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ひらめきの月曜日
 
秋葉原の自販機大調査
これは噂のらーめん缶の自動販売機


『おでん缶』と言えば秋葉原の名物として有名だ。今、そんなおでん缶に匹敵するぐらいの人気を誇っているのが『らーめん缶』。文字通り、ラーメンが缶詰になったもので、これまた、物珍しさも手伝って飛ぶように売れている。

ところで『おでん缶』も『らーめん缶』も、特に秋葉原限定で販売しているわけでもなく、全国各地で販売していたものが、なぜか秋葉原の、特に自販機コーナーで大きくクローズアップされ『アキバ新名物』として認知されたというケースだ。

今日は秋葉原の自販機をいろいろ調査することで、なぜ秋葉原には異色の自販機が多いのか。なぜ『○○缶ブーム』が起こりやすいのか。を僕なりに考察したいと思う。

一方、変な自販機を見ておきたい、というミーハーで純粋な気持ちもあるのだ。

(text by 梅田カズヒコ



秋葉原の駅前でパンの缶詰を発見
売っているパン缶は全部で6種類+おでん缶、やきとり缶

アキバの駅構内で早くも発見

ところで、秋葉原にはそもそも自販機が多い。駅構内も例外ではなく、ちょっとスペースに余裕のある場所には、隙間を埋めるように自販機が並んでいる。

そんな秋葉原の駅構内を歩いていると、いきなり変わった自販機があった。

その名も『パンの缶詰』。売り場にはブルーベリー味、チョコクリーム味など6種類のパン、そしてここが秋葉原であることを示すかのようにおでん缶とやきとり缶も同時に売られていた。

缶詰のパンと言えば過去にこの記事の中で食べたことがあるがこのパンは「サバイバルパン」といかにも仰々しい名前がつけられていたが、こちらはパッケージやネーミングもずいぶんポップなものになっている。「サバイバルパン」という名前では非常食としての需要だが、「パンの缶詰、ブルーベリー味」と書かれると買って食べてみようかという気分になってくる。これは間違いなく進化だろう。ブレイク間近なにおいがする。

場所は秋葉原駅総武線千葉方面行きホーム(6番線)、電車の先頭方向の端です。

発見後、人に話すと「あ、パンの缶詰の自販機知ってるよ」と言われた。どうやら一部ではすでに有名な自販機らしい。調べてみると秋葉原マップというサイトですでに取り上げておられました。

 

ちょっと作戦会議です

一口に秋葉原の自販機を調べる、と言っても、秋葉原の自販機をくまなくローラー作戦的に捜査していては何日かかるか分からない。すべての自販機が調査し終わったころには、最初に調べた自販機のラインナップが変わっているだろう。

しかし、ローラー作戦的に自販機を調査してみたいという気持ちもある。そこでだ。

まずは秋葉原を簡単にぐるっと回りながら、どのあたりに変わった自販機がおおいのかを調べる。

その後、任意の地区をローラー作戦で徹底調査

という流れにしたい。ところで、秋葉原という街は、総武線と山手線が垂直に交差するので、これを基準にするとX軸とY軸の座標軸のように4つの地区に分けることができる。図解するとこんな感じだ。

とりあえずはこのように秋葉原をA〜Dまでの大まかに4つの地区に分け、それぞれの自販機の傾向を見ていこうと思う。考察っぽくなってきているだろうか。そして、僕だけで突っ走っていないだろうか。このあともっとキャッチーな写真も出てくるからちょっとの間僕の趣味に付き合ってほしい。

 

まずは『A』地区(山手線より西、総武線より北)から

A地区は『おでん缶』とともに一躍全国区的に有名になった『チチブ電気』や、ドンキホーテなどがあり、秋葉原が最もアキバっぽい場所といえるかもしれない。最も変り種の自販機がありそうなスポットである。さっそくいろいろと見ていこう。

※登場する販売機の住所は青字で記載。基本的には自販機そのものに掲載されている地番による。自販機に住所が記載されていない場合は周囲の近くの住居表示を参考にしています。


160ml80円のミニ缶が売っている。 千代田区外神田1-5-8
写真左端。見えにくくて申し訳ないが『ペプシコーラ』という書体が入っている。あまり見かけないパッケージデザインのペプシ。あとで家に帰って調べたらこれでした。 千代田区外神田3-11-3

