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ロマンの木曜日
 
地下鉄の出入口はなぜ強風か


りんかい線大井町駅へ

当サイト編集部の橋田さんにきいてみたところ、りんかい線の大井町駅が風が強いですとのこと。ニフティが大森にある関係で、となりの大井町駅をよく使うのかもしれない。

吹き荒れる強風を期待しつつ、調べにいってみた。


はじめて訪れる大井町駅。ここが竜の巣なのか。
階段の降り口付近にスタンバイし、調査開始。

根津駅での経験から、風がつよくなるのは出入口のように通路が細くなる場所だということがわかっている。

大井町駅構内はひろくゆったりとしていて、なかなかそういう場所がない。それでも階段付近の若干せまくなっているところをさがし、計ってみた。

さあ、結果はどうだろう。


風速は、約1メートル。

1メートル。

30分ほどいろんな場所で計ってみたけれど、どこも最大で約1m/sの風だった。「風向は煙がなびくのでわかるが風見には感じない」(気象庁風力階級「陸上の様子」より)という感じである。すくなくとも強風ではない。


橋田さんのうそつき・・。

きっと計る場所や時間帯が良くなかったのだろう。その辺りのことをちゃんと聞いておかなかったのがいけないのだ。(橋田さんはいい人で、うそつきではありません。念のため。)

 

入谷駅は強風だった!

つぎに、「地下鉄 強風 注意」で検索して表示された、日比谷線入谷駅に行ってみた。


東京メトロ日比谷線の入谷駅。

駅のホームに降りた瞬間から、すでに何かが違うのが分かった。

この駅は吹きそうだぞ、という匂いのようなもの。自分でもよく分からない自信があった。

はたして出入り口に立ってみると・・。


自信が確信に変わった瞬間。

入谷駅出口の最大風速は約9m/s。

持っている傘は確実に裏返るだろう。風力階級によると「葉のある潅木が揺れ始める。池や沼の水面に波頭が立つ」とある。かえって分かりにくくなってしまったが、まあそういうことなのだ。

 

風が吹きやすい駅とは

根津、そして入谷駅の共通点から、強風の吹きやすい駅の輪郭がおぼろげに見えてきた。

たぶんこういうことだろう。


参考:根津駅のホーム

1.上下線が別のトンネルに分かれている

根津も入谷も、上下線のホームは別々のトンネルに分かれている。

もしも真ん中に共通のホームを持つ駅なら、空気は反対側の線路との間でやりとりできる。でも根津や入谷の場合、空気は人間の出入り口を通るしかない。

参考:入谷駅の出入口階段

2.ホームが地上にすぐつながっている

ホームと地上との間に売店があるようなひろい空間があれば、そこがいわば空気のタンクになる。地上から空気を供給する必要が減り、風も弱まるにちがいない。


その他、出入り口の数がすくなければ、ひとつあたりの風量も増えるだろう。ようするに風の出入り口が狭く、すくないほど風は強くなる。

なんだかあたりまえの結論になってしまった。

友人の話は本当だった

2ページめのグラフからもわかるとおり、電車を降りてから50秒以内に出口の階段をのぼりきれば、強風のピークに間に合うことになる。

もちろん駅の構造等によってこのタイムラグや風速は変化するだろうけど、約1分というのは、ふだんふつうに電車を降りてから出口を出るまでの時間にだいたい一致する。だからこそ、地下鉄にはつねに風が吹いているものだと思い込んでいたのだろう。

「面白い服だねー」

というわけで、女性でスカートがめくれるのがいやだったりする場合は、50秒以内に出口をでるか、あるいは逆に改札で3分待ってから出れば大丈夫です。とはいえ、急いで階段で転んだりしないように、お気をつけください。

 

 
 
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