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ちしきの金曜日
 
食べ物じゃないのに味がついてるもの試食会
 


 辛いゴミ袋、というのを聞いたことがあるだろうか。「つらいゴミ袋」ではなく、「からいゴミ袋」だ。

 なにかを例えて言っているのではなく、本当に辛い味がついたゴミ袋というのがあるらしい。他にも調べてみると、世の中にはいろいろな理由で食べ物ではないのに味がついているものが結構ある。

 食べることはとても好きな私。それが食べ物ではなくても、味がついているというのなら実際に味わってみたい。

 腹なら大体いつも空いている。そういうわけで、食べ物じゃないのに味がついてるもの試食会をやってみました。

小野法師丸



●意味なくカラスの立場に立つ

  「味をつける」ということは、普通に考えれば、それを味わってもらうという目的をもって行われる行為だと思う。ただ、世の中にはそうした原則から外れたものも存在する。

 例えばこのゴミ袋がそうだ。


いろいろアピールしたいことであふれてるゴミ袋


 発明した博士の写真や、効能の説明が高めのテンションで書かれているパッケージ。それによると、この袋を使うことでカラスが来なくなるというのだが、一体どういうことだろうか。

 よく見ると、その仕組みもちゃんと載っている。


カラスと人間の知恵比べ
見た目は普通の丈夫なゴミ袋

 このゴミ袋、トウガラシの辛味成分であるカプサイシンが練りこまれているらしい。ゴミ袋の中の食べ物を狙ったカラスが、袋をつついてゴミを撒き散らすという話はよく聞く。そうした被害に対処した発明品なのだ。

 辛さを痛みとして感じたカラスが、これはやばいと思ってあきらめる。しばらく使うと「このあたりのゴミ袋はやばいぞ」とカラスが学習して、被害がなくなるというのだ。

 すごい、面白い発想だ。では実際に少しかじってみよう。


確かに辛い!

 うん、辛い。思っていたほどの辛さではないが、確かにピリピリとした感覚が舌に来る。

 カラスへの辛味効果を身をもって確かめた。幸い個人的にはカラス被害に困っていないが、「ほんとに辛いよ!」ということは保証できる。

 

●デザート気分でティッシュをどうぞ

 さて、辛いものを食べたあとは甘いものが欲しくなるというもの。なんだか甘い味がすると噂を聞いたものを食べることで、味のバランスをとりたい。


かわいいパッケージのティッシュ

 「鼻セレブ」という商品名のティッシュペーパーだ。しっとり感のあるティッシュであるらしく、印象的な製品名は鼻をかんでも感触が心地よいことから付けられたのかもしれない。

 それはいいのだが、今回のポイントは味だ。ではいただきます、というのもやっぱり変だがちょっとだけ口に含んでみる。


あからさまにティッシュ
おそるおそる試食

 おお、ほんとにじんわり甘い感じだぞ。

 普通のよりも少々高級なこのティッシュ。感触もなめらかでとてもよいのだが、味までうす甘いとは。でもどういうことなんだろう。意図的なものなのだろうか。


裏面にその謎を解くヒントが

 このティッシュ、しっとり感を出すために特別な工夫をしているようなのだが、そのひとつとして用いられているのが「天然グリセリン」。調べてみたところ、どうやらこれが甘みの元であるらしい。

 毒性はほとんどなく、医療では浣腸液などにも用いられるというグリセリン。甘みがあるのも特徴のひとつだそうだ。

 うっすらおいしかったしっとりティッシュ。ただ、おなかが空いたからと言って食べないようにしたいとは思う。

 

●かわいい顔して本気度高し

 甘いティッシュでデザート気分になったところで、今度は大人っぽく苦みばしったものも味わいたい。そこで登場するのがこれだ。


味とは真逆のファンシー

 小さい女の子に人気があるらしい、こえだちゃんシリーズの人形だ。ピンクをベースにした箱や、キャラクターそのもののかわいらしさからすると、苦さとは逆のイメージなのだが…。

かわいくって口に入れちゃう子もいそう
そういう子供の気持ちを見越した対処

 数センチほどの大きさという点も、子供たちのつい口にしたくなる気持ちを掻き立てるのかもしれない。そうしたことを防ぐために、わざと苦味コーティングをしてあるとのことなのだ。

