デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


ひらめきの月曜日
 
深海鮫漁とオオグソクムシ

ヌタウナギの仕掛けを上げる

鮫の漁場から少し場所を移動して、今度はヌタウナギの仕掛けを上げていく。

ヌタウナギの仕掛けは、筒の両端が中に入れるけれど出られないような仕組みになっていて、それにエサの魚が入っている。

この仕掛けは、川のウナギを捕るのと基本的には同じだ。


一本のロープに結ばれているヌタウナギの仕掛けを回収していく。

回収した仕掛けの中身をざざっとザルにあける。


なにが入っているかな。

 

ヌタウナギ登場

ザルの中を見てクラクラした。

ヌタウナギ、遠くから見ている限りはウナギのように見えるのだけれど、ちょっと近づいてみるとウナギとまるっきり違う。


ヌタウナギ。なんだかすごい。

ヌタウナギというだけあって、表面からヌタと呼ばれるネバネバの液を出して、普通のウナギの比じゃないくらいにヌタヌタとしている。

実在の生き物というよりも、ハリウッドのSFXっぽい造形だ。


目は退化して無い。 右側の六対の穴がエラ。左側の白い点がヌタ成分。

 

ヌタウナギは食用!

このヌタウナギ、韓国人の大好物で、生きたまま韓国に運ばれ、現地で食べられているのだという。食えるのかコレ。

さらにこのヌタウナギの皮で財布なんかも作られているという。

そしてこのヌタウナギのヌタ、人間のお肌にいいという話もあり、実際長谷川さんの手は、ヌタウナギのヌタと深海鮫のスクワランの効果で、漁師の手とは思えないほどツルピカだ。

すごいぞ、ヌタウナギ。

きっと来年くらいには、美容のための「ヌタウナギ風呂」とかが流行ること間違いなし。


毎日海でハードな水仕事をしているのにこのソフトな手。

その頃、カモメにエサを与えている二人。


なにをしているんですか。

 

憧れのオオグソクムシ!

インパクトのありすぎるヌタウナギに気をとられていたのだが、よく見たらカゴの中にヌタウナギに混ざって、憧れのオオグソクムシが入っているではないか。


オオグソクムシ、ゲット!

博物館でしか見たことの無かったあのオオグソクムシが、今この手の中に!

この喜びを動画でどうぞ。


口の動きがかっこいいぜ。

深海育ちなので、陸上では動きが鈍いみたい。 ダンゴムシの親分みたいな背中。

ティアドロップ型サングラスをかけたような男前のマスク。 プニプニとした張りのあるお腹。

ダンゴムシみたいだけれど、丸まるわけではなかった。 小学生の頃、初めてカブトムシを捕まえたような純真無垢な喜び。

その頃、またダウンしていた土屋さんの足の上に、息子からのサービスでオオグソクムシが乗せられていた。


普通、起きてこんな状態になっていたら気を失うと思う。

 

下船して鮫の肝臓を取り出す

いろいろなことがありすぎてとても長く感じたけれど、実際はたった4時間の航海を終えて無事帰航。

すぐに大学の研究チームによる深海鮫の調査、並びにアイザメの貴重な肝臓の梱包がおこなわれた。


大学チームに調査される深海鮫。 内臓はほとんどが肝臓。

船から下りて、ようやく鮫をさわれて嬉しい人。 なんじゃこりゃー。

アイザメは体の25%が肝臓で、さらにその80%がスクワランと呼ばれる油。

この鮫から採れた肝油は、ここ20年ほどは健康食品や化粧品、薬などとして使われているが、太平洋戦争中は戦闘機の潤滑油や、風船爆弾のタイマーの不凍液として使われていたそうだ。

鮫に歴史あり。

なんだかすごかった

今回お世話になった長谷川さん親子は、戦前から続く生粋の深海鮫漁師で、この港で深海鮫を捕っているのはこの親子だけだそうです。

漁師の仕事場である漁船の上では、私達は邪魔者でしかないのに、丁寧に迎え入れていただいたおかげで、とても貴重な体験をすることができました。

冬になると素晴らしく美味しいカニが捕れるということなので、またこようと思います。深海鮫もいいですが、やっぱり食べられるものも捕りたいなと思いました。

サバ天丼と桜エビのかき揚げを食べて帰りました。これはモザイクがいらない。

長谷川さんのブログ:宝は駿河湾深海にあり!
撮影協力:坂 祐次


< もどる ▽この記事のトップへ  

 
 
関連記事
衝撃の姿・ウミヘビの仲間の子供
有明海のエイリアン「ワラスボ」を食べる
全長100メートルの深海魚

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.