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ひらめきの月曜日
 
アイスクリームはいつ溶けるのか? をマジメに調べてみる
そんなとこ置いてたら溶けちゃうよ!


暑い。なんでこんなに暑いんだろう。

暑い日はやはりアイスである。アイスはうまい。当サイトでは宮城さんがアイス部という部活を展開しているが、これはなかなかにいい企画だ。暑いのでせめて画面からアイスの冷気を想像して涼みたい。

ところで、僕は溶けたアイスが嫌いだ。
あまりにも当たり前の物言いなのでもう一度書いておこう。
僕は溶けたアイスが嫌いだ。

皆様もうっかり縁側にアイスを置きっぱなしのままうっかり食べ忘れてアイスを溶かしてしまったことぐらいあるだろう。あのときの悲しさったらない。あんなにおいしいアイスが溶けると甘ったるい液体に成り果ててしまう。出来るだけあんな目にならないように早く食べるのが鉄則だが、そもそもどのぐらいの時間でアイスが溶けてしまうのか、それを理解しておけば目安になって便利なんじゃないかと思った。

(text by 梅田カズヒコ



小学生の自由研究でも、もっと高度な研究をしますが、これでも真剣な調査です

とりあえずバニラ味の普通のアイスクリームで調べてみることにした。市販のもので、最もオーソドックスなバニラ味のアイスと言えばこれだろうか。


最近いろんなアイスが出回って、ちょっと肩身が狭いです。

この、スーパーカップが溶ける時間を

1.公園のベンチ
2.自宅の縁側…はないので部屋の窓際
3.クーラーのきいた部屋

以上3つの場所で調べてみたいと思う。僕の中で、“三大アイスを食べるスポット”である。この中から

『食べごろの限界』
『食べるか食べないかの限界』
『完全に溶けるまで』

以上の3つの時間を調べてみようと思う。『食べごろの限界』は賞味期限、『食べられるか食べられないか』は消費期限といったところか。そして『完全に溶けるまで』の時間だ。前者の2つは僕の判断で行おうと思う。

では、さっそく公園のベンチから。

 

first place
公園のベンチ <日陰> (PM2:45)


世田谷区のとある平和な公園の昼下がりに 〜夏〜

ほかのスポットと違いを明確にするために炎天下の日向で調査しようかと思ったが、そもそも公園の中で、日向のベンチに座るなんて現実的じゃないし、第一暑いので日陰のベンチにした。一日で一番暑い時間帯、果たしてアイスは何分間、アイスとしての役割を保つのでしょうか。

 

新品→食べごろの限界点


0分
何の遜色もないアイス
5分
わずか5分、早くも溶け出している。ふたにこびりついたアイスはこの時点でアウトでした。
10分
輪郭が一気に溶けた。手にもつもつとふらふらする。このぐらいが普通に食べられるアイスの限界だろう。

 

食べごろの限界→手をつける限界


15分
手に持つとカップがぺちゃんと潰れる。危ういアイスクリームだ。
25分
もはやアイスの形状をとどめている部分のほうが少ない。見かけ状はまだアイスの部分を残しているように見えるが…
25分(の図解)
左の25分経過時の断面図。下のほうは完全に溶けてしまっている。こんな感じです

 

手をつける限界→完全に溶けるまで


30分
赤い点線部分がとけ残り。もう半分以上が溶けてしまった。
47分
まだとけ残っている部分はないかおさじでかき回してしまったらこぼしてしまった。完全に溶けました!
結果は47分。真夏の日光は47分でアイスを完全な液体に変えてしまう。

second place
部屋の窓際 <夕暮れ時> (PM4:30)


目黒区のとあるアパート密集地の一角で 〜夏〜

先ほどの調査でしばらくぶりに真昼に長時間外に居たのですっかりへとへとになってしまった。目を閉じると陽炎が見えそうだ。もやしっ子の僕はやっぱり外なんか似合わない、というわけで自宅に戻ってきました。アイスクリームを食べる場所と言えば縁側だ。うちには縁側はないので夕暮れの窓際で調査してきました。

 

