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ロマンの木曜日
 
クリスト建築を鑑賞する


クリストという人をご存じだろうか。巨大な建造物や自然の風景をダイナミックに布で梱包する作品で知られる人気アーティストである。ぼくもこの人の作品は好きなのだが、一方でいつも思うのだ。別にクリストが梱包しなくてもそこらじゅうにそういうのってあるじゃないか、と。

(text by 大山 顕



■勝手に名付けました


にょっきりとクリスト建築

それはなにかというと、改装工事中のビルがシートで覆われるあれだ。普段見慣れた建物が布で覆われただけで妙な存在感を発揮する。魔法だ。

隠されることで逆に魅力的に、というのはすっぽんぽんより着てる方がなんかエロい、というのに通じているのではないか。そう思うのはぼくがおっさんだからか。

つまりいわゆる「着エロ」だが、「着エロ建築」と呼ぶのも何なので、ここはクリストに敬意を表して以下この覆われた建築物を「クリスト建築」と呼ぶことにする。敬意の表し方を誤っている気もするが。

 

■気づかなかったボディラインがあらわに


そうか、きみはそんなカラダをしていたんだね

ク リスト建築の魅力はいろいろあるが、まずあげておきたいのは「覆われることで形がはっきりする」という点だ。上の物件などはそのよい例だろう。色やディ テールが見えなくなることで建築物の大まかな形が見えてくる。人でいうならぴたっとしたボディスーツを身につけた状態とでもいえばよいか。人に例えるのは やめた方がよいか。

人であればパッドや矯正下着などで幻のボディラインが出現することもあるだろうが、クリスト建築は真っ正直。建築物本来の魅惑的な肢体を楽しむことができる。だから人に例えるのはやめた方がよいか。 

 

■一方で真四角になる魅力も


見慣れた街に現れたでっかい積み木

しかしクリスト建築の魅力はそれだけではない。まったく正反対に、建築物の形が完全に失われただの真四角い塊になってしまうのもステキだ。まるででっかい積み木のようになってしまった建築物にはいいようもない魅力がある。どうして世の中の建築物はみんなクリスト建築じゃないのか。

闇に横たわる横長の四角いもの

一部を覆い残しつつも建築のスクエアさを引き出した好作

上の写真を見れば、となりの覆われていないマンションと比べクリスト建築がいかに真四角かがよくわかるだろう。もともとそんなに複雑な形はしていないのだが、窓や梁のディテールおよび灯りの色などが見えなくなることで魅力的なハコになった。「神は細部に宿る」などというが、神様にはご退場願いたい。

 

■たとえばこんな構造物も

ディテールが失わせしめミニマリズムな魅力を引き出すクリストナイズの対象はビルばかりではない。


鉄塔もまた違った味わいに

たとえば鉄塔だってこの通り。トラス状に組み合わされた構造ムキだしの複雑性が魅力の鉄塔だが、覆ってみればそれはそれでまたチャーミング。Aラインのロングスカートを着こなした、という風情。これまた隠されてこそ気になる本来の脚線美。ファンの多い鉄塔だが、その魅力を再発見である。次回はマイクロミニにも挑戦していただきたい。


 

 
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