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ひらめきの月曜日
 
エレベーターは「のぼり」より「くだり」のほうがちょっと早い!?
エレベーター界騒然の事実が今明らかに


唐突ですが、ここで問題です。

エレベーターの「のぼり」と「くだり」、どっちが早い?

おそらく皆「同じ」だと答えるだろう。僕らの共通認識として、エレベーターにはのぼりもくだりもない。どちらも同じスピードで動くものである。

しかし、しかしである。ひょっとするとこの答えは誤りかもしれない。だって、ストップウォッチを持って計ったわけではないだろう。常識だと思っていたことが覆されるなんてよくあることだ。

だから、計ってきた。そして、今、長年の常識を覆す結果が明らかに!?

(text by 梅田カズヒコ



この建物は11階建て。ということは1階から11階までを往復し、それぞれの時間を計ればよいわけだ。

簡単なことだ、いつものエレベーターで計ればいいのだ

エレベーターはどこにでもある。日本で最も多くの人々に利用されている乗り物は、車でも電車でもなくエレベーターではないだろうか? もはやエレベーターは乗り物であることさえも忘れられるほど生活に密着しているが、れっきとした乗り物である。

さて、普段利用しているとあるマンション(11階建て)のエレベーターで実験してみることにした。

実験は簡単。1階から11階までのぼり、今度は11階から1階までくだる。それぞれの時間をストップウォッチで測定。誤差を減らすために、あらかじめ階数ボタンを押して、ドアが閉じきる瞬間から、ドアが開き始める時間までを計ることにした。全体で1分かからない実験だった。結果は動画で残しておいた。

さて、この結果を皆様はどう読むだろうか?

 

ドキドキの調査結果はこちら


なんとノンストップでの動画撮影に成功した。2つの映像を見比べていただきたい。

タイミングが狂っちゃいけない、とドキドキしながらストップウォッチと動画機能付きのカメラを握り締めていた。エレベーターに乗るためにかつてこんなに緊張感を味わったことがあるだろうか。そしてこのハラハラドキドキ感は読者にも伝わっているだろうか? 結果はのぼり1階→11階(32秒81)、くだり11階→1階(32秒44)である。


32秒81と32秒44。微妙!! 判断に困る結果だ。

と言うわけでのぼりとくだりでは11階建てのビルのエレベーターで0秒37の違いがあるようでした。ありがとうございました。皆様も試してみては? <完>

……では終われない結果だ。0秒37というと1秒の約1/3である。はっきり言って誤差で片付けられてしまうぐらいの時間だ。僕のストップウォッチを押すタイミングの問題なのかもしれない。それは大いにありえる。

よって、今回の実験で得られた結果は、

のぼりとくだりの速度はほぼ同じ、しかしのぼりよりくだりのほうが僅かに早いのかもしれない

ということだ。つまり、何一つ疑問は解決していない。何も言っていない。ちょっと改めて今回の調査の問題点を挙げてみよう


この調査の問題点

1.ストップウォッチを押すタイミングの正確さに疑問が残る
2.僅差の場合、どちらが早いのか判別しかねる。
3.たまたま今回だけがこういう結果なのでは?


この3つが、判断しかねるポイントであろうか。『3』については、同じエレベーターで何度か調査したが、32秒までは変わらないのだが、その後の数字は何度も変化した。つまり、ストップウォッチを押す僕の問題で1秒以内の差が計れないか、エレベーターが毎回ほんのちょっとだけ速度が変わるかどちらかである。

つまりだ、正直差が僅か過ぎて計測できない、ということである。

そこで、11階建てといわずもっと階数の高いビルのエレベーターで試すのはどうであろう? のぼりとくだりで差があった場合、その差が歴然とするはずである。しかしその場合、各階の人々に『ちょっと実験中だからエレベーターを止めないで』と言わねばならず、それは不可能に近い。

そこで、階数は高いが途中階で止める人が存在しないエレベーターに乗るために、新宿に向かった。


石原さーん、ちょっとお邪魔しまーす。

 

都庁の展望台行きエレベーター。重厚な雰囲気。45階までノンストップだ。
ボタンも4つしかありません。(しかも、途中の2階・44階で止まることはめったにありません)

都庁の展望台直通エレベーターで再度実験

先ほどの建物は11階だったから、45階の展望台は単純計算で4倍長い。仮に先ほどの計測結果が正確だとすると、0秒37×約4=2秒28ほどくだりのほうが早い計算になる。

ちなみに、この実験を始める前に、都庁の窓口に『都庁のエレベーターはのぼりとくだりで少し時間が違いますか?』と聞いたところ『違うわけないでしょう』となかば怒られるように言われてしまった。

もし、この結果違いが生まれれば世紀の大発見となるかもしれない。

ストップウォッチを持つ手が少し力が入っている。他の観光客とともに展望台行きエレベーターに乗りこむ。他の乗客の目的は都庁の展望台からの絶景であるが、僕1人だけは目的が違う。僕の目的はエレベーターだ。展望台に付く前に完結する。

都庁の展望台のエレベーターに乗り込むには軽い荷物チェックをクリアする必要がある。僕はストップウォッチとカメラを片手に荷物チェックを受けたが、特に問題はなかった。

エレベーター業界激震! ビル業界震撼の結果は次ページで…


 

 
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