二瀬ダム
今日最後の目的地は、荒川の最上流に設置されている二瀬ダム。高さ95m、珍しいアーチ式のダムで、洪水調節や上水道用水確保などの用途があります。ここは夜景がキレイなので、ダムを見ながら日が暮れるのを待ちましょう。
今日ここまで観てきた重力式ダムより数字上では低いものの、切り立った壁がアーチしている自然界では絶対あり得ない光景は、下を覗いた瞬間に背筋がゾクッときます。そのとき、全員の心に再び悪魔が宿りました。「住さん、ここは大丈夫だよ」「あー、これはいい景色かも」「うん、さっきのより低いし、ぜんぜん平気」
「…本当に?」 恐る恐る柵に近づく住さん。意を決して下を覗こうとしていたその瞬間、僕は見逃しませんでした。 背後で藤原くんが笑っている!
「ああっ!!これはヤバい!これはヤバい!」 アーチダムは構造上、重力式ダムより壁面の傾斜がキツいので、上から覗くと数字以上に高く感じて吸い込まれるような錯覚に陥るのです。 住さんが人間不信になったりダムが嫌いになっていないことを祈ります。 いっぽう住さんの部下である今吉さんは「ここ、いいわー」を連発していました。
住さん、ごめんなさい。もうしませんから、またダム行きましょうね。
あたりが少し暗くなってきました。ダムの横から山の斜面にそって遊歩道が上に伸びていて、そこから見下ろす夜景が僕のオススメスポットなのでそろそろ移動することに。てっぺんまで来ると、眼下に巨大なアーチダムの全景が見渡せます。お、この時期にしては珍しくダム湖の水が豊富!お客さん、いい時に来ましたよー。
しかし、日が暮れてきたこともあって強風が体に染みます。あとは真っ暗になって堤体上の照明が灯るのを待つばかりですが、こんな時に限ってなかなか明かりがつきません。十数分待ちましたが、みんなの口数が減る代わりに鼻水をすする音が多くなってきました。
「…前にもここから観たことあるんですか?」 「何回もありますよ」 「…暗くなってから来たんですか?」 「ここで暗くなるまで2時間くらい粘りました」 「…一人で?」「はい」
「あ、そう言えば、僕ここで待ってて野犬に追われたことあります」 「…」 「あとスズメバチに襲われて逃げ帰ったことも」 「……」
「…明かり、つきませんね」
「…帰りましょうか」
「…帰りましょう」
なんだか完全にダムの神様に見放された今回のダムめぐりでしたが、皆さん「楽しかった」と言ってくれたのが何よりの救いでした。あと、僕はいちDPZ読者として藤原くんのファンなので、その旨を伝えたところ、彼は無言でかすかな微笑みを返してくれました。もうそれで充分です。
最後に、なぜか全員がたくさん撮っていた「ダムと藤原くん」の写真集を載せて終わりたいと思います。
キャパシティ超えました
はじめてのDPZの取材、そしていきなりあのメンバーでどうしていいか分からず、完全に浮き足立っていました。しかもダムの神様に裏切られるというハプニング。日頃の行いが悪いのでしょうか。
でもダムめぐりは楽しいので、皆さんもぜひ行ってみてください。