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ちしきの金曜日
 
巷で話題のドイツ製ボードゲームをやってみた
左、Kaker Laken Poker = 邦題:ごきぶりポーカー
右、Hol's der Geier = 邦題:ハゲタカのえじき


どうやら、ドイツのボードゲームがすごいらしい。
伊集院光氏と宇多丸師匠(笑点のではない)がともに大絶賛していた。
もうダメだ僕は、この2人が共にオススメするものなら、どんなものだって買ってしまう。
あと 、Wikipediaではドイツのボードゲームを指して、「現代の世界のゲームの一つの潮流を示すキーワード」とまで書かれていたのが地味に駄目押し。
世間では、Wiiやらプレイステーション3やらが話題になっているようだが、僕はこっちのドイツのボードゲームの方が気になっている。
気になるのなら、実際やってみましょう、ってことで。

※ボードゲームの中にはいわゆるカードゲームも含む

(text by 上杉 天馬



プレイヤー集めに苦戦、あと当日説明書忘れた

今回やってみるのは2つ、 伊集院氏が大絶賛の「ごきぶりポーカー」と、宇多丸氏がはまった「ハゲタカのえじき」。
手に入れるまではすんなりいくのだが、いかんせん1人でやっても仕方がないゲーム、どうしても一緒にやってくれる人を集めなくてはならない。
これが本国ドイツなら、きっとゲームメイトなんて位置付けの友達が居たり、もしくはそういう友人が居なくてもドイツのmixiのコミュニティを使えば、プレイヤーなんてすぐ集まったりするのだろう。
もしかしたら、ボードゲームメインの社交場なんてあって、ポークビッツ食べながら、ゲームをやっていたりするんだ。
だが、ここは日本、 「カードゲームやらない?」といって、人を集めるのは勇気がいる、それが知合って間もない人たちなら尚更だ。


休日なのにわざわざカードゲームの為だけに(というとカードゲームファンに失礼だが)集まってくれた2人。ちなみにプライベートで遊ぶのは今回で2回目。よく来てくれたものだ、感謝

この話をした時に、意外にもくいついてくれた人たちが居た。
伊集院光ラジオのリスナー2人だ。
やっぱり持つべきものは、類トモだ。
あと、「1000円分奢るから」という誘い文句も効いたのかも。
場所はファミレスにした。

早速始めようと思ったら、ごきぶりポーカーの日本語説明書を家に忘れたことに気づく。
本来付属の説明書では、祖国のドイツ語と、英語とフランス語と韓国語の説明はあるんだけど、日本語での説明がない。
だから、店側がつけてくれるのだ、日本語の説明書を。
今回はそれを忘れた。
要するに、ごきぶりポーカーをプレイすることができないってことです。
ルールを予め予習してこなかったのは、「単純なルールですぐにプレイ可能」ということを実践してみたかったからです。
それにしても、日本語・中国語を差し置いて韓国語って。

 

「ハゲタカのえじき」をプレイ

伊集院リスナー2人のブーイングを受けつつ(伊集院がラジオで取上げたのがごきぶりポーカーなので)も、今回は「ハゲタカのえじき」だけをプレイすることに。


説明書を読むこと1分、すぐに理解できた

◆ ハゲタカのえじきのルール

1.各プレイヤーには1〜15までの数字が書かれた手札が配られる(ネズミの絵)。場には1点〜10点(ネズミの絵)と−1点〜−5点(ハゲタカの絵)からなる得点札を用意。
2.得点札を一枚めくり、開かれた得点札を考慮して、各プレイヤーは手札の中から一枚を選択。場に伏せておく。
3.一斉に開き、得点札が+の場合は、出した手札の数字が一番プレイヤーが、得点札が−の場合は、出した手札の数字が一番低いプレイヤーが、得点札を持って行く。(但し、出した数字がかぶった場合は、その数字は無効となり、次点の数字を出したプレイヤーが持って行く。
4.2と3を15ラウンド繰り返して、一番得点が多かったプレイヤーの勝ち。

以上


なんとも単純なルール。
ルール説明だけを読むと、何が面白いんだろうと思う。
最初に読んだとき、まっさきにそう思った(今でもルールだけ読むとそう思う)。
ところが、実際にやってみると、これが燃えるんだ。

 

相手の裏をかいての勝利には思わずガッツポーズも飛出す
ここぞとばかりに出した自分の最強カードが、他プレイヤーとかぶると目も当てられない
得点カードが10(最高点)のラウンド、全員が15を出した、笑うしかない

ファミレスで心理戦

このゲームで最終的な勝者となるには、一つ一つのラウンドで効果的に勝って、効果的に負けることが重要。
相手の手札が14、自分の手札が15、こういった勝ち方が理想となる。
逆に、相手が15を出したときに、自分が1の手札で負ければ、効果的な負け方である。
どこで勝負をかけるのかが、重要なポイントとなり、高度な駆け引きが必要となってくる。
残りのラウンドと自分の手持ちのカードを見据えた上で、この得点カードは取る!取らない、という取捨選択も勝負の分かれ目。

加えて、「出した数字がかぶった場合は、次点のプレイヤーの勝ち」というルールが、心理戦を面白くする。
例えば、場に出た得点カードが10、当然誰もが欲しがる。
単純に考えれば、手持ちで一番強いカード(15)を出したいところ。
ただ、他のプレイヤーと出す数字がかぶると勝てない、というルールを考慮に入れないといけない。
「15は他のプレイヤーも出すだろうから、きっとかぶってしまう。14か13がいいだろう」
「いやいや、相手も同じことを考えているから、ここで15を出せば勝てる。」
「まてよ、他2人の数字がかぶることを考えて、小さい数字で漁夫の利を狙えるんじゃないだろうか」
とかとか、考えれば考えるほど、ややこしい。
スパイラル的思考にからめとられる。

ちなみに、考えに考えた挙句、他プレイヤーとまんまと数字がかぶってしまうと、悔しいというより、笑える。
心理を読む為のテクニックなんだろうけど、「ここはみんな取りに来るよね(得点カード8点のラウンド)…?」とか、声に出されると結構ウザイ。
じゃんけんで、「俺グー出すから」みたいなことを言われるのと同じウザさ。

しかし、この見事な心理戦を構成するこのゲーム、まるで福本伸行マンガに出てくるゲームのようだ。
相手の心理の読みよう、戦略の立てよう、緊迫感はないが、カイジ気分だ。
「ざわざわ」という効果音が欲しい、ファミレスの店員も気を利かせてそれくらいやってくれればいいのに。
あと、緊迫感を出すために、耳か目を賭けるというのはどうだろう。

この日の自分は、トップが2回、2位が2回でまぁまぁの戦績。


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