熊が出たんだって
登山の前に驚いたことが一つあった。駅で熊よけの鈴が売っていたのだ。出たんだそうである。熊さまが。実家にいた妹によると、自宅のかなり近所の谷に出たそうだ。
最初気軽に1人で登るつもりだった(肉まんを独り占めにするというもくろみもあった)が、恐ろしくなってやむなく家で暇そうにしていたその妹に同行願うことにした。
「熊は、遭遇してどうするといういうよりもまず遭遇しないようにすること」妹は言う。
ここに人がいますよ、という信号を常に熊に送っておくとよいらしい。鈴を鳴らしたり、大きな声でしゃべったりなど。冬場だし冬眠しているのではと聞くと、妹は突然精悍な顔つきになって「暖冬だから、分からないね」といった。
家族内でもお調子者の三女だが、熊への警戒心は人一倍強いようだ。
あれこれしゃべりながら進むうち、、高度計が次の肉まんポイント216mを示していた。試食タイムだ。 |