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ちしきの金曜日
 
時短ビデオで映画を見る
時間がなくて溜まっていくビデオ達……そんな昨日にバイバイ


最近なんだか忙しい。
忙しすぎて映画を観ることもできない。
食事を摂る時間はある、でも映画を観る時間はない。
風呂に入る時間も寝る時間もある、でも映画を観る時間はない。
本を読む時間だってあるのに、映画を観る時間はない。
あぁぁぁ一日が48時間くらいあったらいいのに。
もしくは映画が30分くらいで終わってくれたらいいのに。
そういえば、そんな便利な機能を備えたビデオデッキがあったようななかったような。
家にあったようななかったような。
あのビデオ機を使えば、時間が無くても映画が観られるんじゃないだろうか。

(text by 上杉 天馬



「今回はどういったプレイ方法になさいますか?」「時短プレイでお願いします」

要するに時短ビデオというやつです

時短ビデオに関しての知識がすこしばかり曖昧なので、グーグルさんに伺ってみたところ、パチンコ用語の時短を教えてくれたが、これじゃない。
他にも時短というと、労働時間の短縮のことだったりするらしい。
確かに、その時短をしてくれれば映画を観る時間を作れるかもしれない、が、それでもない。
時短ビデオの仕組みに関してを、ウィキペディアなんかから引用しようかと思っていたのだが。。。

まぁ、、、要するにあれです。
早送りをしても音声が再生される時短ビデオなら、早送り状態でもビデオが楽しめる、その分早く見終われるというわけ。
観る時間を短縮、時短ビデオ。
過去の道具だが、未来の道具みたいだ、ドラえもんの。
ナウ流行っている接尾語を用いると、ビデオ2.0ってところか。

今回は、時短プレイでも感動できるのか、内容を十分に理解できるのか?確かめてみたい。

 

DVDばっかだ…

ビデオを借りに行かないと

時短ビデオデッキはあっても、肝心のビデオソフトがない、借りに行かないと。

近くのツタヤに行きました。
「早送りをしても音声が再生される」という時短ビデオの機能を十分に発揮してもらうために、今回は邦画を借りよう。
嫌われ者の一生モノや、時をかける少女モノとか、見たいビデオはいっぱいある、と思っていたのだが。
なんと!(と、声を大にして言えないのかもしれないが、)レンタル商品のほとんどが、もはやDVDだ。
ビデオなんてほとんどない。
えっ、「映画館で観ないで、ビデオになるまで待つ」とかって言い方古いんですかね。

かなり狭まった選択肢の中から、「青春でんでけでけでけ」と「模倣犯」を選んでみた。

 

物語はクライマックスを向かえているのだが、見ているこっちはついていっていない

見るのと観るのでは違う

早速、家に帰って時短プレイ開始。

…………

あっという間の4時間だった。
映画2本を連続で見たのに、あまり疲れを感じない。
まるで2時間しか経っていないようだ、でも2時間映画を2本見ているんだから……
そっかー俺時短プレイで見てたんだー

っていうのが理想だったのだが。
時短プレイは不自然極まりなし。

映像のスピードに音声のスピードが、ついていっていないのか、声が遅れて聞こえる。
出演者総いっこく堂状態だ。
ひどいときには、言葉がちぎれていることがある。
特に「青春でんでけでけでけ」の方は、みんな早口気味なのか、聞き取れなかった部分が多かったなー。
確かに見たことは見たけど、それは映画を観たという感覚とはまったく違うものだった。
困った、時間がなくて映画が観られない生活とはバイバイ、みたいなことを最初に書いたが、また映画が観られない生活に逆戻りかもしれない。
んー、どうしよう。

 

ハリウッドスターもいっこく堂

洋画の字幕スーパーならどうだ?

字幕スーパーのスーパーって何なんだろう、という長年の疑問は置いておいて、洋画の時短プレイならどうだろう。
洋画なら言葉が尻切れになっても、字幕があるから大丈夫。
劇中で、役者がいっこく堂の真似をしていてもあまり気にならないだろう。

もう一度ツタヤで、今度は「エミリー・ローズ」を借りた。
レジでは先ほどと同じ店員さんが対応してくれて、不可解な顔をしていた。
2時間映画を2本借りて、その約3時間後に違うビデオを借りに来てるのだから、疑問に思うのも不思議はないのかも。
今度はこの1時間後に、先ほどのとあわせた2時間映画3本を返却して、もっと驚かしてやろう。

「エミリー・ローズ」は、法廷サスペンスという位置付けでいいのだろうか?
とにかく、セリフが多そうなもの、内容が難しそうなものを選んだつもりだ。
この作品が時短プレイでも、十分観られるようであれば、なかなかいいんじゃないか。

で、結論から言うと、洋画と時短プレイは相性がいいかもしれない。
役者の口元を見てしまうと違和感ありまくりだが、それ以外は不自然さをあまり感じない。
消えてしまうのが多少早く、その分頑張らないといけないが、字幕についていければ、内容はほとんど理解できる。
最後のほうは、時短プレイというのを意識することなく観ていたような気がする。

時短プレイと洋画、これは結構良いかも。

■時短プレイで人生を豊かに

ムリヤリな算段論法をすれば、時短プレイで人生が豊かになるくらい言えないだろうか。
例えば、よく言われてそうな「映画は人生を豊かにする」というニュアンスのことを大前提にして、時短プレイなら映画を多く観ることができる、ゆえに「時短プレイは人生を豊かにする、、、なんて。
そして、 時短プレイで観るブームみたいなのが起ってくれればいい。
そうすればツタヤにもビデオが戻ってくるだろうに。
せっかく洋画と時短プレイの相性の良さを発見してこれからだというのに、肝心のビデオソフトがなくなってしまうのでは意味が無い。
頑張れVHS、DVDに負けるな。

 
 
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