塗っては乾かす

いそいそと作ったシートに醤油をぬっては乾かしていく。最初フライパンで焼くように乾かしていたのだが、焦がさないよう途中からドライヤーで乾かしていった。

なんとも、ふりかけ作りの工程とは思えないような作業になってきた。ふりかけはいいから、これだけ食べたいという気持ちをこらえて続ける。

やや湿り気のあるふりかけに

なんど重ね塗りしただろう。小皿大さじ1はいのしょうゆがほぼ塗りこみ、だいぶシートが黒に近い茶色になってきた。

だんだん乾きが悪くなり、なかなかべたべたが消えなくなってきたところで、刻んでミルサーに投入。錦松梅ぐらいに湿り気のあるふりかけができあがった。

おいしい小麦粉の味がする

なるほど。粉でシートを作ったのだから当たり前なのだが、粉の味がした。さらに、どうにも ふかふかするのだ。

パンのような香ばしさ。これはこれで美味しいのだが、私の求めているザ・しょうゆ の味とはちょっと違う。

うーん。しょうゆの味はかなり出ているので、何かにしょうゆを塗ってそれを粉々にするという方法は間違っていないようだ。

問題は、何に塗るか、だ。

あ。

ごはんに塗ればいいんじゃないのか？

なんで気づかなかったのか

そうだよ。なんでわざわざ小麦粉のシートを作ったのか今となってはさっぱりだ。最終的にごはんにかけるんだから、最初からごはんを素材にすればよかったんだ。

人が真実にリーチをかけるときはいつだってきっともどかしいものなんだろう。じりじりと しょうゆふりかけに近づいてゆく興奮。

よし、今度こそ！

これは……

食べたとたんに口に醤油の味が広がった。白飯とのきっちりしたハーモニーを感じる。これもしかして、か、完成した？？

しょうゆかけごはんのパンチのある味よりも、少し薄まったような丸みのある味になってはいる。なんだろう、どこかで食べたことのある味だ。

がりっ。

あ。分かった。おせんべいだ。

味わいを出すために荒挽きにした部分を噛んだとき、はっきりと口の中がおせんべいの味になった。そうだよ。ごはんをついて、丸くしてしょうゆをぬって焼くって、それはおせんべいではないか。

でも美味しい。そうだ、私はしょうゆかけごはんの他に、スナック菓子を粉々にしてごはんにかける、というのをこっそり愛好していたのだった。あれと同じだ。しょうゆをふりかけにするということは、つまりそういうことだったのか。

いや、まだ他にいい手があるはずだ。事態はアイディア勝負の様相を帯びてきた。しょうゆをふりかけにする何かいいアイディアがあったらぜひお知らせください。私も考え続けます。