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ちしきの金曜日
 
餅つきにいってきた
正月というより、年末の話なのですがね。

あけましておめでとうございます。

ちょっと時期的に正月の挨拶をするには遅すぎる気もしますが、そんな気分なのです。成人の日もとうに過ぎたというのに、いまだ正月気分が全然抜けません。

そんな訳で、おとそ気分を引きずったまま、餅つきにいった話を書きたいと思います。

(text by 玉置 豊



高円寺へ餅つきにいく

年も押し迫った12月30日。友人S君が毎年参加しているという高円寺での餅つきに、私も参加させてもらうことになった。

S君曰く、この餅つきは、町内会主催とかゼネコン会社の行事とかではなく、明石スタジオという劇場の支配人である浅間さんが、友人知人を招いておこなうプライベートな餅つきだそうだ。


杵と臼とスタジオ。

午後一時過ぎに現地到着。とりあえず先に来て準備を手伝っているS君に連絡を取り、早くも酒盛りが始まっているスタジオ内に入る。


おお、もうすでにできあがっている雰囲気。

 

主催者にご挨拶

まずは早速、今回の餅つき主催者である浅間さんにご挨拶。


中央が浅間さん。はじめまして。

地方の農家ならともかく、今どき東京都内で餅つきを主催する人はどんな人なのだろうと思っていたのだが、なるほど、見るからに餅つきを主催しそうな人だ。

この人なら、杵や臼をどっからともなく持ってきても、誰も不思議に思うまい。そんなオーラを醸し出している。もちすすりだってできそうだ。


「お、これはいい日本酒だねぇ」 「これから餅つきだから、まだ日本酒は飲めないよなあ」

「でもいい酒は、酔っぱらう前に飲まないとな」 「うん、やっぱりうまい酒はうまいな」

うん、めでたい。

浅間さんの最近の趣味は、自分が禁煙をはじめたことをきっかけとした、「喫煙者を必要以上に嫌う人を演じること」らしい。

「はい煙草吸っている人は、この線から入っちゃダメ!」、「ほらほら、窓開けて!ああ、煙い煙い!」と、すごい嬉しそうに喫煙者をからかっている。

うん、たのしい。

まずは餅米を潰す

餅米が蒸し上がったところで、早速餅つきのスタートだ。とはいっても、いきなり杵でヨイショヨイショと餅をつくのではなく、最初は地味に、ギュッ、ギュッと米粒を押し潰していく。

この作業を餅米が熱いうちに素早くおこなうことが、美味しい餅をつくる一番のコツなのだ。と、浅間さんから聞いたことを偉そうに書いてみた。


臼に蒸した餅米を移します。 ギュッ、ギュッと米粒を潰します。

この作業は簡単そうに見えるのだが、実際にやってみると、当たり前だが餅米に杵がくっつく。それを引き離しながら餅米を潰していくため、かなりの体力を消耗する。体がイメージ通りに全然動かない。

きっとダイエットに最適。餅つきダイエット。運動の後には大量の餅が待っているが。


見ている人は気楽です。

 

餅をつこう

餅米がよく潰れたところで、ようやく餅をつく。

周りで見ている人達の、ヨイショー、ヨイショーのかけ声にあわせて、杵を持った人が、ペッタン、ペッタンとついていき、タイミングよく返し役が餅を返していく。

ヨイショー、ヨイショー。


ヨイショー、はい、ヨイショー、はい。二拍子。 ヨイショ、ヨイショ、はい、ヨイショ、ヨイショ、はい。三拍子。

ヨイショー、ヨイショー。

 

餅つき、危ないと思う。

餅つき、昔よくドリフとかたけし軍団のコントの題材になっていたような気がするが、実際にやってみると、素人がボケをかます余裕なんて全くない。あの重い杵は、冗談では済まされない危険性をはらんでいる。

杵を打つ人がふざけたら、餅を返す人に大怪我をさせてしまう恐れがあるし、返す人がぼけるのは当然命懸けだ。周りで見ている人のヨイショのかけ声だって、タイミングが狂えば、それが悲劇のきっかけになることもあるだろう。

さらにいうと、餅つきは腰を痛める。普段使わない筋肉がギャーギャーと悲鳴を上げているのが聞こえる。

餅つき、危ない。


ぼけたいところをグッと我慢するして黙々と餅をつく両名。 釣り竿より重い物を持つのは苦手です。

そしてつきたての餅は、老人を殺める凶器にも成りうる。毎年、餅を喉に詰まらせてお亡くなりになる方はたくさんいるのだ。

餅、危ない。

それでも人々は、太古の昔から餅をつき続けてきた。
餅のなにがそこまで人を熱くさせるのか。

その答えは、餅を食べたらわかるはずだ。


  つきたての餅を食べよう >
 

 
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