やはりおでん缶ブームの火付け役となった地区。ちょっと見ただけでも変わった自販機が多かった。

 

続いて『B』『D』地区(山手線より東)へ

Bエリアはヨドバシアキバがあったり、新しい駅前のロータリーがあったりと、かなり再開発が行われたスポットだ。

対するDエリアは秋葉原でも最も未開発のスポット。つくばエクスプレスの乗り場があり、槌音がそこらじゅうに響いているこれからの街である。 


D地区/サントリーのボトラー。ゴーゴーカレーという、一部で人気のあるカレー屋さんの近く。特に変わったところは見受けられない。 千代田区神田佐久間町1-19
B地区/KIRINのボトラー。これと言って変わったところはないなぁ。 千代田区神田佐久間町1-27

あたりまえのことだが、秋葉原だからと言って全部が個性豊かな自販機ではない。むしろそういった自販機が目立つだけで見逃しがちだが、大半は普通の自販機だ。B・Dエリアには特に変わった自販機は発見できなかった。B・Dエリアは秋葉原であって、“アキバ”ではない、ということだろうか。

 

最後に『C』エリア(山手線より西、総武線より南)へ

Cエリアは、ラジオ会館というアキバでもすごく古い建物があったり、Aエリアの賑わいが最近の文化を吸収したニュースクールだとすれば、オールドスクール的な町並みになっている。果たして自販機はどうか。


一段まるごとDr.ペッパー・マックスコーヒー、ジョージアエメラルドブレンド。思い切った配置。 千代田区外神田1-15
こちらはマンゴーのペットボトルの飲み物があったり、全品が100円と安値で売られているが、まだまだ普通の自販機の範疇か。 千代田区外神田1-2-9

Cエリアは、B・Dエリアよりじゃっかん個性豊かなボトラーが発見できた。写真左、木更津キャッツアイで知名度をあげたマックスコーヒーと、なぜかアキバでよく見かける飲料Dr.ペッパーが一段になっているあたり、かなりアキバ的なにおいのする自販機ではないだろうか。しかし、それでもAエリアに比べるとまだ普通の自販機が多いようだ。

番外として、エヴァンゲリオンの登場キャラクターの入ったUCC缶コーヒーが売っていました。観光客とか買っていくんだろうなぁ。

 

というわけで、Aエリアに戻ってローラー作戦を開始。

秋葉原を大きく4つに分けた場合、Aエリアの自販機が最もアキバっぽい、変わった自販機が多いことが分かった。

そこで、Aエリアの中でも特に不思議な自販機の多い外神田3丁目、130m×250m四方のすべての自販機を調査してみることにした。

 

自販機ローラー作戦。自販機を発見した場所をマークし、通し番号をつけ、どんな商品が売られていたかをメモにとる
けっこう根気のいる作業だと気づいたころには地図は自販機だらけになってきた。

いよいよ本気になってきました

調査地区の自販機の場所を、路地裏にあるものもすべて含めて白地図上にマークしていくことにした。これにより、秋葉原の自販機事情の実態を忠実に紙の上で再現できるかもしれない。

( ※今回使用した白地図は、秋葉迷図というサイトのものを利用しました。地図にいろいろ書き込みやすくておおいに助かりました。)

今回は自販機を1.特に変わったところは見受けられない自販機(=黒)、2.ちょっと変わった商品、アキバっぽい商品を販売する自販機(=青)、3.おでん缶、らーめん缶など飲料以外を販売する自販機(=赤)、3色にわけマーキングしていくことにした。

いったい僕はどこのリサーチ会社なのだろう? まあいい。何か分かるかもしれない。何が分かるか分からないから調べるのだ。登頂できない山だからこそ登頂したくなるものだ。

ある程度調べていくとこの地区の自販機にはいくつかの傾向があることに気づいた。以下に紹介したい。

 

アキバの自販機の傾向と対策1
ドクターペッパーが多い


写真上段左。コカコーラのペットボトル2本に対し、ドクターペッパーのペットボトルは3本。明らかに多い。 千代田区外神田3-15

上の写真は顕著な例。ペットボトルにしぼるとコカコーラよりドクターペッパーのほうが扱っている本数が多い。全国的な売れ行きから考えると明らかにドクターペッパーをプッシュしすぎだろう。

 

