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ひらめきの月曜日
 
「がっかり名所」を返上したい
アップで見ると文句なくかっこいいのだが。


先日、ライター斎藤さんが、「がっかり名所」と言われる観光地についての記事を書かれていました。

札幌市時計台以外には、はりまや橋、守礼門、オランダ坂と、かなりのがっかり度を誇る観光地ばかり。

掲載後、斎藤さんからも、編集部の皆さんからも、知人からも
「札幌時計台のがっかり度が一番すごかった」
という感想をいただきました。

ええー!?そうかなー!?
そこまで言われるほどではないと、私は心底思うのですが…。

 

いつのまにやら「がっかり名所」と言われてしまった札幌市時計台。
あらためて紹介して、この汚名を返上したいと思います。

(text by 加藤 和美



■時計台というイメージ

北海道外の友人に聞いたところ、時計台にどんなイメージを持っているのかというと、こうだ。


時計台に対するドリームを絵にしてみた。

北海道らしい広大な土地に、ヨーロッパの建物よろしくドーンとそびえる時計台。
北の青空には、時計台の鐘が鳴り響き、まわりでは牛や羊がたわむれている…。

おそらくそんな時計台を想像しているのだと思うが、

そんな時計台、ないから。

 

実際には、こう。


こぢんまり。

「北海道」「北の大地」というキーワードに夢を見すぎである。
過剰な期待が、実物を見た時の“がっかり”につながっているのだろう。


実際の時計台は、札幌駅からも、大通からも近く、ビル街のど真ん中。残念ながら、どの角度で撮影しても、まわりのビル群が写り込んでしまう。


がしかし、街中にあるということは交通の便が良くて行きやすいということだし、それ以外にも魅力はある。

それを紹介していこう。

 

おなじみのアングルとはまた違った角度から。
これは南側からの時計台。
時計台の裏側(東側)は路上駐車場だった。

■時計台、基本情報

札幌市時計台の正式名称は「旧札幌農学校演武場」。

現在の北海道大学の前身、札幌農学校の演武場(今で言う講堂や体育館のようなもの)として、1878(明治11)年に建てられた2階建ての木造建築。つまり今年で129年目。

1906(明治39)年、農学校が現在の北大の場所に移動したのにともない、時計台も現在の場所に移動したそうだ。

その後、1911(明治44)年からは図書館として利用され、1970(昭和45)年に重要文化財に指定されている。

なお時計台は木造2階建てだが、建物自体は、5階建てのビルくらいの高さがあるという。
意外と大きいが、まわりのビルの方が大きいので、大きく見えない時計台。

これだけでも見直してもらえないだろうか。

それでは、こんな感じで基本情報を把握したところで、観光にまいりましょう。

 

右にあるのが記念撮影するための台。
撮影ポイントは観光客が並んで空くのを待っている。

■撮影ポイントを押さえよう

時計台に来たら、何はなくとも写真撮影だろう。

良い写真が撮れるポイントは押さえてくれており、撮影台を設置したり、観光客にわかりやすいように表示している。


正面の門以外にポピュラーな撮影ポイントは、時計台向かって右側にある「記念撮影スポット」。

台に登って写真を撮ってもらえば、背後にばっちり時計台が写り、旅の思い出が1枚出来上がり。


それでは、実際に撮影スポットで写真を撮ってみよう。


ほら、この通り。
いい記念写真が撮れます。

撮影スポット台の足元に、こんな表示が。

「時計台向かいのビルの2階にも、撮影スポットがあります」とのこと。
妙に親切なこの表示に従い、向かいの撮影スポットにも行ってみよう。

 

時計台の向かいのビルの、2Fテラスが撮影スポット。

■他の撮影スポットへ

時計台の向かいのビルの2階テラスは、公開空地になっており、誰でも入れる場所だそうだ。

2回のテラスから見下ろすと、時計台を真正面から見ることができる。
観光客は見逃しがちな撮影ポイントではないだろうか。
テラスは広いので、写真撮影の順番待ちはしなくていいし、オススメだ。


とはいえ、やはりここから撮影しても、時計台の向こうのビルが写りこんでしまうのが惜しい…。

ここは公開空地なので、時計台を眺めたい人はぜひ。
ビルが写りこむのが惜しいが、記念写真としては、なかなかではないだろうか。

 

時計台の入口付近。古い木造の、なつかしい匂いがした。
入ってすぐの展示室。古い本棚や机、イスがまたいい雰囲気。

■時計台の中に入ってみよう

時計台の中には、時計台や札幌の歴史に関する資料が展示されている

札幌に観光に来ても、
「時計台の前で写真を撮っただけ」
もしくは
「バスで時計台の前を通っただけ」
という人も多いのではないだろうか。

私の知人も、ほとんどがそのパターンで、中まで入った人はあまりいない。
時間が許すのであれば、ぜひ中に入ってみてほしい。

なぜならば、入場料が

  • 大人 200円
  • 中学生以下 無料

と、かなりお安いからだ。

このお値段であれば、入ってみても損はないのでは。

 

昔の学校の事務室のような、なつかしい匂いのする受付で入場料を払い、まず入口付近の部屋へ。

こちらでは、札幌の文化財の紹介や、書籍、コンピュータ検索などができる。

時計台の外側は白く塗られているが、内側は一面淡い緑色で、大変かわいらしい。

 

小さいけど、お客さんでにぎわっていたおみやげコーナー。

■ローカルゆるキャラが、時計台にまで!

