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はっけんの水曜日
 
海ごはん海ごはん

(text by 大塚 幸代



海のそばに住むのが夢だ。
眺めてるだけで半日はつぶせる。海水につかれば、さらに半日、そのままで過ごせる。大人用浮き輪にはまり、クラゲのようにボケーッと浮いてるだけで幸せだ。波、空、波、空、太陽、波、空、もう目にはいるもの、全部キラキラでクラクラ。たまらん。
ちなみに水着に自信はまったくないので、「ダーリンと行きたい」とか、そういう望みはほとんどない。ただただ、海大好き。海最高。なぜだろう、海のない埼玉県出身だから、憧れてしまうのだろうか。
というか、「海のそばに住みたい」と思わない人のほうが、少ないんじゃないだろうか。

実はかつて、ある取材で、「スキンダイビング」の体験講習というのを、したことがある。
スキンダイビング、つまり機材をつかわない素潜りだ。ウェットスーツとシュノーケル、足ひれだけで、何メートルも潜る。
講習はプールで。まずは、はしごにつかまって、少しづつ潜る。頭を左右に動かして、「耳ぬき」をペキパキとやる。次は泳ぎながら、数メートル潜る。最初は深く潜るのが怖いけど、ちょっとづつやれば、初心者の私でも、5メートルプールの底まで行けた。
「スジがいいですね」「30代から始める、女性のかたが多いですよ」「機材をしょったダイビングと違って身軽なので、御蔵島とかで、イルカと一緒に泳いだり出来ますよ」等々言われ、いつか本格的にやってみたいなあ……と思いながらも、お金と暇の都合上、ぜんぜん出来ないでいる。
海水浴のあとの、ラーメンが美味しいように、ダイビングのあとのごはんは、さぞ美味しいだろうな、と想像する。

……という話を、「昔、ダイビングに凝ってました」という知人に話したら、「『ダイバーめし』っていうのがあるんだよ」と教えてくれた。
「海でしか食べたことないけど、あれ、美味しいんだよねー」
「ど、どんなメニューなんすか、それ」
「カセットコンロで、簡単に出来る、アウトドアーごはんなんだけどね。地上で食べたら、もしかしたら美味しくないのかもしれないけど、泳いだあとに食べると、すんごい美味しいんだよ」
「……それ、教えてください!」
「レシピ、っていうほどのものじゃないけどねえ」
彼女はちゃちゃっと教えてくれた。
ああ、憧れのダイバーめし。
泳げないけど、泳いだ気分で真似して作ってみることにする。


用意するのは、ダシの素、ツナ缶、ソーメン、タマネギ、あと、あればお醤油。


まず、お湯をわかして、ダシと醤油をイン。



タマネギをスライスして、鍋に投入。



ツナもガバっと入れる。


そこにソーメンを、そのまま入れて、ゆでる。



大変あっけなく出来た。

「せめて屋外、ベランダで食べよう」と、ドンブリ持って、自宅の物干ざおの下で食べた。
これが……見かけはイマイチだが……予想外にウマかった!!
汁がうまい。ツナ缶とダシ汁が、こんなに合うとは思わなかった。タマネギの甘みも合っている。全体的に、ちょっと塩けが強い気がするけど、「泳いだ後」だったら、これでちょうどいいのかもしれない。

ああ、海に行きたい。海に行って、これ食べたい。しかし今年、行く予定はまったくない。
『海ごはん山ごはん』(昔のテレビ番組、さわやか男女が屋外でごはんを食べるという内容、俳優の堺雅人とかが出てた†)のレンタル落ちビデオテープ180円を入手したので、見ながら、このツナソーメンを食べたりしたいと思う……。


 
 
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