 パッケージにはっきりそう書いてある。身体に無害と書いてあるのも安心だ。では試食。


こ、これは…
うぇー

 なめていた、こえだちゃんをなめていた。いや、実際になめているわけだが、ここで言っているのは、甘く見ていたという意味の方だ。

 ものすごく苦い。これは本気だ。うううう…。


洗面所にダッシュ

 口をゆすいでも、とてもすぐにはぬぐえない苦さ。うう…。

 これはかなり効果的だと思う。興味本位で口に入れた子供は、確実に泣きを見ると思う。だって33歳でも泣きそうな苦さなのだから。

 ちびっこたちよ、こえだちゃん人形は絶対になめない方がいい。おじさんが自分の体で確かめたから間違いない。

 

●子供の頃していた我慢ができなくなった大人

 続いては味つきというコンセプトとはちょっと違うものを試してみたい。味つきを謳っているわけではないが、「これはきっとおいしいに違いない」とずっと思っていたものがある。


子供の頃感じていた魅力がいまだ消えないねり消し

 バナナのにおいがするねり消しである。よく考えると字消しという文房具に食べ物のにおいがついている必要性はないと思うのだが、そんな意味のなさに気づけず、くんくんにおいをかいでいた子供の頃の私。

 焼きそばやカレーのにおいがする消しゴムも流行った。 改めて考えると消しゴム無法地帯だ。

 かぐたびにうまそうだと思いつつ、これは食べ物じゃないと自分に言い聞かせていたあの頃。その一線を、大人となった今になって越えてみたい。


そんなことはわかってる
少しかじってみる

 うん、悪くないじゃない。

 ねり消し自体はほぼ味がない。ただ、ガムのように噛んでいると、自然にバナナのにおいが鼻を抜けていく。そのときなんだかバナナ味がしているような気分になる。そして出した。

 あの頃の自分にもう少し自制心がなかったら、授業中食べてしまっていたと思う。ただ、今の自分がしていることは、あの頃の自分に申し訳が立たないことだとも思う。

 

●くちびるの荒れとは関係なくなめたい

 あー、口が苦い。実はバナナねり消しを試した今でも、こえだちゃんの苦味はまだ口に残っている。たまたまなのだが、そういう意味でもこれを最後にとっておいてよかった。


おっさんを拒否するかのようなパッケージ

 カフェオレの香りがするというリップスティックだ。最近はいろいろなにおいのするのがあるんだなあ、というおっさんくさい感想がつい漏れる。

 メーカー側からすれば私は購買層と思われていない気がするが、今回は購入。味つき宣言があるからだ。


中央部分、はっきり書いてある

 「スクラロース(うるおい成分)が配合されていますので、甘みを感じます」と書いてある。うるおいも大事だが、今回の試みでは味はもっと大事だ。実際に試してみよう。


色こそ白いがにおいはカフェオレ
カフェオレ臭のする男に

 唇に塗ったクリームをちょっとなめてみる。……うん、これはもう、甘いというより、うまい、だ。

 もはやリップスティックを使った感想ではなくなってきているが、今回検証しているのは味なのだから仕方がない。紫外線から守るUVカット機能とか言ってる場合ではない。

 純粋にうまいのだ。

 書けば書くほどバカっぽくなってる気がする。成分表示にいろいろと薬っぽいものが使われるのを見て、それ以上なめるのをこらえる。うまいけど、やめといた方がいい。

 それでもついついなめたくなる。異常な早さでスティックが短くなっていきそうで怖い。

黙って並べられたら共通点が見出せないラインナップ

●食べるなら食べ物を

  確かにそれぞれ味がついていた今回の検証。明確な目的があるものと、たまたまそういう味になったようなものとがあるが、それ らを通して何が見えただろう。

 実は何も見えてきてない。ただ、気は済んだ。

 身をもって体感することが大切、といった言い回しを聞くこともあるが、別にそんなことしなくてもいいという例もまたたくさんあふれていると思う。今回のがそうだ。

 食べるなら食べ物を。無理やりメッセージ性を持たせるならば、それだけは自信をもって言える。


 

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