず、「肩たたき券」という言い方だと肩だけに限定されてしまうので「マッサージ券」と書くことにした。



が、さっそくキーボードを叩いてみたら、どこか違和感を感じる。なんだか別のいやらしいマッサージを連想してしまうのは私の頭が悪いせいだろうか。「マッサージ」という文字はうかつにポップにしてはいけないようだ。

もっと誠実な感じを全面に出したい。
そう思って選んだのが次のフォント。



うむぅ。これでは線が細い。
元気を吸い取られそうなマッサージだ。もっと太いフォントにして力強さや温かさのようなものを出したい。

と思って太くて丸っこくしたのが以下。



んんんん。
これだとなんだか少しふさげてるような印象。
私の求めているものとは少し違う。もっと誠実感みたいなものを出したいのに。

どうしたら誠実な感じが出るのだろうか。



そこで次に選んでみたのが手書き風フォント。
手作りの温もりのようなものは出たが、これでは小学生が作るマッサージ券と差がなくなってることに気付き、元に戻す。



結局、どれもあまりしっくりこなかったので、あれこれ考えずに超普通っぽいフォントで落ち着くことにした。


 

いきなり完成

そしてできたのが以下のもの。


こんな感じになりました

ではこれより、ポイントをひとつひとつ丁寧に解説していこう。

 

ポイント解説1: “一生懸命、誠実にもみます”とアピールする写真を全面にフィーチャリング

「やる人の顔が見えたほうが安心感がある」というマーケティング理論に則り、実際に私がマッサージしている姿の写真を盛り込み、カードを眺めただけでも効きそうな印象を出した。

これによりデザイン的にはいきなり庶民的なものになってしまったが、効能はそれなりにあると思う。


表情だけは玄人

 

ポイント解説2: マッサージ内容を明記

これまで肩もみの問題点として多く指摘されてきたことは、その集中具合についてだった。同じ15分でも、集中して行う15分と、余計な話ばかりしていてちっとも手が動いてない15分では違うという。

しかし、そんなあいまいな理由で時間を延長されるのはトラブルの元になるので、あらかじめマッサージ内容を明記し、それに沿って行えばいいようににした。

また、内容が明記してあることで、それを読み想像しただけで、いかにも効きそうな感じがしてくる、といった効用もある。


いかにも効きそうな写真を挿入

 

ポイント解説3: 3つのコースを用意

・頭肩コースA
・足裏コースA
・背中コースA
以上の3つのコースを用意した。すべてに「A」と付いてるのは、将来、Bコース、Cコースといった内容の異なるコースが増えた場合にも統一性が保たれるよう、このようなネーミング方式をとった。

3つに分けたことにより、時間が無い時は1枚だけ、じっくりやってほしい時は3枚セットでなど、使用法に幅が生まれる。


以上を、ケースに入れてシールで封をし…

プレゼントっぽくラッピング

 

完成

30枚ほどカードを印刷し、それらをケースに収めてラッピングしたら、予想以上にプレゼントっぽくなった。


黄金色のリボンが決定的にプレゼント感を演出
クリスマスも兼ねていることをさりげなくアピール

ひょっとしてラッピングさえきちんとすれば、どんなものでもプレゼントになるじゃないだろうか。

そんな疑問すら沸き起こるほど、あっという間にそれはプレゼント以外のなにものでもないものへと変わった。


 

プレゼント授与

さて、では最後にこうして作った肩たたき券改めマッサージ券を実際にプレゼントした様子をご覧頂きたい。

風呂上りのかみさんに「ちょっと早いけど…」と言って誕生日プレゼントを渡した。


クリスマスのマークも付いてるけど…?」
「いつ買いに行って来たの?」 などと言いながら開封

娘が、マッサージする私のイメージ写真を見て
「お父ちゃんだー!」
と、一枚ごとに叫ぶ

…そこに大きな感動はなかったが、かといって落胆の様子もなかった。

特に抑揚のないトーンで放たれた「ありがとう」の言葉からは、一応合格というニュアンスを感じ取れた。

しかし、どうしてこんなスリルを私は家庭内において味わっているのか?

半ば仕方なく作り始めたマッサージ券だったが、こうしてあれこれ考えて作り、ラッピングをしてみたら、不覚にも感謝の気持ちみたいなものさえ自分の中に芽生えてきた。

今後の経過を見て、もしこれが成功のようであれば、今度からプレゼントはすべてマッサージ券にしてもいいかもしれない。

かかあ天下

 

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