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ちしきの金曜日
 
牛にバナナの皮をやる

バーナナ好き好きー

「牛はバナナの皮が好物なんだ」

以前、そんな話をどこかで聞いた。 その時は「へー、そう」というぐらいにしか思っていなかったのだが、 最近ふとそのことを思い出し、それがなんだか妙に気になりだしてしまった。

のっそり動き、草をハムハムやるぐらいしかイメージのない牛たち。 本当にバナナの皮など食べるのか?

その頭のモヤモヤを晴らすため、牛にバナナの皮を食べさせてみることにした。 日本だと怒られそうなので、スリランカで。

木村 岳人



スリランカの牛たち

スリランカには結構牛が多い。 スリランカのお隣のインドほどではないが (インドは牛を聖なる動物とあがめるヒンドゥー教徒が多いため、 ノラ牛が町を闊歩するほどうじゃうじゃ牛がいる)、 スリランカにもそれなりに牛がいる。

スリランカの場合そのほとんどが飼牛のようだが、たまにノラ牛もいるようだ。


モー大変よ

 

スリランカのバナナたち

バナナは町の果物屋で調達してきた。 スリランカの果物屋は量り売りが基本。 バナナは1kgで50ルピー(約55円)程度であった。 私はその半分の500g、小ぶりなバナナ7、8本分を購入した。


小ぶりなスリランカのバナナ うん、うまい。味は日本のものと変わらない

なお、日本で売っているバナナは、輸入の際の長時間輸送のため、 皮の表面に防カビ剤などの薬品を塗布しているらしい。

しかし、スリランカは朝採った果物がその日の店頭に並ぶようなところなので、 そういったものは使われてはないだろう。 牛に食わせても健康に問題はないはずだ。……たぶん。


牛と遺跡とバナナと私

やってきたのはスリランカ中部北よりのアヌラーダプラという町。 ここは紀元前4世紀より1400年もの間、スリランカ最古の王国があった場所であり、 現在も数多くの遺跡が残されている。

そこに建つダーガバ(仏塔)や寺院は、 今もなおスリランカの人々の信仰の対象になっている聖なる地だ。


巨大なダーガバ(仏塔)がボコボコあったり このような寺院があったりする

さて、肝心の牛であるが、それは簡単に見つけることができた。

広大な土地に広がるアヌラーダプラの遺跡地区は、 そのほとんどが草地やジャングルとなっている。 そこは牛にとって居心地の良い恰好の放牧場となっており、 あちらこちらで牛がのんびり草を食んでいる姿を見ることができるのだ。

私はおとなしそうな牛に狙いを定め、接触を試みた。


なんか妙にやせこけた小柄な牛くん

その牛は飼い牛のようで、首には紐が繋がっていた。

周囲を見回してみると、少し離れた場所からこちらの様子を遠巻きに見ている家族がいる。 どうやらその人たちが、この牛の飼い主であるようだ。

突如怪しげな日本人がどこからともなくやってきて、 自分たちの牛に近づいている。確かにそれは警戒に値する出来事であろう。 私はとりあえず、その家族に対しジェスチャーで会話を試みた。

「こいつにバナナの皮食わせてやりたいんですが
かまいませんね!!」

その返事は……


「いいよ!(即答)」

軽っ!軽いよ、おばちゃん!

その妙に軽いノリに、逆にこちらが戸惑ってしまう。 だが、まぁ、とりあえず許可はいただいた。 これで気兼ねなく牛にバナナの皮を食わせることができるってモンだ。


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