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ひらめきの月曜日
 
夏、ダムで癒される


本格的に暑くなってきましたがいかがお過ごしでしょうか。
夏は快適な北海道とはいえ、やはり暑い日はこたえるものです。

ああ、こんな暑い日に、癒されたい。

「癒し」=「マイナスイオン」=「水がいっぱいあるところ」=「ダム」

…という単純きわまりない連想ゲームの結果、ダムに行くことにしました。

実は私、ダムに行くのは初めてです。
この機会に、デイリーポータルZでもよく記事のネタにあがっているダムが、本当に楽しいかどうかも確かめてみたいと思います。

加藤 和美



ちょろりと見える白いものが定山渓ダム。

■さっそくダムへ

向かったのは札幌市南区にある定山渓(じょうざんけい)ダム。
小樽内(おたるない)川の上流にある。

札幌ではもっとも高いダムということと、ダム資料館や登山コースがあったりと、観光地としても楽しめるという話を聞き、行ってみることにした。

当日はすばらしい晴天で、まわりの緑もきれい。
格好のダム日和だ。

定山渓温泉をつっきって、車で山を登っていくと、木々のあいまに白いコンクリートの建造物が覗いた。

 

■本物は大迫力

ダムの手前の駐車場で車を停め、テクテク歩いて行くと少しずつダムの姿が見えてきた。

……デカッ!!

他に(直接)ダムを見たことがないので比べられないが、ビルなどの人が住む建物とはレベルの違う大きさ。
写真をバッシャバッシャと撮りまくりながら、
「あーあ、この迫力、写真じゃ伝わらないんだろうなあ〜」
とつぶやく。

そのくらい、実物はドドーンと立派なのだ。

こちらの定山渓ダム、タイプとしては「重力式コンクリートダム」だそうで、横にまっすぐ伸び、水がない側がゆるやかに広がっているのが特徴。


そびえる定山渓ダム。でかい!

真下から見上げたところ。右の三角形の物体を、我々は「ダムの鼻」と呼んでいた。

ダムの手前にある水路から放流中。虹が二重に!

ぐるりと丸い虹は初めて見た(放流の音が出ます)

■わーい、虹だ虹だ

定山渓ダムの手前あたりで、小規模の放流を行っているのを発見。
あたりには水しぶきが飛び、360度ぐるりと丸い虹が出ていた。

うおー、いきなり、マイナスイオン!
デジタルカメラが水しぶきで濡れて壊れやしまいかとハラハラしつつ、虹を撮影。

定山渓ダムの管理支所にうかがったところ、この放流は「維持放流」で、ダムの水位調整のための放流。
7月中はひんぱんに放流しているという。
水力発電で水を使う際には放流は止まっているそうだ。

また、現在のダムの水位は、例年よりやや少ないものの、特に水量に問題はないとのこと。
地域によっては水不足が心配される中、心強いお言葉である。

ついでに、ダムの正面の放流口から水が出る時があるのかと尋ねたら、洪水や大雨などかなりの水量にならないと、あの大きな放流口から放流することはないそうだ。

定山渓ダムのど真ん中からの放流を一度見てみたかったが、洪水や大雨は困るので、見る機会がないにこしたことはないようだ。

橋の上にも、二重の虹が。自分が動くと虹も動く。ふしぎ〜。
マイナスイオン200%!というかしぶきで濡れる。

 

ダムの中には、手前の入口から入れる。
展示されていたパネルより。ダムの厚みの中に入っていく感じ。

■ダムの中に入ってみよう

定山渓ダムは、ダムの中に入ることができる。
中に入ってみるとひやりと涼しい。
いや、寒い!
中の温度計を見ると8度だった。
外の気温は23度で、気温差15度。
それは寒いはずだ。

ダムの中にはダムについてのパネルが展示してあって、ダム初心者の私にはかなりありがたかった!

定山渓ダムは、高さは117.5メートル、横幅は410メートル。
主な目的は治水、上水道、水力発電。

豊平川は明治時代から洪水が多く、よく氾濫したらしい。
通り名は…「暴れ川」!?
今はおだやかな豊平川に、そんな過去があったとは。
(注:小樽内川は豊平川の支流)

ダムの中のパネルを見ながら、自分の知らなかったダム情報に「へえ〜」と声をあげる。

他にも、ダムができるまでや、ダムの専門用語など、ダム初心者にはうれしい情報が満載だった。

まっすぐ伸びる通路には、ダムについてのパネルが展示されていた。。
妙に寒いと思ったら、ダムの中は気温8度だった。

立ち入り禁止エリアを、金網越しに撮影。カッコイイ……むしろここから先に入りたい。

同じく立ち入り禁止エリア。
奥底から大量の水が流れる低い音や、水のしたたる音がが聞こえて雰囲気満点。

 