アキバの自販機の傾向と対策2
プリン、ゼリーなど食感を楽しむものが多い


住所省略

プリンシェイク、マンゴープリン、ふってふってゼリー、とろけるマンゴー。これらは液体とも固体とも呼べないようなゼリー状・プリン状のドリンクである。のどの渇きを満たすかどうかは分からないが、帰宅してから短文の日記ブログを更新するにはちょうど良いドキドキ感だろう。

プリン状、ゼリー状に代表されるように、アキバの自販機は、どうやらアトラクション性を持った、飲んでみないとどんな味か想像できな飲み物が多いようだ。これはこれで、一種の『浮かれ』構造ではないだろうか。せっかくアキバまで来たからちょっと変わったもん飲んでみようか、という消費者のニーズが表れた。

 

アキバの自販機の傾向と対策3
かつてのなつかしのボトルを再現した『復刻堂』が人気。


住所省略

写真左は復刻堂のコーヒー。右はソーダフロート、三ツ矢サイダーの復刻ボトル。このように、秋葉原の自販機には、なつかしの商品を復刻したものが多数販売されていた。『復刻』というキーワードもおそらくアキバに集う人々に受け入れられやすいキーワードなのではないだろうか。

 

アキバの自販機の傾向と対策4
らーめん缶は大人気。軒並み売りきれ!そしておでん缶はもはやブームではない。


千代田区外神田3-2-15

問い合わせが殺到しているのか自販機には『らーめん缶』売り切れの文字が。こうやって書いてあると、ああ、欲しかったなー、と思ってしまうから不思議だ。このように、ラーメン缶はどこに行っても軒並み売り切れていた。

対するおでん缶はというと…


千代田区外神田3-2-15

こちらは安定期に入ったようで売り切れることもなく、騒ぎになることもなく、確実に売れ続けているようだ。すごいのは、おじいちゃんが「あ、これこれ。ワシは秋葉原でこれを食べてみたかったんじゃ」と言っておでん缶を買っていた。この状況を見るに、おでん缶は一過性のブームを乗り切り、習慣に近づきつつあると思った。現在大人気のらーめん缶がここまでの商品になるかは疑問なところ。

調査終了間際、見えてきたアキバの自販機の実態とは?

マップに書き込んだおかげであることに気づいた。自販機の多い調査地点、外神田3丁目でもある一角だけ書ききれないほどに集中している箇所があるのだ。


手で持ちながら書き込んでいたので汚くて申し訳ない。マップ左下。このあたりは異常なほど自販機が多いことが伺える。

地図で示した異常に自販機が多い場所では、少しでもスペースが余っていれば隙間ぎりぎりに自販機が設置される。

お店の裏手。見たところ、かつては従業員の出入り口だったようなところが自販機スペースに変わっている。

このあたりの地区は

  • 人通りが多い
  • ドトールなどのコーヒーショップやコンビニが皆無
  • 路地裏で休憩している買い物客が多い
  • おでん缶、らーめん缶の自販機もこのあたりに集中している。

これらのことから、僕は以下の仮説を押したい。

 

アキバはなぜ変わった自販機が多いのか、僕なりの結論。

秋葉原の、特に外神田3丁目のあたりはお店が集中し、喫茶店やコンビニが出店する余地がなかった。このため、それを補うように自販機が増えることになった。自販機がたくさん増えれば、当然のように競争が激しくなる。この自販機間の競争の中で他の自販機と差異化を計ることになり、突然変異的に生まれたのがおでん缶の自販機だった。これがヒットし、らーめん缶、パン缶などさまざまな商品に波及していったのだ。

 

そういえば競争が激しいことを裏付けるようにアキバの自販機には、値段の安い100円の自販機や、それ以下の値段で販売する自販機が多い。秋葉原の自販機大調査、これにて一件落着とさせていただきたい。最後までお付き合いいただいてありがとうございました。

期待していてもあまり見せるな

自販機をただひたすら調べているときは、『あれ?これ、記事になるのかな?』という不安がよぎった。うまくまとまったかはともかく、僕としては最後の結論までたどり着くことができたのでよしとしたい。

今回の調査ポイント以外の地区にはコンビニやコーヒーショップが多数あり、あたりまえだがそういった場所にはそれほど自販機はなかった。自販機は景観の敵といわれていることが多いようだが、なくなってしまえばそれはそれで寂しいものだと思う。

そういえば再開発で新しいビルができたとき、必ずコンビニとコーヒーショップができますよね。

 
 
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