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ちしきの金曜日
 
鉄道は川だ


みんな気がついていないが、鉄道は川なのだ!

大山 顕


 

■とある飲み会で

ぼくの知り合いに、石川さんというGPSで地上絵を描く人がいる。

とある飲み会でご一緒したとき、面白いアイディアを聞いた。「鉄道は川だ」というアイディアだ。今回はそれを説明しよう。鉄道は川なのだよ。



水分部には人体のケースは出てこなかったが、これはよく知られた事実だろう。もうすこし正確に言うと、男性は60%、女性は55%らしいが、この後の計算が煩雑になるので、まとめて60%とした。いきなり何だ、と思われるかもしれないがしばしお付き合いいただきたい。

それより、男性より女性の方が含水率が小さいとは意外だ、女性のほうがみずみずしい感じがしていたが。

 

■この2者の対戦


野川 vs. 京王線


水が恋しい季節。上の写真をご覧いただきたい。東京都心の西の方を流れる野川という川と、京王線だ。野川は、このちょっと下流で仙川という川と合流し、最終的には多摩川に注ぐ。そういう川。

東京には多くの川と鉄道があるが、この交差する2者を対戦相手として選びたい。

「鉄道は川だ」。京王線が川だとしたら、野川とどちらが「より川」か。

わけ分かんないでしょうけれども、もうちょっと辛抱してください。

 

■野川にはどれぐらい水が流れているか



都心の川、とくに1級河川でない川は流量が減っていて、課題のひとつとなっているのだが、こうやってみると野川も少ない。同じ東京だと隅田川なんかは【1秒間に】29立方メートルだ。

この17,324立方メートルという数字は、上の写真より下流の仙川と合流したところの数字なので、写真の見た目の流れはこれよりさらに少ないはずだ。

 

■京王線がどうして川なのか



東京都統計年鑑によれば、平成16年度1年間の京王線乗車人員は410,669,000人、降車人員は411,282,000人。両者が食い違うのは乗り入れなんかがあるせいだと思う。ここから、1日に京王線に乗る人の数を出す。確実に京王線に「乗っていた」数は降車人員をとったほうがよいのではないかと思うので、上記の降車人員をとる。そしてそれを単純に365で割る。そうすると、上の1,126,800人が出てくる。

もちろん一年を通してばらつきがあるだろうから(週末や長期の休みの間は通勤客がいないから大幅に乗客は減るだろう)こんなおおざっぱにしてしまってよいものかと思うが、今回はいいのだ。デイリーポータルは論文ではないのである。



軍隊仕込みのダイエットが流行った昨今、センシティブな数字だが、統計的にはこういうことになっている。ちなみに、これは男性170cm、女性159cmの平均身長のときの体重。

こと体重に関しては、多くの方々にとって死活問題であるだけに、このおおざっぱな数字の出し方に対して、乗降客数に対するそれより厳しい異議がありそうだが、許していただきたい。繰り返すが、デイリーポータルは論文ではないのである。

 

■人数に体重かけた、その60%が水


要するに京王線がどれだけ水を運んでいるかは上の見出しのとおり。ただ、京王線に乗っている人々の男女比が不明だ。

ふだんの乗客の大部分を占めるのは通勤だろうから、ここでは思い切って「働いている人」の男女比でまかなおう。



繰り返すが、論文ではないのである。

この数字は全国のもので、かつ農業なんかも入っているから、京王線ではもっと女性の比率が高いと思われるが、まあ良いだろう。

 

■京王線が運ぶ水の量は?



京王線が1日に乗せる人の数を、男女比である7対5で割り、それぞれに平均体重である65kgと51kgをかける。それの60%が水というわけだ。その数字が、上記の40,564800リットル。1リットル=1kgだと思うと、電車は水運びすぎなんじゃないかと思う。人間運んでいるというより、これはもう水を運んでいるといっていい。「鉄道は川だ」というゆえんである。

人間がもっと干からびてたら省エネになるんじゃないか。

 

■うっかりしてた


と、ここまで書いてようやく気がついたが、乗降客数は往きと帰りの両方がカウントされている。つまり通勤でいえば家から会社までと会社から家までの両方が含まれている。川は片道であるべきなので、「ほとんど通勤だろう」「たいていのひとは行ったまま帰ってこないってことはないだろう」という憶測の下、大なたを振るって上の数字を2で割る。くどいが、デイリーポータルは…


 

■結果発表



野川の1日の流量をリットルに換算して、京王線のそれと比べると上のようになる。なんと、京王線の方が野川より水を運んでいる。これはもうりっぱな川だ。


 

 

■ほかの線と川も比較したい

きょうも水を運んでいます

 

入手した統計にはほかの線もあるので、いずれそれらの「川っぷり」も数字にしてみたい。

あと、もし人間がサルからではなくキュウリから進化していたら、これはもうほんとに「鉄道は川だ」というしかなかったと思う。


 
 
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