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ひらめきの月曜日
 
トマトのドロドロを応援したい

焼くべきでした

生のドロドロ(単体)は、とてもじゃないが食べられたものではなく、味付けうんぬんで変化があるとも思えないシロモノであった。いやぁ、すごかった。

さて、ドロドロの立場を守るべく、気を取り直して先へ進みたい。もしかしたら捨てられる運命にあるかもしれないドロドロに、今こそ光を当てよう。

と、次に選んだ食べ方がこちら。


食パンにドロドロを塗りたくります。イチゴジャムっぽい
サラミと溶けるチーズの乗せたらオーブンへ
中から出てくるドロドロがトマト好きにはたまらない

おお、うずらの卵がスッポリと!

普段、ピザトーストなんて滅多に作らないのだが、これがアタリだった。

サラミとチーズという、コッテリにかけては横綱クラスの素材を使っているというのに、なんともアッサリと感じられるピザトーストとなった。トマトのドロドロが、全体をサッパリとまとめ上げているのだ。

生で食べた時の青臭さが、加熱されたことでいい具合の酸味に変化しており、妙な甘さなど一切排除した「大人のピザトースト」と呼びたくなるほどの出来映えである。

「サラミ、くどい、チーズ、くどい、ドロドロ、さっぱり」口の中で繰り返される、この絶妙なバランスの波状攻撃に、完全にヤラれた。ピザトーストって、こんなにおいしかったですか。

市販のピザソースではこうはならなかったに違いない。トマト本体(?)のみを使っても、ここまでアッサリとは行かなかったのではないだろうか。

脂の乗った刺身を食べながら「いくらワサビを載せても効かないよー」と言ったりするが、感覚としてはアレに近い気がする。主役を引き立てる役目を果たすドロドロ。えらいぞ。

やっぱりドロドロは捨てるべきじゃない。ちゃんと生きていく道はあるのだ。よかった。

気を良くして、さらに実験は続きます。

 

煮てもよかった

「ドロドロは、火を通してこそ」ということが分かったので、次は煮ることにした。

さらに今回は、比較のためにトマト本体と食べ比べをすることにした。がんばれドロドロ。君なら出来る。

えーと、作りますのは「チキンのトマト煮」です。


サイの目に切ったトマト本体を投入
かたや、今回の主役ドロドロをザパーンと

それぞれ、加熱時間・調味料ともに同じ条件で作成した。

思えば、こういう物を作るときの料理本にこそ「タネの部分は取りましょう」と書かれがちなのだ。私には、いまだにその意味が分からない。タネが入ってたっていいじゃないか。冷やしトマトを見ろ。タネごと食べてるぞ。

それともドロドロが入ることで、そんなに味が悪くなるとでも言うんだろうか。ならば理解もできるが。…まぁ、そんなこんなの疑問も、それぞれを食べ比べることで解消されることだろう。ドロドロの怨念、今こそ私が晴らして進ぜよう。

では、まずトマト本体バージョンから食べましょうか。


まぁ、普通のトマト煮ですわな

もの足りないっちゃあ、もの足りない

いつもはドロドロ込みで煮込んでいた私にとって、考えてみればこれも初めての味となる。

食べた感想は「トマト煮って、こんなにパンチのない味だったっけ?」というものだった。語弊があるなら「優しい味」と言い換えてもいい。まろやか、とか。

なんというか、ごくごく普通の味だ。普通においしい。特にコメントすることは何もない、そんな味。

では続いて、同じ条件で作ったドロドロバージョンのトマト煮を食べてみよう。


つゆだく、一丁上がり
だってほら、おいしそうでしょう?

ここまで見た目が異なるとは意外だった。トマト本体が入らないと、ここまで茶色くなるのですね。そしてこのスープの量。ちょっとしたスープカレーだ。

味も全く違っていた。なんというか、さっきよりも味が複雑になったような気がする。深みが出た、と言うと褒め過ぎか。やはりドロドロの酸味が加熱によっていい方向に変化したように思える。

どっちが好きかと聞かれたら、迷うことなく「ドロドロの方」と答えます。タネだって全く気にならないし、味だっておいしい。言うことナシじゃないか。

なのに、どうしてタネを捨てなきゃならんのだ。

両方あってのトマト

そういえば、トマト嫌いな友人たちは「トマトソースとか、加工してあるのは食べられるし、好き」と言っていた。

やっぱりドロドロも加熱してこそ、なのだ。本体よりも味に劇的な変化が見られたのが、ドロドロ好きとしてはなんとなく嬉しい。「よくぞここまで化けてくれた」と言いたくなるほどの変貌ぶりであった。拍手を送りたい。

そして、料理本に書いてある「タネの部分は取り除きましょう」はこれまで通り、いや、自信を持って無視することに決めました。

ドロドロだけ売ってたら、買います

 
 
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