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ちしきの金曜日
 
江戸前オオアサリ(ホンビノス貝)を捕ってきた

貝の素性を調べてみた

オオアサリを家に持って帰り、砂抜きしている間にこの怪しげな貝の素性を調べてみたところ、以下のことがわかった。

  • ハマグリと同じマルスダレガイ科の二枚貝で、本名をホンビノス貝という。
  • 北アメリカ原産
  • 貨物船のバラスト水(空荷のときにバランスを取るため船に積む海水)に混じって日本にやってきた
  • 別名・干潟界の黒船
  • アメリカでは食用で、クラムチャウダーなどにする
  • こう見えて寿命はゾウガメより長い

江戸前で採れた貝が実はアメリカ原産。知り合いが新横綱の白鵬がモンゴル人だという事を知って驚いていたのに似た構造だ。

そんなホンビノス貝、最近ではオオアサリとかシロハマグリとかいう名前で市場などにも出回っているらしい。

ちょっと気になって魚屋を廻ってみたら、確かに捕ってきたのと同じ貝が普通に売られていた。


「大アサリ」名義で販売中。 こちらは本名「ホンビノス貝」で頑張っております。

ちなみに、本来「オオアサリ」という名前は、「ウチムラサキ貝」という貝の俗称なのだそうです。

 

アサリだと思って炊き込みご飯にしてみる

貝の素性がわかったところで、アメリカンにクラムチャウダーにでもしようかと思ったけれど、ここはジャパン。

郷にいれば郷に従え、江戸前で育ったんだから和食になれということで、ちょっと大きなアサリだと思って料理することにした。クラムチャウダーの作り方なんて知らないし。

まずはアサリの炊き込みご飯。貝が大きすぎて、炊飯ジャーに3つしか入らなかった。


生姜をたっぷり。 炊きあがり。

身がでかいぜ。

茶碗によそってから気が付いたのだが、作り方を間違えた。

アサリの炊き込みご飯は、アサリと米を一緒に炊くのではなくて、アサリの茹で汁で米を炊いて、あとから茹でた身を混ぜるんだった。

まあ間違えたものは仕方がないとホンビノス貝の身を食べてみたら、もの凄く硬い。

噛んでも噛んでもなかなか口の中からなくならず、アサリジャーキーを食べている気分になってきた。ごめんよホンビノス。

 

アサリだと思ってみそ汁にしてみる

ご飯とくればお汁。シンプルにみそ汁にしてみた。


お椀が小さく見える。

貝がパカッと開いてすぐ火を止めたので、今度は身が固くなっていない。

酔っぱらっているときに「はい、ハマグリのみそ汁です!」と勢いよく出されたら、「ああ、ハマグリだ、うれしいな」と思ってしまいそうだ。

 

アサリだと思って酒蒸しにしてみる

アサリ料理といえば(アサリじゃないけれど)、やはり酒蒸しだろうということでつくってみた。


ショウガをしっかり効かせて。

本来、アサリの酒蒸しは、一つ一つの実が小さくて、いくら食べても口寂しい感じがするのだが、ホンビノス貝の酒蒸しは、たった一つの実で口いっぱいになるのが嬉しい。

アサリの何倍も実が大きいので、「ああ、水道管部分は牛でいったらタンだな」みたいに、部位ごとに味や歯ごたえの違いがわかるのもおもしろい。

 

ハマグリだと思って焼いてみる

ホンビノス貝はオオアサリという名前以外にもシロハマグリという名もあるようなので、ハマグリっぽく網焼きにしてみた。


結構ジューシー。

パカッと開いたところに醤油を垂らして食べたらビールが欲しくなった。ジューシーだし実も柔らかい。

アサリでもハマグリでもホンビノスでも、貝がパカッと開く瞬間は無条件に嬉しい。この「貝がパカッと開く」という楽しみに重きを置いた場合、この網焼きが一番だ。

味について

ホンビノス貝、飲み込んだあとに若干の泥臭さのようなものを感じたけれど、これは貝の問題というよりは、砂抜き時間の短さに起因するものだと思う。採ったその日に食べた私が悪い。

まあ泥臭いといっても、こいつの正体を知った上で食べているから気になる程度で、知らずに店で出されたら、ああこういうものかと普通に美味しく食べただろう。

アサリやハマグリとはちょっと違う味ではあるが、とりあえず食いでがあって頼もしい。次はアメリカンなクラムチャウダーにしてみようかな。

なんとなく贅沢した気分になる写真だ。

外来種に関してはいろいろとデリケートな問題がありますが、とりあえずごちそうさまでした。


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