●泉岳寺・夢幻へ続く低ガード
さらに低いガードは、泉岳寺駅近くにあった。
林さんも以前の記事で取り上げていたこのガード。1.5mである。道としてしまっていいのか、よく考えると疑問にも思えてくるこの高さ。見ているだけで吸い込まれていきそうだ。
この低さにも関わらず、交通量は多い。タクシーもたくさん出てくる。中のお客さんをよく見ると、うれしそうな半笑いのような表情をしている人もいる。タクシーなのに遊園地の乗り物気分を味わえるからだろう。
自分でも車で通り抜けてみた。…おお、怖い。勝手にインディ・ジョーンズ気分だ。
もちろん通ろうとしても、頭がつかえて入らない。それはそうだろう、中を通り過ぎる人はみんな首をかしげたり背中を丸めたりして歩いている。
このガード下は低さという意味でこれまで最低なのだが、実は全長は最も長い。歩いたら数分かかる距離だ。その間、ずっと首をかしげ続けることを要求するハードなガード下だ。
●洗足池・詳細不明の極低ガード
最後は洗足池駅そばにあるガード下だ。こちらははっきりとした表記がないのだが、どうも低い。測定したわけではないのだが、泉岳寺のガードといい勝負だと思う。
泉岳寺ガードと対照的に、こじんまりとした距離も短いガード下だ。線路がむき出しになっていることで、ワイルドな味わいも漂わせている。
実はこのガードも、以前の記事でべつやくさんが取り上げている。べつやくさんはご自身の身長と比較した推測で140cmほどかとされているので、もしかしたら最低記録更新なのかもしれない。
線路を越して渡りたいという人間の欲求が生み出した極低ガード。確かにそれは便利なことだ。そして今回めぐってみてわかったのは、低いガードには便利さを超えた喜びがあるということだ。
低さを目にしたときの不安、入っていくときの緊張感、そして抜け終えたときの達成感。そんなドラマ性が人を惹きつけてやまないのだと思う。
上の写真、洗足池のガード下にたたずんでみたところ、ちょっとした妖怪のようになってしまった。「なんか出るぞ」と噂にならないよう、早々に引き上げました。