ヌタウナギの仕掛けを上げる
鮫の漁場から少し場所を移動して、今度はヌタウナギの仕掛けを上げていく。
ヌタウナギの仕掛けは、筒の両端が中に入れるけれど出られないような仕組みになっていて、それにエサの魚が入っている。
この仕掛けは、川のウナギを捕るのと基本的には同じだ。
回収した仕掛けの中身をざざっとザルにあける。
ヌタウナギ登場
ザルの中を見てクラクラした。
ヌタウナギ、遠くから見ている限りはウナギのように見えるのだけれど、ちょっと近づいてみるとウナギとまるっきり違う。
ヌタウナギというだけあって、表面からヌタと呼ばれるネバネバの液を出して、普通のウナギの比じゃないくらいにヌタヌタとしている。
実在の生き物というよりも、ハリウッドのSFXっぽい造形だ。
ヌタウナギは食用!
このヌタウナギ、韓国人の大好物で、生きたまま韓国に運ばれ、現地で食べられているのだという。食えるのかコレ。
さらにこのヌタウナギの皮で財布なんかも作られているという。
そしてこのヌタウナギのヌタ、人間のお肌にいいという話もあり、実際長谷川さんの手は、ヌタウナギのヌタと深海鮫のスクワランの効果で、漁師の手とは思えないほどツルピカだ。
すごいぞ、ヌタウナギ。
きっと来年くらいには、美容のための「ヌタウナギ風呂」とかが流行ること間違いなし。
その頃、カモメにエサを与えている二人。
憧れのオオグソクムシ!
インパクトのありすぎるヌタウナギに気をとられていたのだが、よく見たらカゴの中にヌタウナギに混ざって、憧れのオオグソクムシが入っているではないか。
博物館でしか見たことの無かったあのオオグソクムシが、今この手の中に!
この喜びを動画でどうぞ。
その頃、またダウンしていた土屋さんの足の上に、息子からのサービスでオオグソクムシが乗せられていた。
下船して鮫の肝臓を取り出す
いろいろなことがありすぎてとても長く感じたけれど、実際はたった4時間の航海を終えて無事帰航。
すぐに大学の研究チームによる深海鮫の調査、並びにアイザメの貴重な肝臓の梱包がおこなわれた。
アイザメは体の25%が肝臓で、さらにその80%がスクワランと呼ばれる油。
この鮫から採れた肝油は、ここ20年ほどは健康食品や化粧品、薬などとして使われているが、太平洋戦争中は戦闘機の潤滑油や、風船爆弾のタイマーの不凍液として使われていたそうだ。
鮫に歴史あり。
なんだかすごかった
今回お世話になった長谷川さん親子は、戦前から続く生粋の深海鮫漁師で、この港で深海鮫を捕っているのはこの親子だけだそうです。
漁師の仕事場である漁船の上では、私達は邪魔者でしかないのに、丁寧に迎え入れていただいたおかげで、とても貴重な体験をすることができました。
冬になると素晴らしく美味しいカニが捕れるということなので、またこようと思います。深海鮫もいいですが、やっぱり食べられるものも捕りたいなと思いました。
長谷川さんのブログ:宝は駿河湾深海にあり! 撮影協力:坂 祐次