●僕たち一回、距離を置いた方がいい
近距離から見て混乱した大仏さま。これだけ大きいのだから、遠くからでもよく見えることだろう。その方が心乱されることなく拝めるような気もする。
大仏さまのお顔はほぼ真南を向いている。そういうわけで、大仏から南に2kmほどの地点にやってきた。
もっとあっさり見えると思ったのだが、そうでもない。目を凝らし、カメラのズームをいっぱいにして見てみよう。
地形の関係なのか、体の部分は見えず、地平からひょっこり顔を出しているように見える大仏さま。遠くからだけど、ちゃんと元気そうだ。
ここまで来ると、言われなければおかしさ気付けないくらいマイルドになっている大仏さま。考えたら負けだ。
さらに離れるとどんどん小さくなっていく大仏さま。これ以上離れると、普通の地面からだと見えなくなってしまいそうだ。さらに離れて、高いところから見えるかどうか試したい。
少し高そうな建物がありそうなところということで、牛久駅にやってきた。市内では一番大きな駅、大仏さまからは15kmほど離れているところになるだろうか。
駅近くの建物に上ってみる。…おお、見えるぞ!
かすんだ空気の向こうに、しっかりと大仏さまは立っていた。思っていたよりもはっきりと大仏ポーズも見て取れる。このくらい離れているからか、普通にありがたく感じられる。
さて、さらに遠くからでも見えるだろうか。実はこの牛久大仏、東京からでも見えるらしい。
実際、ネットで調べてみると、六本木ヒルズから見える様子が確認できた(参考ページ)。違った場所からも見えるだろうか。そういうわけで訪れたのは、池袋のサンシャイン60だ。
大仏さまが見えるかもしれないと思うと、ただでさえうれしい高いビルがもっとうれしくなる。家族連れやデート中のカップルが多い中、大仏さまという明確な目的をもってここに来た。
さあ、どうだろう…。
目を凝らすのは地平線。方角は大体東ということになるだろう。
…うーん、かなり目を凝らしてじっくり見たのだが、どうもそれらしきものは見当たらない。よし、望遠鏡にコインを入れて、さらにしっかり見てみよう。
真剣に見ていると時間があっという間に立つ。急に目の前が暗くなる。コイン分の制限時間が来たのだ。待っている人がいないことを確認して、再び新しいコインを投入する。
あとから写真を見てわかったのだが、どうもそんな私の姿をじっと見ていた子供がいたようだ。おじさんはな、大仏探してるんだよ。
……そうかなあと思う突起が見えたような気がしつつも、はっきり確信はもてない。どちらかと言うと、「これは違うよな…」と思うようなものしか見つけられなかった。
今回は見つけられなかった、と言うしかなく申し訳ないのだが、大気や正確な方位など、条件が整えば見える可能性もなくはないとは思う。
●感覚を揺さぶってくる大仏さま
混乱というか不思議感というか、とにかく翻弄されっぱなしだった牛久大仏見物。上ばかり見ているから頭がクラクラしてくるというのもあったと思う。
その余韻をひきずってか、この記事でも「大仏がとにかくでかい」ということしか言えてない気がする。
取材当日は3月中旬、なぜだかばっちり桜が咲いていたのも不思議だった。生の迫力は実際に見るのが一番なので、ぜひいつか自分の目で確かめていただきたいと思う。