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土曜ワイド工場
 
自転車のサドルの熱でコーヒーを沸かす

風で冷やされているのではないか

サドルは熱くなってるのにコーヒーは冷めてしまった。その原因はおそらく風にあると思う。

この日は日差しこそ強いが、時折やや涼しい風が吹いてくる。その風がコーヒーの熱を奪っているのではないか。

しかしそんな事態は最初から予想していたので、ちゃんと風対策グッズを持ってきていたのだ。


塩化ビニール半球ドーム〜。
ポットに被せて風を防ぐ。

これでポットに風が当たらなくなったので、風の問題はなくなった。そしてまた待つ。


牧歌的って言っていいんですかね。

およそ30分後・・・。


見た目に変化はないが温度はどうか。
36.7℃だった。0.5℃アップ。

成功といっていいのか。とりあえず温度は上がったが、 30分でわずか0.5℃上がっただけ。このペースでいくと 60℃になるにはあと24時間かかる計算だ。

それはつまり一日に24時間太陽が出っ放しでなければいけないわけで、地球がどうにかなっちゃわないと不可能だ。この方法は失敗に終わった。

 

太陽光をたくさん集めて沸かす

風を防いでもダメだった。いよいよ万策尽きたか。

絶望感からか、策は一つしか尽くしてないのにそんなことを言ってしまいそうになるが、ここはいったん基本に戻ろう。

自転車のサドルが熱くなるのは太陽光を浴びて発熱するわけだから、つまりはその太陽の光をたくさんサドルに集めれば、普段の数倍熱くなってコーヒーを沸かせるのではないか。

そして実はそれを実現する道具も持ってきていました。


これが太陽の光を集める装置。手作り感満載。
手を入れるとかなりの熱さを感じる。

この物体はソーラークッカーといって、太陽光の熱エネルギーを中心に集めて調理するための装置である。真ん中を空けているのはサドルを露出させてポットを置くためで、画用紙とガムテープとアルミ紙で作った。


ベタベタと自転車に取り付けて。
ポットを光のステージへ。

こうなるともはや「サドルの熱でコーヒーを沸かす」ではなくて「サドルの上でコーヒーを沸かす」だが、もうそんなことを気にしている場合ではない。


ソーラクッカー自転車の全体図。
あとは太陽任せ。

そして待つ。


主に自転車の周りを徘徊しながら待つ。

そして30分後、驚愕の結果が。


ここら辺とかものすごく熱い!

少しは熱くなったかと思い、ポットを持ち上げようとしたら驚いた。とてつもなく熱い。熱すぎて持てないぐらい熱い。


持ってきたのが空しくなってた軍手が役立った。
写真ではちっとも分かりませんが、湯気が出てます。
これはかなり熱いんじゃないだろうか。
68.3℃!約70℃近くも熱くなった。

すごい。自転車のサドルでコーヒーが沸かせた。それも70℃近い高温。サドルはもうお尻焼き機どころか湯沸かし器である。


それでは颯爽と飲みましょう。
颯爽と飲んでいます。

前日から入れていたコーヒーなので味はなんだかすっぱいが、温度だけをいえば出来立てのもの以上である。紛れもなく自転車のサドルでコーヒーが沸かせられたのだ。

工夫すれば自転車のサドルの上でコーヒーは沸かせる

ある程度の工夫は必要であるが、サドルの上でコーヒーを沸かすことは出来た。それにあのソーラクッカーを使えば、コーヒーに限らず、おにぎりでもなんでも焼いてしまうことが出来るだろう。

そうなるとサドルはもはやただのサドルではなくなる。調理器具としてキッチンに広がり、お母さんがサドルの上でギョーザを焼く姿というのが一般的になっていくのかもしれない。

世界初のコーヒーが沸かせる自転車とその発明者。

 
 
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