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ちしきの金曜日
 
日生のカキお好み焼きを食べてきた

カキオコ三軒目 安良田(あらた)

ニコニコと笑いながらきまぐれを出て、フラフラと市場などを彷徨い歩く。ソコソコまたお腹も空いてきたところで、今日最後のカキオコとなる安良田へとやってきた。

江端さんからの情報によると、このお店が日生のお好み焼き屋で一番の老舗だそうだ。これまた楽しみだ。


おお、見た目からして老舗だ。

あ、おねえさんが出迎えてくれている。

と、思ったら人形だった。

人形が怖くて、ちょっと入店を躊躇した小心者の私。

 

おっぱい焼きってなんだろう

不思議な人形を横目に入店。もう午後3時を回っているのでお店もだいぶ空いているようだ。鉄板でお好み焼きを焼いているのは、人形じゃなくて人間だった。

カウンター席に腰掛け、メニューも見ずに今日3枚目のカキオコを注文をしたのだが、さっきから工藤さんの様子がおかしい。注文が終わっても、ジーっとメニューの張られた壁を凝視している。

目線の先を追っていくと、あ!おっぱい焼き!なんだかよくわからないけれど、それもください!


安良田のおねえさん。 おっぱい焼き!

今日3軒目のお好み焼き屋だというのに、ついうかれて余計なものを注文してしまった。

 

まずはカキオコから

おっぱい焼きの前に、まずはカキオコを焼いてもらったのだが、この店の焼き方は今までの二軒とちょっと違った。まずカキを鉄板で軽く焦げ目がつくくらい焼いてから、お好み焼きの生地に乗せるのだ。

カキはもちろんたっぷりで新鮮。弾力があるから、焼くときに上からギュウギュウと押さえつけても潰れないし、焼いても縮まないのだ。


「やり方はいろいろだと思うけれど、この方が香ばしさが出ると思うの」と、おねえさん。

さあ、カキオコが焼き上がるまでの間に、謎のおっぱい焼きを焼いてもらおう。

 

おっぱい焼きとは

おねえさんは「これがおっぱい焼き!」と宣言すると、カキとネギを2掴みづつ鉄板に乗っけて、リズムよくヘラで混ぜながら焼き、最後に醤油をちょろっと一回しした。もちろん服は着たままだ。


お好み焼きでもおっぱい焼きでも、日生では細くて青いネギが使われる。このネギがうまい。 ソースの焦げる匂いもいいけれど、やっぱり醤油もいいなあ。

「カキは、海のミルクっていうでしょ。だから、おっぱい焼きっていう名前なの。」と、おねえさん。

なるほど。とんちが効いてらっしゃる。なんでも、日生がある備前市のお隣、赤穂市の名物、カキを使ったおっぱい鍋という料理にヒントを得たのだそうだ。

おっぱい鍋、それもすごい気になるけれど、まずはおっぱい焼き。


おっぱい焼き。味付けは醤油のみ。シンプル。

カキとネギを焼いて醤油をかけただけのシンプルな料理なので、カキオコよりもカキのうまさがダイレクトに感じられて、これまた堪らない味だ。カキはもちろん、カキのエキスが染みたネギもまたうまい。お好み焼きのソースにちょっと飽きてきた舌に、醤油の味が嬉しい。

 

もちろんカキオコも美味しい

おっぱい焼きも美味しいが、もちろんカキオコだって美味しい。先にカキが焼いているため、先の2軒とは口に入れたときの食感が確かに違う。僕はどっちも好きだ。

本日3枚目となるカキオコだが、美味しく残さずいただいた。


ああ、カキがごろごろしている。

カキに香ばしさがプラスされている。うまい。 美味しすぎて、工藤さんの写真を撮るの忘れました。

玉置 この味は東京で食べたら、いくら位ですか?
工藤 うん、おっぱい焼きもカキオコも2,000円はするよ。
玉置 なんでも2,000円ですね。
じゃあ、この店が近くにあったらどうします?
工藤 そりゃもう、毎日のように通うね。
玉置 ですよね。

 

日生にカキオコが生まれた理由

カキオコを食べながら、このカキオコという食べ物が、どういう経緯でこの日生に生まれたのかを安良田のおねえさんに伺った。


おねえさん、語る。

なんでも、この店をおねえさんのおかあさんがオープンしたのが昭和37年で、その頃はまだ店をやるにも食材が豊富になかったため、キャベツやネギ以外の具はお客さんが自分で持ってくるというスタイルだったそうだ。

鶏を飼っている人は卵を、農家の人は野菜を、そして漁師は魚介類を持ってきた。なかでも日生は牡蠣の養殖が盛んだったため、牡蠣を持ってくる人が多く、その牡蠣を入れたお好み焼きが美味しいと評判になったため、お好み焼きに牡蠣を入れるという文化が、ここ日生に生まれたのだ。

ちなみに、店の入り口にある人形は、単なる看板代わりの店の目印で、深い意味はないらしい。工藤さんが「まさに看板娘ですね!」といっていたことを記しておこう。

ついでに、浜屋の「まよわずカキオコと注文して下さい」という札は、ここのおねえさんが書いたものだそうだ。


安良田(あらた)
電話番号:0869-72-0851
営業時間:10時〜21時
定休日:毎週月曜(但し休日の月曜は開店)
オススメ度:

ごちそうさまでした。
どの店も、本当に美味しかったです。

日生、いって後悔なし

カキオコ、食べてみたら、やっぱりその名の通り、牡蠣を使ったお好み焼きでした。そのままです。でもいってよかった。

作り方自体はそれほど難しいものではないので、牡蠣さえ買ってくれば東京でも似たようなものが作れるのでしょうが、やっぱりこの味にはならないのだと思います。

日生という町に足を運んで、店の雰囲気を楽しみながら、日生弁を喋る元気なおねえさん達に焼いてもらってこそのカキオコ。今回は駆け足での取材だったので、今度は民宿とか泊まって、のんびりと日生の町とカキオコを楽しみたいです。

それにしてもカキオコを食べ過ぎました。帰りの新幹線、自分の指がまだソース臭かったです。


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