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フェティッシュの火曜日
 
人をおとしめないブーブークッション


いきなりではあるが、あの「ブーブークッション」てのはなんだ。ふつうのクッションの下に仕込むと、座ったとたんに「ブー!」と鳴り響く。例のあの、腸から発せられる恥ずかしい音に似た、えもいわれぬ摩擦音。仕掛け人は爆笑する一方、知らずに座った人は計り知れぬ屈辱を強いられる。

そんなことがあっていいのだろうか。この世は悪意で満ちているのか。

私は考える。座ったときに汚い音が鳴るのではなく、祝福するかのような、福音がもたらされるかのような音が発せられれば、世の中はもっと住みやすくなるのではないだろうか。

乙幡 啓子

絵と作りにまた憤慨

というわけでまず、ブーブークッションというものを買ってみた。案外安価で、単純な作りだった。厚手のゴムでできた、氷まくらや氷嚢を思い出させるものだ。


大小そろって、肉みたいな色なのだ。

栓やフタなどはなく、クッションのふくらみ自体の力で口の部分が弁のように閉じる、という作りだ。

しかしそれにしても描いてある絵がまた、あれである。


オフィスなのか知らないが、虫も怪訝な面持ち。
バニーちゃんの店では従業員が罠に。

2つとも、どうやら表記が「プープー」クッションであるらしかった。そんなことはどうでもいい。

さて、膨らましたらさっそく鳴らしてみたいのが人情だ。では私が座ってみるとしましょう。


上の写真とえらくカラーバランスが違うが、膨らましたあとのもの。
それをこうやって、気づかれないようにそっと座布団の下に忍ばすのです。

 

祝福の音、それは和音

さて、この汚れた音、人をおとしめる音を、どのように清浄なものにするのか。

座ったらセンサーが反応し音楽が・・・など考えてみたが、そこをやりだすと実現は五ヵ年計画でも無理そうな気配だった。よってきわめてアナログに、「吹く楽器」で「和音」を出すことにしてみた。

和音である。あの、音楽の授業の挨拶で使われる「ド・ミ・ソ」が、平和な音として真っ先に私の頭に浮かんだ。これならぶっちゃけ簡単そうだし、いいんじゃんこれで。


100円ショップで買えた縦笛とホイッスル(でいいのか?)、そしてなぜか持っていたブルースハープ。

最大の期待がかかるのはブルースハープだ。ハーモニカ、ではなくブルースだ。高校時代、独奏を夢見て流行りに乗じて買った、ちょっと恥ずかしい楽器。100円ショップの調子っぱずれな楽器と違い、しっかりした和音を奏でてくれるのだ。

教本買っても結局思うようには吹けるようになりませんでした。
これを、「ドミソド」だけ空けてあとはテープで穴をふさぐ。

何のコードのハープか忘れたが、ハーモニカと違って、ドミソドが隣接していたのは都合がいい。

同じように、他の楽器も「ドミソド」になるよう、穴をふさいでいく。


吹き口が異様に細いが大丈夫か。
都合によりこれは「ドミソ」の3本。

あとはこれらを、例のブーブークッションの吹き出し口にセットする、だけ、なのだが・・・。


 

 
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