●個性あふれるバナナたち
バナナというと、一般的には房で売られているものだが、中には一本ずつ個包装されている高級タイプもある。そうしたものの中に規格外のバナナはあるのではないだろうか。
先ほどと同じ店で見つけた「アンデスバナナ」は、一本150円の高級タイプ。価格を反映してかサイズも大きめだ。
個包装タイプの場合、それぞれの形を吟味して買えるところも今回の試みには便利だ。品定めしているうちに、気になる1本が見つかった。やけにまっすぐなのだ。
数ある中でも特徴的な形をしていたこの一本。普通のバナナと並べてみると、そのまっすぐさを改めて感じる。
全体を覆う皮の張り具合もすばらしい。ピーンとしていて、今にも中身が弾け飛び出しそうな感じすらする。うらやましいくらいに元気なバナナだ。
さあ、うまく入るのだろうか…。
入らない。どうやっても入らない。
さすがに9割のバナナに対応しているというバナナガードも、このバナナには対応できない。入りきらずににょっきりとはみ出したバナナが悲しい。
無理に入れ込もうとすると、大切なバナナが大変なことになってしまいそうだ。こうしたバナナは、携帯せずにその場で大事に食べる方がいいのだろう。
さて、さらなる規格外バナナを求めてやってきたのは、東京・日本橋の千疋屋総本店。高級フルーツを扱う代表的なお店と言えるだろう。
店内には一個26000円もするマンゴーなどもあって、かなりの高級度。バナナも房で売っているものはなく、個包装タイプのみを発見だ。一本210円の「甘熟バナナ」である。
写真にすると凄みが伝わらないように感じるのだが、このバナナ、とにかく太いのだ。
幅がある、と言えばよいだろうか。大体5cmほどある。その凄さは、指で大体5cmの幅を作ってみるとおわかりいただけると思う。そういうバナナなのだ。
入れてみたが、やっぱり無理。はじめからあきらめムードを感じてはいたが、明らかに規格外だ。
そこにあるのは、うまくバナナが入らない悲しみ。始めからバナナガードに入らないバナナを探しているのだから、入らないことに達成感を感じもするのだが、同時に、うまくバナナが入らないことに対する悲しみを完全に拭い去ることはできない。
太くて入らないバナナ。いろんな感情が去来する。
続いて試したのは、「アポ山スーパー700」という種類のバナナ。名前からしてただ者ではない、フィリピン産のバナナだ。
通信販売で購入したのだが、三本で2100円、一本あたり700円という超高級品。一般的なバナナでは一房買ってもそんなにしない。どうかしていると言ってもいい。
試しに近所のスーパーで一房100円で買ってきたバナナと並べてみると、その大きさが際立つ。この巨大バナナ、バナナガードは受け入れることができるのだろうか。
あきらめを感じつつ試してみたところ、意外にもジャストフィット。結構太いバナナなのだが、ゆっくりと丁寧に、しかし力強く入れ込むと、なんとか入ったのだ。
予想外の対応力。やはり外国で設計されたということもあって、かなりの大きさも想定しているのだろう。
いろいろなバナナを見たり食べたりしているうちに、なんだか元気が出てきた今回の試み。
世界にはいろいろなバナナがある。一旦は落ち込んだりもしたけれど、そういうことを知って、逆に最も身近なバナナも大切にしようという気持ちに気づかされた。
これからもそのバナナとの出会いを大切にして、大きさや形にこだわらず食べていきたいと思います。