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はっけんの水曜日
 
人類発祥の地は何もない島だった

馬はいました。

ほんとに何もないです

島には外周に沿って舗装された道が通っているので車での移動も便利だ。外周道路は10分くらいで一周できてしまうのだが、その間本当に何もない。びっくりするほど、道しかない。

ひっそりとした石段を上ると。
森の深くへと続く道が。
ヤドカリも本島のより神聖な感じがしました。

道の脇に目を凝らして運転していると小さな石段を見つけた。上ってみると道は森の奥へと続いており、その先に拝所があった。こういうところはうかつに写真とか撮ってはいけない、と僕は沖縄に来てから学んだので(地元の人に注意されたり正体不明の熱が出たりするんだよ、まじで)今回はお供え物を食べるオカヤドカリの写真だけ撮って、それから拝所に手を合わせて帰ってきた。

ところでこの古宇利島という名前は「恋の島」が変化して出来た名前らしく、縁結びの神や子宝の神がいるのだという。僕の友達がお願いしに行ったらとたんに彼氏ができたことでも有名。

延々とサトウキビ畑が続く。

何度も言うが島には本当に何もない。見渡す限りサトウキビ畑か海だ。この島に来るのならば何かを見に来るのではなく、何もない島を体感しに来るべきなのだ。信号もなければコンビニもない。島の中心部に集落はあるのだけれど、観光客がむやみに車で入ってはいけない(島の暮らしを乱すことになるので)。

道標をたよりに横道へそれると。
道幅が車幅よりも狭くなる。
絶対すれ違えない。

外周道路には道標があり、それに沿って本道から海に向かう小道に入ることが出来る。やばいやばいと思いながらもでこぼこ道を進むと、前から最も恐れていた対向車が来た。到底すれ違うことは出来ない。じゃんけんでもしたいところだ。

苦労して下りていっても、やはり何もないです。
道、畑、そして空。

 

チブヌ浜発見

物産品売り場のおばちゃんに聞いたとおり、チブヌ浜は「あっち」の方にあった。そのくらい抽象的な説明でも間違えないくらいに他には何もないのだ。そしてここが伝説の人類発祥の地なのだという。

 

以下島に伝わる伝説より

かつてここに住んでいた男女は神様から餅をもらって生きていた。しかし餅をたくわえることを覚えた二人に神様は餅を与えるのをやめる。すると困った二人は海に出て貝や魚を捕り、生きるために働くことを覚えた。ある日二人はジュゴンの交尾を目撃する。子供を作ることを覚えた二人は裸でいることが恥ずかしくなり、葉っぱを身にまとった。

この二人の子孫が我々人類なのだ。キーワードはジュゴン。昔からジュゴンが沖縄にとって、そして人類にとって象徴的な生き物だったということがわかるだろう。今沖縄ではジュゴンのいる海を埋め立てて新しい米軍基地が作られようとしている。


これが伝説の地チブヌ浜への入り口。とても控えめ。
階段を使って浜へと下りられる。
ジュゴンがいてもおかしくないきれいな浜でした。
男女はこの洞窟に住んでいたのかな。

「何もない」のある島

古宇利島には「何もない」がありました。人類発祥の地というのはもちろん伝説上の話なわけですが、島に一歩足を踏み入れると、人から「かみさま」と呼ばれているような「何か」が存在しているような気がしました。この先もずっとずっと、伝説の島はこのままの姿でいてもらいたいものです。

沖縄てんぷら好きから言わせると古宇利島のてんぷらは星三つというところでした(満点は五つ)。

 
 
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