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フェティッシュの火曜日
 
ピカピカすぎて公道を走れない車〜ものづくり展から〜

魔鏡。表面からは特になにも見えない鏡ですが
光を当てると文字があらわれる。これは「和」。

いろんなものがピカピカだ

クルマ以外にもいろんなものがピカピカだった。まずは魔鏡(「まずは魔鏡」って不思議な言い回しですね)。

鏡の表面にはなにも見えないが光を当てると反射した壁に文字が浮かび上がる。なかに薄い金属片をはさんであって、鏡の表面を磨くことでその金属片が見えなくなるのだという。また研磨だ。

むかしは隠れキリシタンがイエスの像を映し出すために使い、いまは半導体の検査装置に使われているそうだ。そのギャップがすごい。

競艇のプロペラもぴかぴかだった。見えないところなんだからツルツルじゃなくていいじゃんと思うが(僕だったら見えないところは絶対に手を抜く)、見えるとか見えないとか関係なくツルツルにしてるところが本気である。

背後にある高い技術を無視してあっちもツルツル!こっちもツルツル!と興奮してしまった。きちんと聞いてみると、機械よりすごいものは機械には作れないので、人が磨いたほうが精密なものができるそうだ。いまでも現役で職人が活躍している世界なのだ。

やっぱりすごい。ツルツル!

ペラってこんなにピカピカだったのか
右が手で表面加工したもの。一見むらがあるように見えるがこれが精密なものにあらわれる独特の光だそうです

左の金型が細くなって出てくる
このボコボコの型は見覚えがあるぞ

地味だけどすごい話

いろんな金型が展示されていたが、ひとつの金型が面白かった。

・レンズの部品など内側にでっぱりがある筒状のものを作る
・ふつうに金型を作ってしまうと、内側のでっぱりに引っかかってしまって金型が抜けなくなる
・引き抜くときだけ細くなる金型を作った

これが左の金型である。こういうのは日本の工場しか作れないそうだ。地味だけどすごい。

ほかにも、黒のプラスチックは傷が目立つので金型を精密に作らなければならなくて、 だから黒のiPodのほうが原価が高いとか、金型は実は身近なのだ。

宮部さんも

「ものあるところに金型あり、ですよ。たとえばこの手すりだって、ほら、このパーテーションのフチだって、すべて金型があるわけです」

と目に入るものすべてを例にとって説明してくれた。そうか、いま目の前にある携帯も外側からパーツからひとつひとつ金型があるんですね! とこんなに金型で盛り上がるとは思わなかった。

金型萌えだ。

この手の缶を作るための型でした
ワニ皮(風の合皮)を作るための金型

職人技は伝統工芸だけじゃない

職人技というと伝統工芸のような保護された世界のようなイメージがあるが、まったく現役の世界だったのだ。機械よりも手のほうが精密にできるとか、イカをとっていたのが実はロボットだったとか。プロジェクトX 的なものに弱いひとにはクラクラすると思いますよ。毛穴が開きます。開催は来週末まで、バレンタインのデートにどうぞ。

MONODZUKURI EXHIBITION ものづくり展
2007年1月16日(火)〜2月18日(日)
国立科学博物館(上野)
午前9時〜午後5時 金曜日は午後8時まで (入館は閉館時間の30分前まで)
ホームページ

トロッコの車輪も展示されてるぞ




 
 
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