次の部屋へのちょとした隙間に、小さなおみやげもの屋さんがあった。
その中に、私も知らないグッズが…。

時計台のキャラクター「とっけ」。

写真を見ていただきたい。
最近では、地方発信のキャラクターや、ゆるキャラといわれるシンプル系デザインのキャラクターがはやっているが、いつのまにか時計台にもゆるキャラがあらわれていた。

「とっけ」は文句なしにかわいらしいと思うのだが、どうだろうか。

私は買いました。


これが時計台のキャラクター「とっけ」。
とっけの携帯クリーナー。絵とはまたちがったかわいらしさ。

  

1階正面にある、一番の広い展示室。
展示は日本語の他に、英語。
主な説明には中国語、韓国語表示もあり。
時計台の修理の様子が細かく記録された映像が見れる。

■広い展示室へ

1階の広い部屋へ入ると、時計台や札幌農学校(北海道大学)にまつわる歴史が展示されている。

最近だと、平成7〜10年にかけて、時計台の補修が行われた。

私は平成7年に札幌に引っ越してきたのだが、引っ越してすぐ時計台を見に行ったら工事中。
当時の時計台は、すっぽりとシートがかぶせられていて、ぜんぜん見えなかった。
その後3年姿を拝めなかったため、そのまま「時計台見たい熱」が冷めてしまい、実際に見たのはだいぶ後になってからのことだったりする。


なお、この平成7年の補修はかなり大規模だったらしく、時計台のあちこちを分解し、再度組み立てたらしい。
その様子も展示で見ることができるのだが、例えば屋根板1枚直すのにも、外した後、腐った部分だけを細かく切り出し、新しい板を同じ形に切ってはめこみ、それから元に戻したのだという。
気の長いパズルのようだが、そこまでして「可能な限り古い木材を使おう」というポリシーで修復していたのだそうだ。


時計台のシンボル大時計も、この補修の際に文字盤を塗りなおされていた。
映像で見たところ、想像以上に無造作に塗りなおされていて驚いた。
てっきり文字盤は浮き彫りになっているとか、もしくは別パーツをくっつけているのかと思ったが、修理のオジサンがペンキで数字を描いていただけだった。
そんな時計台に、親しみが湧いてしまった。


さらに修理の歴史をさかのぼると、時計台は今とは屋根や壁の色が違ったそうだ。
今は赤い屋根に白い壁だが、外壁を塗りなおした後を削ってみると、外壁が灰色だったり茶色だったりした時期もあるのだとか。

このように、建物の歴史をひもといただけでも、マジメに見てみるとなかなか興味深い。

 

教会のような荘厳さもある、2階ホール。
実はホールとしても人気がある時計台。

■2階もあるよ

時計台の2階はホールになっており、約150人ほどを収容できる。
天井が高く、昔風の木のベンチが良い雰囲気。
照明のデザインもおしゃれ。


実はこの時計台2階ホールは、普通に借りて音楽会、講演会、結婚式などを開くことができる。
しかも利用料金は、6000円もしくは12000円と安い!
実際に2階ホールはほぼ毎日埋まっている。

以前、友人が時計台2階ホールでのクラシックコンサートに出演していたため、見に行ったり、チラシを作ったりしていた。


そんなわけで、個人的には、時計台はただの観光施設ではなく、ふだん何かとお世話になっている場所、というイメージがあるのだった。


ちなみに、気楽に利用できると言っても、そこは重要文化財。
画鋲は禁止など、細かい利用制限があるのだとか。

音楽専門のホールに比べると反響が弱いらしいが、それでも雰囲気といい値段といい立地といい、良い場所ではないだろうか。

参加した時の印象だと、毎時0分になると鐘の音が鳴るのも、雰囲気がとてもよかった。

友人のコンサートの写真を拝借。アットホームでいい雰囲気。
夜になるとライトアップされる。

 

観光客たちのざわめきをよく聞くと、写真を撮ってもらって「ありがとうございましたー」というやりとりが聞こえる。

■時計台の鐘の音を聞いてみよう

時計台に来ても、外側だけ見てスルーでは気づかないものといえば、鐘の音もそのひとつ。

時計台は1日中、毎時0分になると鐘の音が鳴る。
夜中でも鳴る(オフィス街なので問題ないそうだ)。

時計台の鐘の音は、1996(平成8)年に「日本の音風景百選」に選ばれているので、時計台に行くのであれば、0分になる瞬間を狙って行って、鐘の音を聞いてみてはどうだろうか。

ちなみにちゃんと聞きたい場合は、例えば1時だと鐘が1回しか鳴らないので、11時や12時といった、多く鳴る時間に行くのがオススメ。

ここだけの話、鐘が鳴るのを知らない観光客の皆さんが、鳴った瞬間ちょっとビクッとするのも面白い。

■返上はさておき

観光地でありながら、市民に使われてもいる札幌市時計台

他にもいろいろ紹介したいことはあるのですが、それは実際に足を運んで、展示を見ていただきたいと思います。


「がっかり3大名所」ということで、あそこよりはマシだとか、そういう比較をする気もないのですが、それほどがっかりでもないですよね?ね?

…ということで、印象を改めてもらえると幸いです。

 

あ、オマケ情報ですが、北海道庁旧庁舎(赤レンガ庁舎)も、中に展示があるので、時間があるなら入ってみてはいかがでしょうか。

2階のあしあとノートに、メッセージ書きました。

 
 
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