新品→食べごろの限界点


0分
あー、アイス食べたい。このまま溶かしてしまうなんてもったいない。
5分
5分、早くも溶け出している。心配になっておさじをさしたら、表面が溶けているだけで中は大丈夫でした。
10分
そろそろ食べごろの臨界点。母に「溶けるから早く食べなさい」と怒られる時間だ。

 

食べごろの限界→手をつける限界


15分
周辺のあわあわが目立ちだした。溶けたアイスはあわ立っている。これは空気と混ぜてアイスを作るからだろう。
20分
カップから水滴が滴っている。公園での実験ではありえなかった現象だ。水滴が滴っているところを見るとまだまだ冷たいことが想像できる。アイスの面目躍如。
35分
容器の水滴は威厳を保っているが、アイスとしての臨界点はこのあたり。これ以上溶けるとアイスとは言わないかなぁ。でも、外より10分ほど長持ちしました。

 

手をつける限界→完全に溶けるまで


45分
日がだいぶん傾いてきた。アイスは着実に溶けていってます。
61分
完全に溶けた。記録は61分。今回は1時間も溶けずに頑張ったアイスに拍手を送りたい。もう一回凍らせて食べよう。

third place
クーラーのきいた部屋 <宵の口> 


あることないこと書いて手にした原稿料で借りた部屋で 〜夏〜

夕暮れ時、溶けるアイスを眺めていたら風が吹いてきてちょっといい気分になってきた。夕暮れ時の東京って素敵だね。そんなことを思いながら過ごしていたら猫がやってきた。ニャー。ニャー、グルグル、ヴー。猫が奇声をあげている。

猫がうるさいので次は部屋の中だ。クーラーの効いた部屋なら、どのぐらい持つだろう。

 

新品→食べごろの限界点


0分
あー、アイス食べたい。このまま溶かしてしまうなんてもったいない。
5分
外周部がすっかり溶けている。
10分
ちょっともうきついかな。でも、側面にはまだ霜が固まったまま残ってます。クーラーってすごいね。アイスが外より3倍長持ち

 

食べごろの限界→手をつける限界


30分
まだ霜が残っている
40分
うーん、まだこのぐらいだったら食べるよな。
63分
気づいたらあれだけ大きかったアイスがこんなサイズに。こりゃそろそろ手をつけないかも。

 

手をつける限界→完全に溶けるまで


89分
とうとうベロベロに溶けちゃいました。君ももう一度冷やして食べるから冷蔵庫で待ってなさい。
記録は89分。いやー、長旅でした。空調のきいた部屋ではアイスが溶けるのに山手線一周半ぐらいの時間がかかるようです。けっこうアイスって長持ちなのね。

 

結果


食べごろの限界(賞味期限) 手をつける限界(消費期限) 完全に溶けるまで
公園のベンチ 10分 25分 47分
室内の窓際 10分 35分 61分
クーラーのきいた部屋 30分 63分 89分

ちょっとは涼めましたか?

暑くて記事を読む気すら萎えそうな日々に、出来る限り涼しげな原稿を読んでもらおうとアイスの記事を書いたが、溶けたアイスは逆に暑苦しい雰囲気でした。狙ったつもりが逆効果。よくあるよね。

無理に結果をまとめるとすれば空調のきいた部屋では30分以内、そうでない場合は10分以内に食べよう、と言ったところか。

よくよく考えると、10分しか食品としての価値がない食べ物ってどうなんだろう。なんだか、3分しか地球に居られないウルトラマンみたいだ。アイスクリームって普段、何も考えずに食べているけど、ひんやりしたアイスが当たり前のように食べられるのって、実は奇跡なのかもしれない。

そういえば今のような冷凍技術がない中世。皇帝とか王様とか偉い人は手下を雪山に派遣し、新鮮な氷を溶けないように運ばせて食べたとかいう話をどこかで読んだ。そのときのカキ氷は、さぞかしおいしかったに違いない。

いつもこういう昔話を聞いたら思うんだけど、21世紀の僕らはある意味全員皇帝とか王様とかの生活をしているよね。年中氷を食べられるんだし。先祖に感謝ですな。(お盆だけに)


 
 
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