資料館の外にはダムで使われているパーツが展示されている。これは水が流れるパイプ。でかい!
すごく具体的な目撃証言におののく。
登山道をゆく人はみんな本格装備だ(熊よけ鈴装備)。

■見るものもあるよ

定山渓ダムには資料館もある。入場無料。

定山渓ダムができるまでや、ダムがどのように生活の役に立っているかなど、定山渓ダムにまつわる展示がある。
特に2階は自分が操作できる展示が多く、子供に混じって私も楽しく展示物を見せてもらった。

また定山渓ダムの周辺では、散歩に来た家族連れや、山歩きを楽しむ人などがチラホラと見かけられて、ちょっとした憩いの場のようだ。

さて、資料館も見終わったし、いよいよダムの上へ。
資料館の脇にある階段を登っていくと、定山渓ダムの上に出るのだそうだ。

札幌で一番高いダムだ。
やはりここは登っておくべきだろう。
ダム湖のさっぽろ湖も見たいし…。

そう思って資料館の脇に回ると、いくつか看板が立っているのが見えた。

「熊出没注意」

この看板にはマジック書きで以下のようなことが書き添えられていた。

「ここから30分程度登った地点で熊の糞を発見」

なんて具体的な熊出没情報。

どうりでさきほどからすれ違う山歩きの人たちが、みんな鈴をチリンチリン言わせていたはずだ。

熊が出るなら、登れまい…。
そんな風に悩んでいると、同行者に呼ばれた。

私が行こうとしていたのは小天狗岳の登山道で、ダムの上に出るのは隣の階段状のコースだったのだ。

よかった、熊出なくて…。
安堵しつつ、ダムの上を目指した。

ダムの上に登るのはこちらだった。コースのほとんどが階段だ。
熊はいないが、蜂には注意。あとテロにも。油断ならない。
きれいな緑に囲まれて、さわやかなコースだと最初は喜んでいたが。

■ダムの上を目指す

ダムの上に行くには、長い階段を登らなければならない。
事前に定山渓ダムについて調べていたところ、ホームページには
「相当の高低差があるので体力が必要です」
と、わざわざ明記されていた。

また、デイリーポータルZでダムといえばライター萩原さんだが、萩原さんからいただいたコメントが
「堤頂部まで昇れる遊歩道階段は、たぶん相当キツいと思うのでがんばってください」
…で、ある。
萩原さんは定山渓ダムに来たことがあるのだが、11月だったため上に登ることができなかったそうだ。
北海道の野外施設は、問答無用で11〜5月の半年間、閉まっていることが多い。
やはり北海道のダムは夏楽しむものなのだ。

なんだか大変そうだなあと思いつつ、いざ登ろうとしたらスタート地点の看板にまで
「登山道の大部分が階段で、勾配もきついのでかなりハード。(中略)登山途中や山頂附近の崖際のブッシュは危険なので足を踏み入れないこと」
と書いてある。

ついでに言うとこの日の私の体調はヘロヘロだった。
登り始める前から不安でいっぱいだが、数年前来たことがあるという同行者は「平気平気」と、全然意に介していない。
とりあえず登り始めることにした。

コースは全部が階段。
約10分ほどで、ダムの上に出ることができた。

サラッと書いたが、10分間階段を登り続けるというのは日常生活ではなかなかない。
「登れないことはないが、決して楽ではない」くらいの大変さだった。
あくまでも私の体感なのだが、10階分の階段を登った感じだろうか。

健康な成人であれば問題なく登れると思うが、小さな子供やお年寄りには厳しいと思われる。
帰りも同じ階段を下りなければいけないのも考えれば、それも考慮して「ダムの上へ登るのはハードです!」と警告しているのだろう。
ミュールをはいていた女性は、看板を見て登るのをやめていた。


長い階段を登りきると…。

定山渓のダム湖、通称さっぽろ湖。湖面が美しい。

定山渓ダムを見下ろしたところ。左側に、さきほどの放流が見える。

 

写真では、この高さがいまいち伝わらないんだー!

