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はっけんの水曜日
 
古本をキレイにする方法

(text by 大塚 幸代



私のアパートには、本棚がないッス。
むかし遊びに行った友だち(女子)んちの状況に、ショックを受けて、真似して始めた。
彼女の家は、とても女子の家とは思えない程、男らしかった。
畳の部屋。家具ほとんどなし。本とCDは縦にうずたかく積まれており、あとは電話と、楽器のベースと布団。ザ・シンプルライフ。
その、無造作に積んである感じが格好良かった。「ん? 本? 読んだけど、何か? 何かあれば売るか捨てるかして、すぐにでもココを出て行けるけど、何か?」という雰囲気に憧れた。
自由そうだった。案の定、彼女はヒラリと海外留学して、帰ってきて変わった職業について、さらに結婚して子供も産んでいる。
その頃とは全く違った部屋に住んでいるのだろうと、想像するのだけれど。
私の脳内のあの部屋、若い彼女の部屋が更新されない。まずあそこからクリアしないと、彼女みたいに自由に生きれないんじゃないかなー、とまで思っている。

私のアパートは、まだ自由とはほど遠い。捨てられないものばかり。
実家も本でジャングルで、ずっと母に「どうすんのよコレ!」と、小怒られ状態。
でもしようがない。
なんか読むの、好きなんだもの。
前に男子に「家にいるとき、何してるの?」とスウィートなことを聞かれ、こたえたのが、「何か読んでるか、書いてるか、かなー」という、色気もなんもない、かなしい回答……。
ああ、いっそのこと、図書館かマンガ喫茶に住みたい。ブックオフの100円コーナー、愛してる! 最高!
あと電子ブックの普及を本気で願っている。うすーいノートパソコンを、文庫本みたいに開く形で、ダウンロードして読めるようになったらいいのに。
そして、モノとしての本への、執着を捨てられたらいいのに。

捨てるのがイヤなので、時々、本を売りに行く。
今までマジックリン系のもので拭いてた。


こういうやつ。

けど、ひょっとしてもっといい方法あるんじゃないか? 

とか思って今回、古本マニアの私の後輩・望月ミツルくん(編集者・ライター)に電話して、訊いてみることにしました。

---もっちー、ひさしぶりー。元気?
「元気っす」
---もっちー、古本、最近売ってる?
「そうすねえ……あんま売ってないですねえ。買い取り額がねえ、下がってるんですよね」
---あっ、それ、噂にきいたよ、値段下がってるんだってね。CDの値段下がってるのは、ダウンロード販売の影響かな? ってわかるんだけど、本が下がってるのも、やっぱネットのせい?
「そうじゃないッスか?」
---でも、もう本がプレスされなくなって、ブツとして減ったら値段上がるんだろうなあー。まあ、それはいいとして。
確かもっちーん家って、亡きお父様が、古本マニアだったんだよね。
「そうっす、それでいつも、一緒に連れていかれて、俺も好きになったんすよね。
ああ、そうだ。親父は自分の古本売るとき、ベンジンかな? アルコールっぽいもので拭いてましたよ」
---それ、薬局で普通に売ってるの?
「たぶん売ってますよ」


本当に普通に売ってた、500CCで450円くらい。そしてなぜかマークが猫柄でした。

「あといちばん薄いサンドペーパーで、隅をこすってけずって、きれいにするんですよね」
---あ、それは出版社というか、業者もやるよね、それ。
「そうそう」
---あと何かコツってあるの?
「俺はセロハンテープで、なんどもネチャネチャやって、値札をうまくはがしてましたね。あと消しゴムを使ったり。ねり消し、いいですよ」
---ねり消しかー。


こういうのを、うまくはがすわけです。

---そういえば今、セドリ(本を転売する人のこと=本棚から本のタイトル、背中だけを見て抜いていくから)って成立してるのかなあ。
「古本の相場事態が、全体的に下がってるから、それで生活してる人は、いるのかな……ネットオークションでやってる人は、いるみたいですけどね。
そういや開店前のブックオフに、目利きのホームレスの方々が、並んでるらしいですよ。
---せつない話だなあ。
「本当の古本屋のルールとしては、金儲けのために転売するのは駄目、っていう昔ながらの決まりがあるんですけどね」
---そりゃまあ、そうか。キリないもんね。もっちーは最近、どこで古本買ってる?
「最近はヤフーオークションと、『日本の古本屋』ってサイトがあるんで、それ利用してますね。日本中の古本屋が登録してて、そこから検索出来るんですよ」
---便利そうだね。
「まあでも、マニアの世界ですからね」
---もっちーが最近はまってるの、何の本?
「いやあ、こないだ、作家さんを缶詰にするために、とある離島のホテルに行ったんですけどね」
---ほう。
「そこの島の歴史が面白くて.....島の歴史の古本を、買ってますね、自治体が発行してるようなやつ」
---そりゃまた細かいとこに行きましたね。ていうか、そういう本ってどのくらいの値段なの?
「4000円とか……ですかね」
---高いのか安いのか、全然わからんなあ。
「島にね、1件だけスナックがあるんですよ。で、名前が『アニメイト』っていうんです。何でアニメイトなんですか? ってきいたら、東京から来た人に、若者が集まるようないい名前ないですか、って訊いて、決めたんですって」
---それ、アニメグッズ専門チェーン店の名前ですよね。コメントしにくい話だなあ。
「で……」(以下、書けない話多々なので略)

 

もっちーのアドバイスに従って、ありえないぐらい汚れてた、大切な本を、


ベンジンで拭いたらば、

本当にキレイになってビックリ。

……キレイだわ。やっぱ売れないっ!!!!!!(駄目じゃあん!)

大切なものだけと暮らせたらいいのに

そんでもって私は、「売る本/売らない本/もういくらなんでも捨てる本」と分けて、売る本は売り、捨てる本はゴミ置き場にしばって出した。タバにして6つぶん。
で……さっき見たら、全部のヒモがほどいてあり、私の読み捨てた本を、誰かが取って行った後だった。
あんまり腹が立たなかった。楽しんで読んでくださいませ、そして部屋を狭くしたまえ、と思った。

いつかほとんどの本が捨てられる日が来る、と、なんとなく想像している。
それまでは、ベンジンで、キュッキュキュー、キュッキュキュー、だ!!(あ、やる人は、換気に気をつけてね!!)


 

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