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ちしきの金曜日
 
海で摘むところから海苔を手作りした
今度は海苔をつくってみました。

中日ドラゴンズの落合監督が中村紀洋の獲得を検討しているというニュースをテレビで見ていたら、知人のKさんから、「ノリを取りにいこう!」という、張り切った電話がかかってきた。

どういうことなのか聞いてみたら、野球のノリではなくて、食べ物の海苔の話だった。タイミングが悪い。

なんでも千葉の海岸に自生している海藻のノリを摘んできて、それを加工して四角い海苔にして食べるのが、彼の中で流行っているらしい。

海苔なんて個人で作れるものなのだろうか。海のない埼玉生まれの私にはまったくわからない世界だが、とりあえずノリを摘みに連れていってもらうことにした。

※ややこしいので、海藻の状態ののりを「ノリ」、食べられる状態ののりを「海苔」と書きます。

(text by 玉置 豊



海へノリを摘みに行く

ノリを摘むには潮が引いている時間に海へ行く必要があるということで、干潮にあわせて仕事帰りのKさんに車で迎えに来てもらい、この時期にノリが摘めるという場所へと向かう。

車中、Kさんは「俺はどうしても蜜蜂が飼いたいんだ!養蜂がしたい!」と熱く語っていた。マンション暮らしなのでさすがに躊躇しているらしいが。

着いた所は、釣りをしに何回か来たことがある場所なのだが、ノリを摘めるような場所ではないはずだ。本当に大丈夫なのだろうか。


現場帰りのKさん。この海へと降りるための足場は、Kさんが組んだものではない。たぶん。

 

ノリを求めて海へ

海岸へと出ると、岸沿いにテトラポッドが積んであり、潮が引くとその先に現れた石畳へ降りられるようになっていた。


干潮時だけテトラの先に降りられるようになっていた。 滑るのでスパイク付の長靴を履いてきた。安全第一。

なるほど。干潮時にこの場所へ来たのは初めてなのだが、こうなっていたのか。ロールプレイングゲームの謎解きみたいでドキドキしてきた。

 

これがノリだ

海藻で滑るテトラポッドにへばりつきながら海へ降りると、そこらじゅうに青い海藻がびっちりと生えている。これが目的のノリなのかな。

Kさんが言うには、この緑の海藻は、海苔は海苔でも青海苔の原料となる「アオサ」と呼ばれる海藻らしい。

青海苔も魅力的だけれど、今回の目的は黒い海苔をつくること。その材料となるノリはどれかというと、テトラポッドについている黒いコケみたいなやつ。これが目的のノリなのだそうだ。


テトラポッドに付いている緑のがアオサ、黒いのがノリ。 コレがノリ。知らなかったよ。

ちょっとそのままつまみ食いしてみたら、確かにアオサは青海苔を海水で洗ったような味がする。ノリも海苔を海水で洗ったような味だ。ガッテンガッテン。

 

ノリ摘みは楽しい

どれがノリかわかったところで、緑のアオサを避けながら、この黒いノリを摘んで集めればいいのだが、これがなかなか難しい。さっきまで海中に沈んでいたテトラポッドに生えているノリなので濡れているのだ。

ノリは濡れた状態だと、つまんでも滑ってしまって全然取れない。そこで、お日様に当てられて、半乾きになったところを下側からペリペリと剥がしていく。うまく剥がれると、とても気持ちいい。


半乾きをペリペリペリっと剥がします。楽しい。

この楽しさ、たとえるのならば、テトラポッドいっぱいにできたカサブタを剥がしていく感じだ。これは夢中になる。

ノリは濡れていると掴めないし、乾ききってしまっても取れない。Kさん曰く、「ノリを摘みながら、常に太陽の位置を計算に入れろ!」という事らしい。奥が深い。


濡れた状態だと摘めない。 乾いちゃうと、これも摘めない。

 

地元のじいちゃんに話を聞いた

ノリ摘みをしながら、近くでアサリを掘っていたじいちゃんと世間話をしていたら、なんと昔、この海で海苔作りをしていたのだという。

このあたりの海はだいぶ前に、開発のため漁師達は漁業権を放棄しているので、もうほとんど海苔養殖はおこなわれていないのだが、じいちゃんが子供の頃はみんな海苔養殖をしていて、それは羽振りがよかったそうだ。


「手作りの海苔はうまいぞ。俺はもうやらねえけどな。」

このじいちゃんの話がおもしろかったので書き留めておく。

  • 海苔にアオサが混ざることを「青が飛ぶ」という。
  • もうアオサが生えているから、時期がちょっと遅い。
  • 青が飛んだ海苔は、味はいいけれど見た目が良くないから売り物にはならない。
  • 海苔は天気のいい日に一日で干さないと「おかめ」といって、不格好な海苔になってしまう。
  • 海苔は当時のお金で一枚10円で売れた。
  • 海苔をつくるのは10円札をつくるのと同じなので、海苔屋は造幣局と呼ばれていた。
  • 海苔の収穫時期は、家族みんなが朝3時に起きて働いていた。
  • その時期は、晴れたら誰も学校なんかいっていなかった。
  • 雨が降ると、子供達は学校へタクシーで通った。
  • 俺だったらおまえの10倍はノリを摘む。
  • ノリよりアサリを捕れ。

はい、アサリ捕ります。こんな話を、森繁久彌がべらんめえ調になったような口調で、ぶっきらぼうに聞かせてくれた。こういう話は文字にしたところで大しておもしろくないけれど、本人から聞くとものすごくおもしろいのだ。

 

収穫終了

潮が満ちてくる前にノリ摘み終了。めでたくコンビニのビニール袋一つ分のノリが収穫できた。ところで、これは海苔にすると何枚分なのだろう。


ついでにアサリも収穫しました。 指先がボロボロだ。でも楽しかったからいいや。

さあ、こいつで海苔をつくってみよう。


  海苔を作ろう >
 

 
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