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ちしきの金曜日
 
もんじゃの街で大甘もんじゃを食べる
 


 群馬県南部の街、伊勢崎市。古くから絹織物で有名なところであるらしいが、もんじゃ焼きを出す店が多数あることも特徴となっているらしい。

 東京下町のイメージが強いもんじゃ焼き。東京から100kmほど離れた群馬の街でそんなことになっているとは。

 しかも、味のバリエーションの中に、ちょっと変わったものを入れた「甘口もんじゃ」というのがあるとのこと。もんじゃ焼きが甘い?どうも聞いたことのない話だ。

 どんな味なのだろうか。実際に行って確かめてきました。

小野法師丸



●上がったり下がったりするテンション

  そういうわけでやってきた伊勢崎市。一見普通に見える街の様子だが、注意していると「もんじゃの街」らしさがところどころに見えてくる。


普通はあまり見ないのぼりに上がるテンション


 並んで立っている「もんじゃ焼」と書かれたのぼり。「お好み焼」というのなら見たことがあると思うが、改めて考えてみるともんじゃのぼりは珍しい気がする。

 さらに気になったのはこのキャラクターだ。


独特な感じのキャラクター


 もんじゃ焼のポスターに描かれていたキャラクター。調べてみると、「もじゃろー」というイメージキャラであるらしい。

 変にかわいらしさを前面に押し出すことのないスタンス。ある意味では写実的とも受け取れるだろう。ノーガード戦法とも言えるテイストに、なごみを感じ取れるかもしれない。

 媚びることのない雰囲気に期待が高まる。そして目に入ってきたのは、趣きのあるのれんだった。


グッと来る言葉の響き
220円からと安い

 のれんだけではなく、壁に張られた手書きのメニューにも味がある。もんじゃ焼きなら220円からという安さもすごい。

 ノーマルタイプと(上)とがあるもんじゃ焼き。(上)にしても320円と相変わらずの安さ。ここはその違いを確かめる意味でも、ひとつずつ注文してみよう。


ノーマルタイプ(奥)と上(手前)

 運ばれてきたものをよく見てみる。違いはタマゴ・コーン・桜エビといったところだろうか。これらが追加されて100円増しということなら、なかなか良心的な設定だと思う。


とてもいいにおいなのだが
やはりビジュアル面は弱いか

 熱された鉄板の上に具とベースを流し乗せる。ジューッという音と立ち上るソースのにおいが香ばしい。そう、もともとソースで味をつけられているこのもんじゃ焼き、さらによくにおいを嗅ぐと、カレーのような香りも漂ってくる。

 厨房、というよりも台所といった雰囲気だが、そちらに目を向けると大きなカレー粉の缶が置いてある。伊勢崎もんじゃでは定番の味付けらしいのだ。

 程よく焦げてきたところで口に運ぶ。あつあつでうまい。

 おいしそうでしょ、おいしそうだよね。どうしても見た的な部分では食べ物として課題のあるもんじゃ焼き、そのシズル感を出すべくがんばってみたのだがいかがだろうか。

 

●失望したり復活したりといそがしい

 おいしくいただいた一軒目をあとにして市内を移動していると、やはりまたもんじゃのぼりを掲げる店があった。


駄菓子屋っぽさがまた魅力

 店の前に並べてあるガチャガチャといい、全体的にいかにも駄菓子屋といった雰囲気の店。自分が小学生だったら、こづかい日には必ず来てしまうと思う。

 そんな思いをよそに、大人には衝撃的な張り紙が目に入った。


120円という安さはうれしいのだが…

 先ほどの店よりさらに安い、120円もんじゃ。だがしかし、「おやつもんじゃ(小学生まで)」とあるではないか。

 さらに「(6年生)」とまである念の押しよう。改めて見直してみるまでもなく、自分は小学生でも6年生でもない。心の中でシャッターが降ろされていく。

 気になるのは「甘辛味」「甘味」というメニュー。もんじゃ焼きとしてはなじみのない響きだ。でも食べられない…。


甘いもんじゃ焼きを求めてさまよう
年齢制限なしの模様

 それでもまた別の店を訪れてみると、ここでも「あま」「あまから」というメニューを見つけることができた。しかも年齢制限については特に書いていない。ここなら食べられそうだ。

 さらにメニューをよく見る。……なんだか「おおあま」と書かれたのがあるぞ。

 お店の人に聞くと、「あま」はイチゴシロップ、「から」はカレー粉、「あまから」は両方とも入っているとのこと。それぞれ「おお」がつくのはシロップやカレー粉の量が多いらしい。

 どれも気になる。何を注文しよう。


「あまから」(奥)と、「おおあま」(手前)

 デュアルで投入というのがやはり気になる「あまから」は押さえたい。そして最も極端だと思われる「おおあま」。この二つを頼んでみた。おお、普通においしそうなもんじゃではないか。

 と、思われるかも知れないが、においが普通ではない。


なんか赤くない?
明らかに赤いよね

 プーンと漂うのはソースの香り、ではなくイチゴシロップのにおいなのだ。「あまから」の方にはカレー粉も入っているので確かにそのにおいもするのだが、明らかにイチゴが勝っている。

 わかって頼んだとは言え、引けていく腰。「初めてならばせめて『あま』にしといた方が…」というお店の人のアドバイスの意味が、実物を前にしてわかった気がする。


ちょっとした異常事態
容赦なく煮えたぎるおおあま

 否応なく漂うイチゴムードは、もんじゃを加熱してさらに加速。ベースにはやはりソースでも味がつけられているそうなのだが、そんなことはそっちのけでストロベリーなお姫様だ。

 言ってることも適当になってきたが、見た目とにおいとが倒錯する中、熱になじんできたもんじゃを食べてみる。

 …甘い。

 遠くの方にソースの深みや野菜のうまみを感じる余裕はなく、ひたすらに甘い。お店の人の「甘い、としか言いようのない味だよね」という言葉に、うなだれ気味にうなずく。

 ちなみにこのメニュー、思いつきの珍メニューというわけではなく、少なくとも20年以上前から地元にある味付けらしい。伊勢崎っ子の中には、この味で育った人も多いのか。


アドバイスに従って起死回生を図る

 「おおあま」に対し「あまから」は、比較的安心できる味。イチゴシロップが入っているわけだから普通に食べれば特殊な味なのかも知れないが、「おおあま」後には安心できる。

 そしてまた「おおあま」に戻ってきたときの揺り戻しがすごい。幾度か口に運んでも慣れない。

 神妙な顔をしている私を見て、お店の人が「ベビースターを入れたりしてもおいしいよ」とアドバイスをくれた。助け舟に30円を払って投入。…おお、確かに味が落ち着いたぞ。これならいける、という言い方も失礼だろうか。

サービスエリアで売っていたローカルヒーローみやげ

●味覚の幅の限界を試せ

  正直に言って、素のままの「おおあま」には返り討ちに遭った感もあった今回の伊勢崎レポート。何遍口に入れても、混乱は一層度合いを増した。

 もちろん一般的な味をものをはじめから選べば、とてもおいしい伊勢崎もんじゃ。いろいろな味を試して、自分の味覚の幅を確かめてみるのもおもしろいと思う。


 

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