■登頂しました

ヨロヨロと登りながらも、ダム湖が見えると元気復活!
ダム側を見下ろすと、さきほど歩いてきた放流口や、公園、ダムの入口などが見下ろせた。

また、遠くには定山渓温泉の町並みが見える。

なんせ高さ117.5メートル。
20階建てのビルより高いところから、無造作に下を覗きこめるので大迫力。

なお、スピーカーからダムについてのアナウンスが流れていたのだが、以前記事で紹介した野幌の百年記念塔より1.2倍高いそうだ。
比較対象がマニアックな気もするが、とにかく定山渓ダムが高いということはよくわかった。

江別市野幌(のっぽろ)にある百年記念塔。定山渓ダムはこの塔より1.2倍高いそうだ。
ダムの目の前の水道で手を洗う。なんだか「直結!」って感じでうれしくなる。

こちら豊平峡ダム。ダムはもちろんだが、周囲の山々もまた美しい。

なぜかダム湖の小島に1本だけ木が立ってるのが気になる。

■結局ダムをめぐる

定山渓ダムの迫力に圧倒されたり、マイナスイオンを浴びまくったり、虹を見たりと、ダムの楽しさに触れた我々は、勢いにのって近くにある豊平峡(ほうへいきょう)ダムに足を伸ばすことにした。
ダムのはしごである。
そういえば、ダムをめぐるいう記事があった。
ダムはめぐってしまうものなのかもしれない。

豊平峡ダムは自家用車では行けないので、途中から電気バス(有料)に乗って向かう。

豊平峡ダムも、定山渓ダムと同じく定山渓にあり、ダム湖の名称は定山湖。
定山渓ダムのダム湖がさっぽろ湖。
豊平峡ダムのダム湖が定山湖。
ややこしい。

こちらはカーブを描いた「アーチ式コンクリートダム」で高さは102.5メートル。
さきほどの定山渓ダムより、高さ自体は15メートルほど低いが、こちらは峡谷になっているため、定山渓ダムより高く感じる。
紅葉の名所と言われていて、周囲の風景も美しく、観光地としても有名。

豊平峡ダムに着き、まずは展望台に登る。
定山渓ダムの長い階段を下りてきたところなので、ヒザがカクカク笑っていたががんばって登る。

展望台からダムを望むと……あれ、放流してる!?
放流の様子を近くで見たいので、せっかく登ったのに大急ぎで下りる。

弧を描くアーチ型。手前の鉄筋は架橋のための工事中。
あっ、放流中じゃないか!大慌てでダムへ向かう。

ただいま放流中。しぶきが飛んできて迫力あり。

ふと振り返ると、ダム湖は極めて静か。そんなギャップもいい。

動画でどうぞ(轟音つき)

こちらも二重の虹が出ていた。

■放流かっこいい

ダムに向かうと、真ん中あたりから放流中だった。
響く轟音に、上までしぶきが飛んできてなかなかの迫力。

さきほどの定山渓ダムは、脇にある小さな放流口からの放流だったが、それより水量が多い。

豊平峡ダムの管理支所にうかがったところ、豊平峡ダムの放流は「観光放流」で、5〜10月はほとんど連日放流をしているという。
なるほど、確かに豊平峡自体が観光地で観光客も多いのだが、放流しているとダムの魅力180%アップである(注:あくまでも私個人の感覚で)。

もちろん豊平峡ダムにも治水、上水道、水力発電といった働きがある。
今の水量は例年通りで、水不足の心配はありませんとのこと。

豊平峡ダムから下を覗くと、深い緑の峡谷が広がる。
放流の轟音が響き、水しぶきが白くけむる中、大きな虹が二重にかかっているのが美しい。
反対のダム湖の方を見ると、周りの緑も青い湖面も静かだ。

ダムを挟んで、静と動、両方の風景を楽しめるのが面白い。

 

■いいですよ、夏ダム

今回初めてダムに行ったのですが、ダムは確かに面白い。
ダムという人がつくった巨大な建造物を見に行く魅力はもちろん、山の中にあるので山歩き的な楽しさもあり。
晴天だったのもあって、周囲の景色やダム湖、そして放流の虹にじゅうぶん癒されました。

ちなみに今回紹介したいずれのダムも、冬季は入れないので時期には注意してください。
ちなみに冬季というのは、施設にもよりますが、北海道では11〜5月をさすことが多いです。
実際の気候に関わらず、1年の半分は冬扱いです。

北海道の夏は短い。
そんな短い夏をダムで満喫できました。
ありがとう、夏ダム。

最初はダムの上から覗くだけでも腰が引けていたのが、


しまいには夢中でダム撮影しまくり!
この後同行者に危ないと怒られました。皆さんも注意しましょう。


 
 
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