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ちしきの金曜日
 
銀幕主演デビューしました

あの迷作が、なんと映画館で!

人生はどう転がるか分からないものです。

普段は地味にサラリーマンをしている僕ですが、ちょっとダムが好きで写真撮ったりホームページ作ったりしていたら、とある会社から「DVDを作りませんか」というお話をいただきました。面白そうなのでもちろん一発快諾。試行錯誤の末にでき上がった作品は賛否両論でしたが、発売から1年が経過して、さらに驚くべき事態に発展しました。

なんと、この作品を上映してくれるという映画館があらわれたのです!
最初から最後まで、ほとんど僕とダムしか登場しないので、僕が主演と言っても過言ではないでしょう。

つまり、いきなり銀幕主演デビューすることになったわけです。

萩原 雅紀



事の発端

僕が監修、出演したDVD「ザ・ダム」の内容を簡単に説明すると、僕と監督兼カメラマンの人と2人で、関東地方の水がめと言われる利根川上流のダムをまわるという、ロードムービーのようなドキュメンタリーのような作品です。ちなみにアマゾンでの評価は星ひとつ。感想は散々な書かれようです。

今回、そんな「ザ・ダム」を上映してくれたのは中野区にある「ポレポレ東中野」という単館系映画館。「水になった村」という映画の公開記念として、ここで1週間「ダム映画特集」が催されることになり、なぜか「ザ・ダム」も選ばれてしまったというわけです。

そのほかの上映作品は、ダムと言えば最初に連想される織田裕二さん主演のホワイトアウト、ダムが破壊される「ウルトラQ」や「モスラ」などの特撮系、海外のパニックムービー、貴重な建設記録映画、そして「水になった村」をはじめとする、立ち退き住民目線でダム建設を捉えたものなど様々。

ダムを扱うと必ず聞かれる「賛成か反対か」というスタンスはなく、とりあえずダムが出てくるものを片っ端から集めました、という印象。永年ダムばかり見てきた身としては、ある意味新鮮な体験です。
でもそんなことより何より、僕としては主演として織田裕二さんの作品と同じ企画の上に並んでいることに興奮しました。

まあ織田さんのもいい作品だよネー(←有頂天)。


ダム映画特集を組んだ酔狂な映画館、ポレポレ東中野 ポスターでも力強くアピール


僕はDVDの中で「カッコいいですね」「最高ですね」などと連発しているので、ダム反対寄りの映画を観に来た人々からすれば最低の人間として映ったことでしょう。
そんな超アウェーの雰囲気の中、何とある日の上映時には舞台挨拶に出てほしい、とのこと。そんなの甲子園のライトスタンドに巨人のユニフォームで突入するようなものです!「勘弁してください」と最初はお断りしたのですがどうしても、と言われ、映画館のスクリーンに自分が映るだけでも普通じゃないのに、ましてその前で舞台挨拶なんて貴重な経験、できるなら人生で一度くらいやってもいいんじゃないか、DPZのネタになるかも知れないし、ということで引き受けることにしました。

やべえ。超ドキドキしてきたー!


そして当日

舞台挨拶は上映前にしてもらった(上映後に出て行く勇気はありませんでした)ので、その1時間ほど前に映画館に到着。単館系の映画館なんて初めて来ましたが、想像以上にオシャレな雰囲気ですっかり弱腰になりました。映画館の担当の方とDVD監督の石川さんと3人で軽く打ち合わせをするものの、「どうやって言い訳しようか」「何と言って謝ろうか」という内容に終始。僕も石川さんも勝手に孤立無援な状態に自分を追い込んでいました。


ダム特集、本当にやってるよ! こんな予告が貼られていて本気でびびる

館内は広くはないものの、やはり内装や照明、チラシの配置など、どこを見てもオシャレな風が吹いてきて、こんなところに来る客に僕のトークなど聞かせて大丈夫なのか、ダムなんて本当はダサいんじゃないか、みんなでそんなダサい僕を笑いにきたんじゃないかなどと、気がつくと自分で自分を打ちのめしていました。

でも目をこすって辺りをよく見回すと、受付周辺にはいろいろなダム映画のポスターがあったり、ダムの建設記録写真が飾られたりしています。僕のダムの本も売ってるし、併設の喫茶店では期間限定ダムメニューなんてのもある!ダムを壊したガラモンの手ぬぐいなんてちょっとオシャレかも。
見慣れたものが見えてきたので落ち着きました。そうだ、僕は一人じゃないんだ。僕だってダムのことを喋ってもいんだよね!

しかし当然ながら楽屋なんてものはないので、受付の脇に突っ立って、入場する人たちに見られながら出番を待ちます。


階段の踊り場にも椅子が!オシャレ!(今思えばかなり精神的に弱っていた) 単なるチラシ置場も間接照明、ってだけでうろたえる
よく見ると受付まわりにはダム系グッズが あ、僕の本だ!家にいっぱいあるよ!
ダム写真を額に入れて飾るのはいいかも、僕も家でやろう ダムフェア、ダムメニュー、むしろここは僕にとって理想郷か
名前だけでは想像できないダムメニュー、ダム煮ごはん食べたかった… オシャレだと思って思わず買ってしまったガラモン手ぬぐい



いよいよ舞台へ

時間になり、お客さんの入りが一段落したところでいよいよ舞台へ向かうことに。
「では萩原さんと石川さん、お越しください」と声がかかり、客席横の通路を通って舞台に上がりました。

そこからはもう緊張と興奮で、記憶がほとんどありません。
進行役の人からいろいろ質問されたような気がしますが、何を喋ったのか思い出すこともできません。
ひょっとしたら夢だったのかも、とも思いましたが、写真が残っているので実際に行なわれた模様です。
まあ、当日来てくださったお客さんと僕たちだけの秘密、ということにしましょう。

上映が始まったあとは、僕はほかのお客さんと一緒に客席で見る勇気が出ず、終わるまで近くの喫茶店に避難していました。
なので実際に自分がスクリーンに映し出されているところは見ませんでした。見られなくていいや。


主演と監督、普段着すぎ 緊張しそうなときにいつも着る「余裕」と書かれたTシャツ
どうやら楽しく話せたようだ いよいよ上映開始、でもこの中にいる勇気がなかった

なんだか不思議な経験でしたが、きっと日常の中の非日常は誰にでも突然やってくるんだと思います。
皆さんも何か面白い体験したら教えてくださいね。



ポレポレ東中野
(※ダム映画特集は終了しています)
〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下
TEL 03-3371-0088
http://www.mmjp.or.jp/pole2/

いやー人生って、ホント面白いものですね!

それぞれ初出演と初監督作品が映画館で上映されるなんて奇跡ですよね。初日は同時上映の「ホワイトアウト」よりお客さんも多かったらしいですし、石川さん、こんどささやかに祝杯をあげましょう。

そう言えばこの日のお客さんは10人くらいでした

 
 
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